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【ネタバレあり】『あなたの番です 劇場版』、西野七瀬が黒島ちゃんの“あのシーン”について語る!

ぴあ

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12月10日から劇場公開中の『あなたの番です 劇場版』が大ヒットを記録している。この映画では、2019年4月〜9月に放送され大反響を呼んだテレビドラマ『あなたの番です』(日本テレビ系)で描かれたあの“交換殺人ゲーム”が、「もし始まらなかったら?」というもしもの世界が展開。ドラマ冒頭での住民会から2年後、菜奈(原田知世)と翔太(田中圭)の船上ウエディングパーティーを舞台に、新たな連続殺人が発生する。

ドラマではその怪演ぶりで注目を集めた西野七瀬。それ以降、さまざまなドラマや映画に出演し俳優として着実に経験を積み重ねている彼女は、再び“黒島ちゃん”こと黒島沙和を演じることになりどのような姿勢で臨んだのか。映画公開からすでに数日経っており今回の黒島の物語についてご存知の方も多いと思うが、その展開についても含めてじっくり話を聞いた。

【このインタビューにはネタバレが含まれています】

──放送当時、大きな話題を集めた『あなたの番です』を劇場版として制作すると知ったときはどう思いましたか?

西野 正直驚きましたが、「ドラマの続きだったら私、そんなに出番がないかな」と思って、ちょっと油断していました(笑)。

──では、こういう物語ですと知ったのはどのタイミングで?

西野 スタッフさんに「どういう形になるんですか?」みたいなお話をしたときに、「ドラマとは違う世界線で、亡くなってしまった人も生きているところから始まります」と知らされて。めちゃめちゃ面白そうと思いました。

──そもそもひとつの作品が完結後、ある分岐点から別の方向へ進むストーリーを新たに描くことって、あまりないですものね。

西野 確かに、自分も今までそういった作品を観たことがなかったし、しかもそれを実写作品でやるんだということに驚きました。

──一度演じきった黒島という役にあらためて入っていくために、事前の役作りなどはどうしましたか?

西野 撮影前にひとりでできることは、セリフを覚えることぐらいでした。現場に入ってから、他の方と会話をして、撮っていきながら思い出していけたのかな?という感じです。それに、黒島はセリフよりも表情だけで演じる場面が多いので、最初は「こういう感じだったかな?」と戸惑うことも多くて。なので、会話シーンが増えてからの方が思い出しやすかったかなと思います。

──最初に現場に戻っていったときの雰囲気は、覚えていますか?

西野 懐かしかったです。でも、ドラマのときと同じ撮影スタジオの同じ場所に、ドラマとほぼ同じセットが組まれていたので、最初はちょっと不思議な気持ちになりました。控室も全部一緒だったので、時間が戻ってもう1回最初から体験しているみたいな、不思議な感覚でした(笑)。

──ちなみに、最初に撮影したのはどのシーンでしたか?

西野 実はよく覚えていないんですけど、たぶん(田中)圭さんや(原田)知世さんと同じシーンだったような。皆さん揃ったところは、撮影に入って少し経ってからだった気がします。それこそ、みんな一緒にいる場面では黒島はほぼ発言しないので、1対1とか少人数で会話する方が役を作りやすかったです。

──劇場公開日と同日には、劇場版の前日譚となるスペシャルドラマ『劇場版公開記念!「あなたの番です」金曜ロードショー完全新撮スペシャル!!』もテレビ放送されました。こちらの撮影は劇場版と並行して行われたそうですが、時系列に沿っての撮影ではないぶん、場面ごとに黒島の心情の変化を作り込むことも大変だったのではないでしょうか?

西野 かなり複雑だったので、自分の中で整理するのが難しかったですね。なので「今って、こういう状況なんですよね?」とか「黒島の殺人衝動は今、どういう感じなんですか?」みたいに、その都度監督やプロデューサーさんに確認していました。

──加えて、横浜流星さん演じる“どーやん”こと二階堂との関係性の変化も、スペシャルドラマでは詳細に描かれています。

西野 連続ドラマを観ていた方には見慣れているふたり揃った場面も、よくよく考えると映画はもしもの世界なので、最初は「なんでふたりはいっしょにいるんだろう?」と思うかもしれないので、このスペシャルドラマを観れば仲の良さとか信頼関係的なものがない状態から距離が縮まっていく過程がしっかり分かると思います。

もともとドラマのときの黒島ちゃんとどーやんって敬語だし、普通のカップルとはちょっと違う空気感だったので、今回は大学での様子とか、まったく知らない他人に対しての黒島の接し方とか、そういうことを考えながら演じました。

例えば、黒島って見ていないようですごく人を見ているんです(笑)。聞いていないふりをして実はすごく聞いているとか、隙がありそうに見えてまったくないとか、そういうタイプなんだなってあらためて気づかされることも多かったです。

この後、黒島ちゃんについてのネタバレがあります!

