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映画『銀魂 THE FINAL』松下村塾キャスト「離れていても根っこは繋がっている」

ぴあ

21/1/8(金) 7:00

映画『銀魂 THE FINAL』 ©空知英秋/劇場版銀魂製作委員会

2004年に週刊少年ジャンプで連載をスタートした、主人公・坂田銀時を中心に繰り広げられるSF時代劇コメディ作品『銀魂』。2010年にはTVアニメ化、度々の休止期間を挟みつつ、2018年まで約12年間にわたり放送を続けてきた。その間には『劇場版 銀魂 新訳紅桜篇』(2010年公開)、『劇場版 銀魂 完結篇 万事屋よ永遠なれ』(2013年公開)と劇場アニメも2作公開。TVアニメ・劇場アニメでは幾度となく「終わる終わる詐欺」を繰り返し、視聴者を翻弄し続けてきた『銀魂』が、ついに1月8日全国公開される映画3作目『銀魂 THE FINAL』で“本当のファイナル(最後)”を迎える。

2019年に連載終了となった原作のラストをベースに物語が描かれた本作は、最後にして最大の敵であり銀時たちの師匠・吉田松陽の別人格・虚(うつろ)に、松下村塾メンバー(銀時、桂、高杉)が立ち向かうストーリーだ。

今回は、本作の物語の中心に立つ松下村塾メンバー3人にインタビューを実施。坂田銀時役の杉田智和さん、桂小太郎役の石田彰さん、高杉晋助役の子安武人さんから、『銀魂 THE FINAL』のお話を中心にアフレコ現場の様子や松下村塾メンバーの印象について話しを聞いた。

場の空気の中で芝居を完成させていく

――『銀魂 THE FINAL』の台本を初めてご覧になられたときの感想を教えてください。

石田 今回で最後ということもあり、『銀魂』らしさを全部詰め込んであるなというのが最初の印象でした。完成した映像を見て、『銀魂』らしさをよくこの時間内でまとめたなと改めて思いましたね。

子安 どれだけ出番があるんだろう? 自分(高杉)の最後はどうなるんだろう? と思いながら、最初に台本をチェックしました(笑)。『銀魂』の高杉が登場するシーンはTVアニメシリーズでもそんなに多くないですからね。いつもスポット参戦みたいなものだから、そんな高杉がついに本作で活躍するとなると大変だなと感じました。

――杉田さんはあまり台本は読み込まないと万事屋の取材時に仰っていましたよね。

杉田 画と文章に捉われたくないので、あまり台本は読まないようにしています。最低限のチェックはしますけど、読み込んでしまうと慣れてしまうし、修正があった際に余計な躊躇いが生まれてしまうから。慣れてくると自分だけで面白くしてやろうという欲望が湧いてくる、思い上がってしまう瞬間がどうしてもあって。すごく余計な欲望なんですよ。以前、「自分では認識していなくても芝居の中にやらしさが乗っているよ」と言われたんですよ。自分の中にいつの間にか驕りがあったのかなとすごくショックを受けました。

なので、ほかの人の芝居を聞いて、受け止めて、それで完成させていく方がいいだろうと。『銀魂』に対しては特にそのスタンスが強いですね。自分がボケの場合は、ツッコミの人がいて初めてギャグシーンが成立するから、場の空気の中で芝居を完成させていこうと思いながら演じていました。

石田 僕は杉田くんと違って自分がちゃんと面白さを伝えなければいけないのではないかと構えてしまいます。用意していかないとできない人間なので(笑)。ただ僕は与えられた分の仕事をやるだけなので、杉田くんほどつくり上げる苦労はないですけど。

――石田さんはどういった心構えで演じられたのでしょうか?

