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ヒット作連発の製作者J・ブラッカイマーが語る念願の企画『ジェミニマン』

ぴあ

19/10/28(月) 7:30

ジェリー・ブラッカイマー

アメリカ映画界を代表するプロデューサーのひとり、ジェリー・ブラッカイマーが念願のプロジェクト『ジェミニマン』をついに完成させた。彼はこれまでも若い才能を積極的に起用したり、テーマパークのライドの世界観を映画化するなど、数々の挑戦をしてきたが、本作も彼のチャレンジ精神が発揮された作品になった。

『トップガン』『アルマゲドン』『パイレーツ・オブ・カリビアン』などの大ヒット作を数多く手がける一方で、ケイト・ブランシェット主演の『ヴェロニカ・ゲリン』や感動作『タイタンズを忘れない』なども製作するブラッカイマーは、映画だけでなくドラマ『CSI:科学捜査班』なども担当。つねに複数の企画を動かしているが、長年に渡って実現を模索してきたのが『ジェミニマン』だ。

本作の主人公は政府に雇われているスゴ腕の殺し屋で、ベテランの彼は引退を表明するが、結果として彼は政府から追われる身となる。彼を仕留めるために送り込まれたのは、主人公のクローン。主人公と彼の若いころソックリの殺し屋の対決が描かれるため、完成した作品ではウィル・スミスが主人公を演じ、“ジュニア”と呼ばれる主人公のクローンは、スミスの演技を基にすべてがデジタルで描かれた。

「この作品は実現するまでに長い時間がかったのですが、実はプロジェクトを休止していた時期もあるんです」とブラッカイマーは振り返る。「ある時期に“ジュニア”の映像を試作したことがありましたが、当時のデジタル技術では私たちが納得いくものはできませんでした。そこでテクノロジーが脚本に追いつくのを待つことにしたわけです。2年ほど前、スクリーンでアン・リーが監督した映画『ライフ・オブ・パイ』に出てくるトラを観て、いまならば再びプロジェクトを前に進めることができると思いました」

世の中には“映画プロデューサー”を名乗る人物はたくさんいるが、その業務内容は驚くほどに異なっている。単純に資金を出しただけ人、原作者の血縁者で名義だけ貸したような人、撮影現場を円滑にまわすことだけに特化した人も“映画プロデューサー”だったりする。しかし、ブラッカイマーの仕事は映画づくり全般をカバーしている。

「そうですね。映画製作の全工程に関わっていますし、それこそが私の仕事だと考えています。小説や記事やアイデアの断片を発見して原案をつくり、脚本家を連れてきて、資金を調達し、監督を見つけて、スタッフと俳優を選び、映画が完成するのを見守って、公開して得た収入を出資者に戻す……とは言え、私の仕事は“自分の観たい映画をつくる”こと。これ以外の仕事のやり方をよく知らないのです(笑)」

本作は全編がハイフレームレートで撮影され(多くの映画は1秒間に24コマで撮影されているが、本作は120コマ/秒で3D撮影され、いくつかの劇場では60コマ/秒で3D上映される)、ジュニアの表現は最新鋭のデジタル技術が投入されている。つまり、他の映画よりも予算がかかる。しかし、ブラッカイマーはあえてこの手法に挑み、アクション満載の本作をアカデミー賞監督のアン・リーに託した。

「私は才能のある人を見つけるのが得意なんですよ(笑)。映画づくりの才能というのは時代や状況によって左右されるものではなく普遍的なものです。私は常にたくさんの映画を観て、たくさんの俳優や監督たちに会うようにしています。経験による部分もあるでしょう。でも大事なのは、プロジェクトと監督の相性です。監督それぞれ個性が違いますからね。たとえば間もなく公開になる『バッドボーイズ』の新作を監督したのは、低予算映画しか撮ったことのない若いふたりの監督です。しかし、彼らは素晴らしい才能を持っていました。一方で『ジェミニマン』にはアン・リーの才能が不可欠でした。違いは……アン・リーほどの巨匠になると忙しくしているので時間を確保するのが大変だということでしょうか(笑)」

ブラッカイマーは、後に“破壊大帝”と呼ばれるマイケル・ベイを映画の世界に引き込み、ノルウェーで活動していたヨアヒム・ローニングとエスペン・サンドベリに『パイレーツ…』の新作を任せるなど大胆なチャレンジを数多く成功させてきた。巨匠監督とタッグを組み、最新の映像技術で描く『ジェミニマン』も、そんな彼の“挑戦”のひとつだ。「私はいつも観客のみなさんに楽しんでもらえる映画をつくっていきたいと思っています。完成した映画が公開されて、劇場の一番うしろでみなさんが映画を観ている姿を眺める瞬間が一番ワクワクします」

ちなみに彼の活動は今後も衰えることはないようで、先ほど話の出た『バッドボーイズ』の新作や『トップガン マーヴェリック』、メル・ギブソン監督の名作リメイク『ワイルド・バンチ』など新作が続々と控えている。「いま引退しても十分に暮らしていける状況にはあるのですが(笑)、観客の方に喜んでもらえることが人生で最も大切なことですから、これからも映画を作り続けたいと思っています。また、お会いしましょう! 意外とインターバルを置かずに再会できると思いますよ」

『ジェミニマン』
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