──映画の後半、黒島が殺される展開にとにかく驚きまして。黒島が死ぬことについては、いつ頃知らされたんですか?

西野 私も事前に聞いていなかったので、台本が手元に届いて、読んで知りました(笑)。映画としてすごく面白い仕かけだなと思ったんですが、亡くなるお芝居をやったことがなかったので、「亡くなるお芝居の経験ありますか? どういう感じでやっているんですか?」といろんな方に聞いてまわりました。

──経験したことがないことを演じるわけですものね。実際、挑戦してみていかがでした?

西野 難しかったです。死に際にセリフがあるんですが、「普通だったらこんなに声を出せないなあ」と思いながらも、言わなくちゃならない大切なセリフなので、不自然に見えないように、悩みながら何度も挑戦しました。

──難しいというか、正解が分からない演技ですものね。

西野 分からないですし、見たこともなくて。想像しながら演じていました。

──特にあそこのセリフは、非常に重要なものですし。

西野 そうなんです。でも、あんまりハキハキ話しても変だし、微調整が難しかったです。

──他に大変だったシーンは?

西野 磔にされているところですね(笑)。あれはかなり大変でした。もちろん、実際あの高さには行ってはいないんですが、縄の跡が腕にびっしりついたりするのがなかなかない経験だったので、思わず写真を撮っちゃいました(笑)。

あとは、火だるまの方から逃げるシーンは楽しかったんですけど、そこで携帯を落とすカットがあって。それも私が実際にやっているんですけど、落としたときに画面が表を向いていないといけなくて。でも、何回やっても狙った場所に落とせなかったり、携帯が裏向きになってしまったり、フレームから外れてしまったりするんです。しかも走りながら落とすので本当に難しかったんですけど、できたときの喜びが大きかったので、意外と楽しかったかもしれません(笑)。

──ひとつのキャラクターを長い期間演じることも初めての経験だったかと思いますが、黒島というキャラクターを通じてどんなものを得ることができましたか?

西野 この役を通じて他の共演者の方や監督さんからいただいた言葉は、今でも自分の中にずっと大切に残っているものばかりです。それに、映画化までできたということは、この『あなたの番です』という作品自体がたくさんの人に愛されていた証だと思いますし、その中で黒島という役を演じられたことは本当に誇りに思います。

つい最近も「『あな番』観てました!」とか「黒島ちゃん!」と年配の方々から声をかけていただいたばかりですし、ここに関わることができたことがすごくうれしかったです。

──2021年の西野さんは『あなたの番です 劇場版』を含め映画3本に出演。ほかにも舞台に初挑戦したりテレビドラマに連続出演したりと、順調に役者業が進んでいるように映ります。ご自身の中での手応えはいかがですか?

西野 手応えは正直よく分からないところがあるんですが、本当に忙しくさせてもらっているなと感じます。その忙しさを「大変だな」と思いながらも、それがすごく幸せなことで貴重な1日1日なんだとも感じていて、気づいたら2021年が終わろうとしていて。特に今年は下半期にかなりいろいろ動いたので、あっという間の1年でした。

──いろいろ経験したことで、欲みたいなものがさらに出てきたりすることは?

西野 いやあ、欲はあんまり……。お芝居は難しいなと思うことの方が多いので、たくさん経験を積んで、少しずつ前に進めたらいいなと思いながらやっているところです。

──でも、作品ごとに違った西野さんの魅力が感じられて、観ている側としては楽しいですよ。

西野 本当ですか? グループのときはファンの方からいろんな感想を伝えてもらったり、受け取ったりできていたんですけど、今はそういう機会があまりないので。そういうひとつひとつの感想が自分にとってすごく重くてうれしいものだなと、最近はより感じるようになりました。なので、そう言っていただけてうれしいです(笑)。

取材・文:西廣智一 撮影:川野結李歌

『あなたの番です 劇場版』
上映中

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