石田 みんなが苦労してつくり上げて構成されたものの中で僕は自分のできる範囲で立ち回るしかないと思っていました。それが上手くいっているか、空回りしているかは劇場で確認してください。

シリアスシーン中心の高杉が見せる「境目のないボケ」

――15年間の中で培われてきた『銀魂』のアフレコ現場の雰囲気について教えてください。

杉田 久しぶりの出番になる人やゲストキャラクターの人がなるべく入りやすい空気をつくれていると思います。長い時間アフレコしている方に対して「何時からアフレコしているの?」と聞いたり、前後の話数には登場していない方が「なんでこの宇宙人みたいなキャラクターがいるの?」と聞かれたときに答えられるようにしていたり。細かい配慮は意識していたと思います。作品自体もギャグであるからこそ自然体でいられる空気感がありました。それは15年の中でというよりも、最初から感じていましたね。

僕自身、メインキャラクターのキャストの中では比較的下の世代ですが、ほかのみなさんの才能や個性的な力を際立たせるために下で支えるのは自分の性に合っているなと。監督は基本何も言いませんし、雰囲気づくりを率先して手伝ってくれる若いメンバーもいるので、とても恵まれた現場だと思います。

石田 僕はスタジオの空気をつくろうとかは思っていないので、杉田くんたちがつくり上げてくれた空気の中にスッと入って透明でいることを目指していました。

子安 透明(笑)?

石田 あはは(笑)。あるがままを受け入れて、あまり邪魔しないようにと意識していましたね。

――子安さんはスポットでのアフレコが多いと仰っていましたが、『銀魂』のアフレコ現場にはどのような印象をお持ちですか?

子安 高杉が登場する「紅桜篇」や「将軍暗殺篇」などはシリアスなストーリーなので、僕の中では『銀魂』に対してギャグのイメージがほとんどないんですよ。真面目に芝居しているキャストのみなさんしか知らないから、普段の雰囲気がどうなのか実はあまり知らなくて(笑)。

毎回お客さんのような感じですよね。常にゲスト声優として呼ばれている感じなので、チームワークというか家族的な空気が出来上がっているところに入るのは非常にプレッシャーでした。まあ、高杉のキャラクター的に馴れ合う必要は決してないから、そういう意味では楽ではありましたけど、毎回大変でしたし今回も大変でした(笑)。「こいつ異質なやつだな……」と見られているのかなと思いながら、みなさんにご迷惑をおかけしないように現場にいましたね。そのたびに、阪口大助(志村新八役)くんをいじって、自分の中で和んでいました(笑)。

一同 (笑)。

子安 ほかのキャストのみなさんはいじりづらいけど、阪口くんはいじっても大丈夫かなと(笑)。とはいえ、知っているメンバーばかりなのでアフレコ自体はやりやすかったです。良いメンバーばかりですよ。

杉田 高杉にはシリアスなパートが多いのですが、同時に「境目のないボケ」があって。ヤクル〇を奢ってくれるとか、銀八先生でいじられるとか。

子安 ああ! たしかにギャグパートもやっているな! でもお芝居自体はギャグじゃないんだよね。

杉田 (頷きながら)表情は全く崩れない。高杉の範囲内での面白さ、面白いことをしようとしている人の演技ではないからこそ抜群に面白いんですよ。

「いないところで話して…」恥じらいながら語られるお互いの印象

――お三方は15年間『銀魂』で一緒に演じられてきていますし、ほかの作品でも共演が多いかと思います。お互いに対してどのような印象をお持ちなのかお伺いしたいなと。

杉田 声優になる前から尊敬するおふたりです。子安さんは「憧れています」とは言いづらいダークヒーロー。親戚からは「あいつに近づくな」と言われるような……。

一同 (笑)。

杉田 こっそり近づいてみたら、みんなが教えてくれないような遊びを教えてくれる。そういう面が芝居に湧き出ているんですよ。

新人の頃にオーディションを受けたとき、「君は子安さんみたいになりたいの?」と聞かれたことがあって「え、あっ、はい!?」となったんです。そのオーディションは落ちて、何がいけなかったのだろうかと考えていた矢先にその役が子安さんに決まったと聞きました。放送された作品を観てオーディションの時の質問の意図がわかりましたよ。(子安さんの演じるキャラクターを)中学生くらいから観ていたので、自分の芝居の中に強く根付いていたんですね。

真に優れた人は概念化すると思っているのですが、それってすごいことだなと勝手に思っています。こういう人と同じ現場で仕事をすると、ワクワク、エキサイトしてしまう。でも、それを本人へ見せるのは違うなと。真摯に演技した結果、それを子安さんが面白がってくれたらいいなと思っています。本人にはあまり言わないようにしていますが……。

