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ぴあ

いま、最高の一本に出会える

わーすたが示した、気高く美しいアイドルの姿 “遮二無二”臨んだ初の野外フリーライブを見た

リアルサウンド

19/10/18(金) 12:00

 毎月YouTubeに公開してきたスタジオライブをはじめ、7月の発表から3カ月間、わーすたが開催に向け大きく力で注いできた『わーすた × NEKONOTE BAND FREE LIVE “ゆうめいに、にゃる!!!!!”』。グループ初のフリーライブをバンドスタイルで行う特別なこの日、10月8日の代々木公園野外ステージには入場整理券の配布時間前から多くの人が並び、総じて3,000人ものファンが詰めかけた。メンバーが事前に言っていた通り、結成5年目に突入したわーすたの大きなターニングポイントとなる忘れられない夜になった。

「私たちにはまだまだ見たい景色があって。大きなターニングポイントとして、大きな通過点として、今日を支えに明日からもっともっと大きくなったわーすたをみんなに見てもらいたいと思っています。5周年を迎えるときにはもっと大きな景色を前に、ライブが出来たらいいなと思っています」

 アンコールのラスト前、今日ここに集まってきてくれたファン、ずっと応援してきてくれたわーしっぷ(わーすたファンの呼称)と、今日からわーしっぷとなった人たちに、廣川奈々聖は感謝を述べたあと、そう語った。だが、この言葉に込められた本当の意味を知るのはもう少し後のことだった――。

 フリーライブの開演直前の様子(フォトギャラリー)

 すっかり暗くなった午後6時。NEKONOTE BANDが登場、メンバーがそれぞれの持ち場についた。SE「Overture」が鳴ると、そのリズムに合わせて生のビートを重ねていく。聴き慣れたSEも生演奏で聴くと昂揚感が段違いだ。客席から湧き上がる“わーすた”コールもいつもより熱を帯びている。それを受けてバンマスの岸田勇気(Key)が両手を上げてさらに煽っていく。

 いつもと明らかに違うこの雰囲気の中、夜風に乗るかのごとく颯爽と現れた猫耳を付けた5人。凛とした表情で客席をジッと見つめると、カウントも前奏もなしに右手を大きく旋回させて歌い出した。それはほんの数秒の間であったものの、この会場とこの日のライブを一気に掌握した瞬間だった。「最上級ぱらどっくす」で、ライブの幕が上がる。

「代々木、いくぞぉぉぉぉぉーー!!」

 初っ端からありったけの声量で叫ぶ、三品瑠香。「私たちが今日を最高にすることを誓います!」それを受けた廣川奈々聖は高らかに宣言し、滑らかな声を響かせる。5人が纏った黒のレザー衣装は、スタジオライブでお馴染みであるものの、思い返してみれば、2017年に行ったはじめてのバンドセットライブ『The World Standard ~夢があるからついてきてね~』でお披露目されたものだ。

「いよいよはじまりました! みなさんの大切な時間を私たちが最高の時間にしていきます!」

 その廣川の声は、いつもより何倍も大きく、何段階もトーンが上がっているように聴こえた。間髪入れずに「NEW にゃーくにゃくにゃ水族館2」へ突入する。むらたたむ(Dr)の的確に繰り出していくリズムの波がタイトなアンサンブルを司り、岸田の奏でる突飛なフレーズがわーすたワールド全開の派手さを彩っていく。

 この日に向けて行われたイラストコンテスト『FREE LIVEステージを象徴するバックバナーをわーしっぷと一緒に作る!』でメンバー自ら選んだという、ステージ後方に大きく掲げられたバナーを背に、会場を隅々まで見渡しながら悠然とパフォーマンスする5人。その姿は、いつもより気合が入っている、というよりもこの場を存分に楽しんでいるように見えた。広いステージを満遍なく使ったフォーメーション。上手から下手、下手から上手へと移動しながら、前方からずっと後方まで、客席の1人1人と目を合わせるように歌い踊る彼女たちの姿は眩しいほどに輝いて見えた。

 「みなさんにも重なるような歌詞が詰まっていると思います」そう紹介された「スタンドアロン・コンプレックス」と、10月30日リリースのニューシングル曲「遮二無二 生きる!」の流れは、間違いなくこの日のハイライトだった。廣川のしっとりとした歌い出しと松田美里の情熱的なダンスは、三品の力強い歌と坂元葉月の躍動感溢れる大きな動きへと引き継がれていく。背中合わせの廣川と三品の対照的な歌声を紡いでいくのは、しなやかに舞う小玉梨々華であり……、

〈自分の理想叶えるために僕は “ありきたりな10代”を捧げた〉

 そして、〈遠い街のこの場所に立っていた〉5人が、気がつけば同じ動きへと折り重なって揺れる。

〈誰もが知ってるような“放課後の風景”も 僕は知らないままで戦うんだ〉

 「私たち、わーすたメンバーはみんな地方から上京してきて、私たちのあるようでなかった青春を――」歌う前に廣川が語った言葉……そんな「スタンドアロン・コンプレックス」が代々木公園の夜空に響いた。

