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火山灰で埋没した幻の都市・ポンペイの暮らしが生き生きと蘇る!『特別展「ポンペイ」』東京国立博物館にて開幕

ぴあ

第2章展示風景より《エウマキア像》1世紀初頭 ポンペイ、「エウマキアの建物」クリュプタ出土

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火山噴火のためわずかな期間のうちに灰に埋まったローマの都市、ポンペイ。そのままの姿で留められたポンペイは、18世紀に発掘が開始され、現在まで発掘が続いている。このポンペイから出土した壁画や彫像などの工芸品の傑作や、市民の日用品などの発掘品を展示する『特別展「ポンペイ」』が、東京国立博物館 平成館で1月14日(金)に開幕。4月3日(日)まで、その至宝約150点を見ることができる。

南イタリアのナポリ近郊に位置するローマの都市ポンペイは、紀元後79年、ヴェスヴィオ山の大規模な大噴火により、当時の街の姿そのままに埋没した。同展は、18世紀の発掘開始以来、ナポリ国立考古学博物館が収蔵してきた出土品のなかから優品をセレクト。ポンペイの街や人の様子を多面的に展示していく。

展覧会は、全5章構成。ヴェスヴィオ山の噴火CG映像や、噴火前のヴェスヴィオ山を描いたフレスコ画のある序章ののち、第1章「ポンペイの街──公共施設と宗教」へ。会場に入ると、筋骨たくましい大理石像が目に飛び込んでくる。

《ポリュクレイトス「槍を持つ人」》前1~後1世紀(オリジナルは前450~全440年) ポンペイ、「サムニウム人のパラエストラ」出土

《ポリュクレイトス「槍を持つ人」》は、古代ギリシアの彫刻家、ポリュクレイトスのブロンズ像の複製品。街の運動場から発掘されたものだ。人口1万人ほどのポンペイの街には、フォルム(中央市場)、劇場、円形闘技場、浴場、運動場といった公共施設があり、それぞれ賑わいを見せていたという。水道も整備され、市民は快適な暮らしを送っていたようだ。《ビキニのウェヌス》は、邸宅の中庭にあった像。ウェヌスが沐浴をするモチーフは古代ギリシア・ローマで人気のある題材だったという。

《ビキニのウェヌス》前1~後1世紀 ポンペイ、「ビキニのウェヌスの家」アトリウム出土

第2章「ポンペイの社会と人びとの活躍」では、ポンペイの市民が使っていた豪華な調度品や宝飾品などからポンペイの人々や社会の仕組みに焦点を当てる。上流層の邸宅から出土した食器類は、非常に高度な技術で作られた豪華なものだ。

左:《千華文ガラス杯》1世紀 ポンぺイ出土 右:《黒曜石の杯》前1世紀 スタビア出土
《ワニとカモ》62~79年 ポンペイ、「ユリア・フェリクスの家」トリクリニウム出土
《ヘルマ柱型肖像(通称「ルキウス・カエキリウス・ユクンドゥスのヘルマ柱」)》前1~後1世紀 ポンペイ「ルキウス・カエキリウス・ユクンドゥスの家」アトリウム出土

第3章 「人びとの生活──食と仕事」では、ポンペイの住民がどのような食生活や仕事をしていたのかを紹介する。炭化しているもののそのままの姿で残ったパンや、パン屋を描いたフレスコ画などから、当時の暮らしを思い描くことができる。

奥:「炭化したパン」 手前「炭化した干しブドウ」ともに79年、ポンペイ出土
左:《パンのある生物》50~79年 エルコラーノ出土 右:《パン屋の店先》50~79年 ポンペイ、タブリヌム出土

第4章「ポンペイ繁栄の歴史」では、ポンペイで出土した豪華な邸宅「ファウヌスの家」、「竪琴奏者の家」、「悲劇詩人の家」の一部を会場内に再現。細やかなモザイクや壁画、生活調度品を当時の雰囲気を感じながら鑑賞できる。《猛犬注意》のモザイクは、客人に犬がいることを知らせるため、家の玄関に置かれていたものだという。

《猛犬注意》1世紀 ポンペイ出土
ファウヌスの家に敷かれた《アレクサンドロス大王のモザイク》の高精細な映像
「悲劇詩人の家」を再現

ポンペイの発掘はいまなお続いている。第5章「発掘のいま、むかし」では、発掘そのものの歴史や修復作業を紹介する。今後もなお、ポンペイの地から大発見がありそうだ。

《ヘプロスを着た女(通称「踊り子」》アウグゥストゥス時代(前27~後14年) エルコラーノ、「パピルス荘」大ペリテュリウム出土

2000年の時を経て、現代に再び姿を表した鮮やかなローマの文化を、ぜひその目で見てみよう。

取材・文:浦島茂世

【開催情報】
『特別展「ポンペイ」』
2022年1月14日(金)~ 4月3日(日)、東京国立博物館 平成館にて開催
https://pompeii2022.jp/

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