子安 あははは。完全に知ってしまった(笑)。

杉田 お恥ずかしい……。

石田さんも同じようにとても尊敬しています。細かいところの配慮が素晴らしい。絶対に人が行き届かないところに優しさをふっと差し出せる方だと思っています。

『カトケン・サ・ン・バ!』の収録をするとき、石田さんが一人で曲を聴きながら出番を待っていて。「『カトケン・サ・ン・バ!』は女性だけで収録します」と言われた瞬間、「え!?」って言うんですよ。聴き込んできたんだなと思いました。

子安 ふふふ。

杉田 そういう細やかな経験値が重なってお芝居に出ている方なんです。

仲間内では「キャラクター名でも石田さんに名前を呼ばれたら上がるよね!」と話していたことがあって。僕は「彰~! 呼んでくれ~!」と思っています。

石田 (笑)。

杉田 僕は年下なので、先輩方の背中にタックルして胸も背中も借りていると思います。だけど、キャラクターとしては桂も高杉も銀時と同列の存在として演じなければなりません。それが逆に声優の面白いところだとも感じます。だからこそ、おふたりのお芝居に耳を傾けなければ、といつも考えています。

――子安さんは、杉田さん・石田さんの印象についてどうでしょうか。

子安 杉田くんはデビュー当時からよく知っていて『銀魂』以外の現場でもよく会うのですが、こと『銀魂』においては、主役を演じて座長として場をまとめてアフレコ現場の空気をつくるという大変なことをやっているから、そこは邪魔せずに助けてあげたいと思っていました。ただ、そうは思っていても自分が演じる役が銀時に対してそういうことをする役でもないので、線引きが難しかったですね。

石田くんは同い年でデビューの時期も同じくらいなので、ずっと一緒にいた感覚があります。僕も石田くんも人見知りタイプだから人の輪の中心に入ることがなかなかできなくて。隅っこの方でふたりでお酒を飲みながら愚痴をこぼすという新人の頃の思い出があります(笑)。

石田 子安くんがそんな古いことを覚えていたとは……。あのときも今もそうだけど僕はお酒が飲めないから、飲んでいたのはお酒じゃないけどね。僕は(笑)。

子安 覚えていてくれた(笑)!
だから僕の中では石田彰は兄弟というか双子というか……そういうイメージが実はあって。彼がどう思うかは分からないですけど。

石田 生き別れの兄じゃないかな?

子安 同い年だっつーの(笑)!

石田 あははは。僕よりしっかりしているから(笑)。

子安 双子の兄ね!

杉田 (ふたりのやり取りを見ながら)これだよ、これ……!

子安 こういう感じで面白いんですよ。石田くん頑張っているな、僕も頑張ろう!と思える関係だと思っていますね。

――子安さんのお話を聞いて、石田さんはいかがですか?

石田 そんな風に思ってもらえていたんだな、と。口にされてしまってちょっと気恥ずかしさを感じています。僕のいないところで話してほしかったな(笑)。

子安 あははは。この質問がなければ言わないもんね(笑)。

杉田 (ふたりのやり取りを見ながら)これだよ、これ……!

石田 この質問をされたから答えるけど、言いたくはないよね(笑)。僕は卑屈な人間だし周りに対してすごくコンプレックスを持っている。同世代だからこそ、子安くんはああいう風にできるのに自分は……と思うことが多々ありましたね。

杉田くんは、「銀さんと言ったら杉田くんだろう」という揺るがない印象をつくり上げています。銀時として『銀魂』の中心に杉田くんが立っている。主人公は当然のように番組の柱というポジションに立ちますけど、裏を返せばそのポジションから逃げられないんですよ。それをしっかり受け止めて15年間走り続けるのはすごいと思います。

僕は自分が中心に立つタイプでも立てるタイプでもない。そういうことから逃げてきているタイプなので、杉田くんが自分にない部分をしっかりつくり上げて持っているのを、本当にすごいことだと感じています。

銀時・桂・高杉は何も変わっていない

――15年間の中でお互いのキャラクターに対する印象の変化はありましたか?