 そこからの「遮二無二 生きる!」だった。普遍的でおおらかな耳馴染み良いメロディに、青春の全てをアイドルに捧げてきた彼女たちの、感謝と決意が詰まっている。先日のインタビューで松田が「理想までの道のりを表している曲」だと言っていたが、まさに5年目のわーすただからこそ歌うことができる歌だった。すでにライブでは披露されていたし、MVも公開されていたわけだが、本当の意味でこの曲に込められたものをしっかりと見せてくれた。“恋せよ乙女”ならぬ、“恋せぬ乙女”たちの、気高く美しいアイドルの姿がそこにあった。

 しっとりと聴かせたセクションからの後半戦。tmsw(Ba)の粘りあるグルーヴときこり(Gt)の小気味良いカッティングに誘われる「誰も悪くない」。先ほどまでとは打って変わり、ファンタジーでユーモアな歌詞とのギャップあるクールさと艶っぽさで魅了すると、三品がギターを手にした。ロックチューン「PLATONIC GIRL」だ。四肢の長い彼女が、低めに構えた黒いサイクロンを掻きむしりながらシャウトするシルエットは、実に絵になる。

 三品がエレクトリックギターを初めてステージで弾いたのは、ちょうど1年前の昨年10月に行った『わーすたぷらねっと ~nature~』での同曲だったが、あの時より貫禄は十分だ。対して、廣川も負けじと攻めていく。本能の赴くままに感情をぶつけていく三品のスタイルに比べると、優等生に見られがちな彼女の歌に、いつにない攻撃性を感じた。言わずもがな、三品と廣川はまったくタイプの異なるボーカリストであり、己の役割を自負しながら、お互いを尊重し合ったツインボーカルという印象が強いのだが、この日は歌でバチバチにやり合うような場面が何度か見受けられた。もちろん、それは良い意味での刺激であり、信頼あってこそのライバル意識でもあるだろう。そんな同じグループ内の2人が切磋琢磨していこうとする様は、今後わーすたが飛躍する大きなポイントになるのかもしれない。

 せっかく広い会場でのフリーライブなのだから、途中で柵内の観覧スペースから出て、観ることにした。振りコピをする人、ペンライトを大きく振って身体全体で楽しんでいる人、ベンチに座ってリラックスしながら観ている人、たまたま通りがかって足を止める人……、仕切られていていないフリーのスペースでは多くの人が様々なスタイルでわーすたのライブを楽しんでいる。代々木公園のフリーライブらしい光景だ。少し離れた歩道橋にも多くの人がいたので、一番上まであがってみた。そこから見た眺めが最高だった。廣川は「2年前のZepp DiverCityで観た景色が特別で、あれに勝るライブというのがすごく難しい」と言っていた。今日この景色は、あのときに勝るものになっているはず。ステージから見たわけではないのに、そもそも本人でもないのに、勝手にそう思えるほどの絶景が広がっていた。

 それにしても、こんなに離れたところまでよく通るボーカルだと思った。PA音響のテクニカルな部分ではなく、本人が声の鳴らし方をちゃんと分かっているのだろう。とくに廣川の歌声はヴィンテージのバイオリンのような優雅な響きをしていると思うのだ。“名器”と呼ばれる古い楽器はとにかく音が遠くまで飛ぶ。マイクや音響システムがまだなかった時代は、大きな音を出すことよりも、他に埋もれることなくよく通る音、広い会場の後ろまで届かせることが重要だった。まっすぐで輪郭がはっきりしていて、それでいて優しい歌声を聴きながら、そんなことを思った。

 インパクトのある歌詞に気を取られてしまいがちだが、荘厳なメロディと壮大な楽曲構造はジャーマンメタルかメロスピか、というほどの大曲「メラにゃイザー!!!!!〜君に、あ・げ・う♪〜」、とにかく突き抜けるボーカルがひたすら気持ちいい「KIRA KIRA ホログラム」で盛り上がりは最高潮に達し、最後は右へ左へのわんにゃん振舞い「いぬねこ。青春真っ盛り」で本編は終了した。

 鳴り止まぬ“わーすた”コールに導かれて再び登場した5人は、「遮二無二 生きる!」と並ぶ両A面シングルの新曲「バスタブ・アロマティック」を初披露。フレンチエレクトロのテイストとわーすたらしいゲーム音楽っぽさを混ぜ合わせた楽曲は、これまでになかったガーリー感溢れる可愛らしいポップソングである。

「今日初めてわーすたを観た人もいると思いますけど、私たちわーすたについてきてください! よろしくお願いします!」

 廣川の言葉のあと、最後の最後は「うるとらみらくるくるふぁいなるアルティメットチョコびーむ」。ピコピコハンマーならぬ、“エクスカリにゃん”はいつもより4本増し、各メンバー1本ずつ合計5本の大サービス。それぞれが大きく弧を描くように客席に放り投げると、ステージの5人も客席のわーしっぷも、ありったけの声と力を出し切って、見事にトリケラトプスを倒した(同曲ではわーすたとトリケラトプスの戦いが描かれる)。廣川の振り絞るような「せーの!」の掛け声で会場一体となる大ジャンプで大団円。メンバーがステージから捌け、これにて、おしまい!……のはずが、「ここで、ニュースをお伝えします」と、突然流れるメンバーのナレーション。

「私たちわーすたが、さらにゆうめいににゃることを決め、2020年3月28日土曜日、渋谷公会堂にて、ワンマンライブを開催することを、ここに発表するのであった」

 意表を突いた発表に、どよめきと喜びが入り混じった歓声が上がった。そう、廣川がアンコール時に言っていた「5周年を迎えるときにはもっと大きな景色を」と言っていたのは、渋谷公会堂(LINE CUBE SHIBUYA)でのワンマンライブのことだったのだ。再び巻き起こる、歓喜と祝福が込められた大きな“わーすた”コールにメンバーが影アナで精一杯応えた。

「みなさん、本当にたくさんの愛をありがとうございました! 以上、私たち、The World Standard、わーすたでした!!」

 後日談ではあるが、このフリーライブの集客動員数によっては、渋谷公会堂でのワンマンライブは開催しないとのことだったという。結果的には目標を大きく上回る人数が会場に集まったわけだが、この日得たものはそうした“数”でないことは言うまでもないだろう。

 

 10月30日には、この日、楽曲の持つ意味がさらに深まった『遮二無二 生きる! / バスタブ・アロマティック』のリリース。11月からは全国4箇所を巡るツアー、『わーすたライブツアー2019〜遮二無二×××!〜』がはじまる。このフリーライブでさらにパワーアップしたわーすたは来年3月、5人で迎える結成5周年に向かって止まることなく走り続ける。この先、どんな景色が待っているのだろうか、楽しみで仕方ない。

■冬将軍
音楽専門学校での新人開発、音楽事務所で制作ディレクター、A&R、マネジメント、レーベル運営などを経る。ブログTwitter

「遮二無二 生きる!」MV

■ライブ情報
『わーすた ライブツアー2019 ~遮二無二 xxx!』
11月4日(月・祝)東京・山野ホール
11月10日(日)福岡・Drum Be-1【SOLD OUT!】
12月1日(日)愛知・ボトムライン
12月8日(日)大阪・amHALL

『わーすた 5th Anniversary Live』
2020年3月28日(土)
LINE CUBE SHIBUYA(旧 渋谷公会堂)

■リリース情報
『遮二無二 生きる! / バスタブ・アロマティック』
10月30日(水)リリース

CD+Blu-ray:¥1,818(+税)
<CD>
01.遮二無二 生きる!
02.バスタブ・アロマティック
03.Do on Do 〜坊っちゃんいっしょに踊りゃんせ〜
04.SHINING FLOWER
05.遮二無二 生きる!(Instrumental)
06.バスタブ・アロマティック(Instrumental)
07.Do on Do 〜坊っちゃんいっしょに踊りゃんせ〜(Instrumental)
08.SHINING FLOWER(Instrumental)
<Blu-ray>
遮二無二 生きる! MUSIC VIDEO
わーすた STUDIO LIVE “ゆうめいに、にゃる!!!!!” LIVE MOVIE

CD+Blu-ray:¥1,818(税抜き)
<CD>
01.バスタブ・アロマティック
02.遮二無二 生きる!
03.Do on Do 〜坊っちゃんいっしょに踊りゃんせ〜
04.SHINING FLOWER
05.バスタブ・アロマティック(Instrumental)
06.遮二無二 生きる!(Instrumental)
07.Do on Do 〜坊っちゃんいっしょに踊りゃんせ〜(Instrumental)
08.SHINING FLOWER(Instrumental)
<Blu-ray>
遮二無二 生きる! MUSIC VIDEO
わーすた STUDIO LIVE “ゆうめいに、にゃる!!!!!” MAKING MOVIE

CD Only:¥1,091(+税)
<CD>
01.遮二無二 生きる!
02.バスタブ・アロマティック
03.Do on Do 〜坊っちゃんいっしょに踊りゃんせ〜
04.SHINING FLOWER
05.遮二無二 生きる!(Instrumental)
06.バスタブ・アロマティック(Instrumental)
07.Do on Do 〜坊っちゃんいっしょに踊りゃんせ〜(Instrumental)
08.SHINING FLOWER(Instrumental)

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