子安 ふたりとも松下村塾の幼馴染ではあり、仲間であり、友だちでもあるのだろうけど。変化と聞かれると難しいですね。

石田 僕の中では、銀時も高杉も最初から最後に至るまで印象が変わったと思ってはいなくて。最初から「こういう人」と提示されて、視聴者の人も「こういう人だよね」と受け入れてくれていたキャラクターだったと思っています。高杉は、銀時にも桂にも背中を向けているキャラクターという見せ方をされていましたけど、実は同じものを見ていて、切り出し方が違っているだけというのは分かっていましたし。

『銀魂 THE FINAL』では馴れ合いというわけではないけど、離れていても根っこはずっと繋がっている3人が手を取り合っています。同じ根っこを持っている者同士、一緒に一つの目的に向かっていく姿勢は何か変化があったからではない。みんなそうなるだろうと思っていたし、そうなることを望んでいた。望んでいた通りになってよかった、と思えるのが『銀魂 THE FINAL』なのではないでしょうか。

――杉田さんはいかがでしょうか?

杉田 銀時と高杉、銀時と桂の関係は、頼り合っているけどそれを口に出すのは違うと思っていて。本当は頼りに思っていることは駄々洩れているはずですが、同時に相容れない部分もある。それでも一緒にいるのは、それだけ先生(吉田松陽)の教えが強かったからだろうなと感じています。

桂・高杉に対して、どう変わったかとかはないです。銀時にとっては自分の過去を知っている桂と高杉は隠したい・目を背けたい存在で。全員が全員同じ過去や思い出を共有しているのに、全員捉え方が違う。「あいつだけが知っている過去があるんじゃねぇの?」「昔と今で違うこと言っているけど、何なの?」とどこか気に入らないこともある。

でも、そもそも思い出や過去の捉え方は人によって違うじゃないですか。学校の教育のようなものじゃない限り、共通していることはあっても酷似していることはない。『銀魂 THE FINAL』は過去そのものが迫ってくることに対して、「本当はこうだったはずなのに」と考えていた過去や思い出を3人が持ち寄る。そして、持ち寄った過去についてお互いが言い合った結果のお話だと思うので。あとは映画を観ていただければいいのではないでしょうか。

――最後に、これから映画をご覧になる方に向けて一言お願いします。

石田 ファイナルと書かれているだけあって、最後なのは嘘じゃないんだなと思いました。次の機会がない、正真正銘の終わりです。映像的にも『銀魂』の集大成ですし、音楽的にも最後だからこそというものを感じました。

スタッフ・キャストから提示させていただいたものがどれだけ皆さんの胸に刺さるのか、そして『銀魂』愛を持つみなさんだからこその発見を劇場で体験していただきたいです。こんなご時世ではありますが、『銀魂』を好きな人たちは劇場に集まってもらい、同じ熱量を持つい他人同士が一緒になって盛り上がる空気を感じておかないともったいないのでは(笑)。ぜひ映画館に見に来ていただきたいなと思います。よろしくお願いします。

子安 こうして最後を映画として描いていただけたこと、本当に幸せに感じています。『銀魂』好きなファンのみなさんは当然見に行かれると思いますが、それ以外の方たちにも、できれば一人でも多くのみなさんに見てもらいたいですね。

なかなかクオリティが髙くていい映画だと思うので(笑)。ちょっと感動して泣いてもいいんじゃないかなと。ぜひ見てください。

杉田 どさくさに紛れてでもいいので、『銀魂 THE FINAL』を観てくれないかなと思っています。猗窩座と渚カヲルに挟まれていますが、「一応、桂も見ようかな?」と思ってくれたら嬉しいですね。

石田 (笑)。

杉田 しかも、空知先生が決してボケではなく真剣にあの入場者プレゼントを描いているという。

何かのついでに『銀魂 THE FINAL』を観ていただけたらとても幸せです!



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【応募締め切り】
2021年1月22日(金) 23:59まで
※期間中は何度でも応募可能です。

『銀魂 THE FINAL』
公開日:2021年1月8日(金)
原作:空知英秋(集英社ジャンプコミックス刊)
監督 / 脚本:宮脇千鶴 監修:藤田陽一 
声の出演:杉田智和、阪口大助、釘宮理恵ほか
アニメーション制作:BN Pictures
配給:ワーナー・ブラザース映画
コピーライト:(c)空知英秋 / 劇場版銀魂製作委員会
オフィシャルサイト:gintamamovie.jp
公式Twitter:@gintamamovie

取材・文 / 阿部裕華

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