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原田泰造が占う“サウナブーム”の行方と『サ道』の未来 「いろんな楽しみ方がある」

リアルサウンド

20/1/6(月) 15:00

 2019年7月から10月にかけてテレビ東京の「ドラマ25」枠で放送された連続ドラマ『サ道』のBlu-ray&DVDが12月25日にリリースされた。タナカカツキの“サウナ伝道漫画”を初めて実写化した本作は、“サウナ好きによるサウナ好きのためのドラマ”。原田泰造、三宅弘城、磯村勇斗扮する3人のサウナーが、サウナへの愛をひたすら語り合う。

参考:『サ道』でサウナのお作法と名所を知ろう 全編に流れる『孤独のグルメ』に通じる心地よさ

 今回リアルサウンド映画部では、Blu-ray&DVDのリリースを記念して、主人公・ナカタを演じた原田にインタビュー。先日放送されたばかりのSPやレギュラー回の裏話から、サウナブームの行方、そして実際にサウナで遭遇してしまった場合の反応の仕方まで、じっくりと語ってもらった。(編集部)

ーー先日、まさかの特番『「サ道」2019年末SP-北の聖地でととのう-』がオンエアされたばかりですが、久しぶりの『サ道』の現場は、いかがでしたか?

原田泰造(以下、原田):やっぱり『サ道』の現場は、楽しいですよね(笑)。10月に本放送が終わったあと、特番が決まったので、特番の収録自体は、12月のはじめ頃だったんですよね。だから、収録時期が早かったんで結構久々ではあったんですけど、1年も空いてないので、そんなに久々な感じもしなくて。まあ、サウナ自体は、プライベートで、ほぼ毎日行っている感じなので(笑)。

ーーほぼ毎日(笑)。本当にサウナがお好きなんですね。

原田:はい(笑)。で、今回の特番は、観てくださった方はおわかりのように、北海道のサウナツアーというか、サウナ界では“北の聖地”と言われている、上富良野の「白銀荘」というサウナ施設と、星野リゾート OMO7 旭川のサウナプラトーをまわった感じなんですけど、両方とも本当に素晴らしくて。僕らがドラマの中で言っている“ととのった”という言葉は、もともとその「白銀荘」で生まれたとも言われていて、それぐらいの“聖地”なんですよね。なので、そのあたりを、今回の特番を通して感じてもらえたらいいなって思っています。

ーー2019年の7月に放送が始まって、10月に最終回を迎えたあと、12月には早くも特番が放送されたように、この『サ道』というドラマは、本当に多くの人たちに支持されたドラマだったと思います。その反響みたいなものを、原田さん自身も感じているのでは?

原田:うーん、番組の反響と言われると、どうなんでしょうねえ。ただ、『サ道』のドラマを観てなのかわからないですけど、最近プライベートでサウナに行っても、以前より混んでいるなっていうのは、実感としてありますよね。でも、“サウナブーム”自体は、このドラマが始まる前から……それこそ、このドラマの原作漫画である『サ道』の作者であるタナカカツキさんや、その周辺の人たちの頑張りによって、もうきていたような気がするんですよね。だから、このドラマが当たったとか、そういうことではなく、自分がよく行くサウナ施設とかでも、ドラマ『サ道』のドラマのポスターを貼ってくれているところが多かったりして。それを見るたびに、「あ、ここにも貼ってある」って嬉しさが込み上げてくるというか(笑)。そういう感じかもしれません。

ーーただ、このドラマに出演したことがきっかけになって、原田さん自身、いろいろなところに呼ばれたり、取材を受けたりする機会が多かったのではないですか?

原田:ああ、そうですね。フィンランドの“サウナアンバサダー”に選ばれて、フィンランド大使館にも行くことができて……そう、知ってました? フィンランド大使館って、大使館の中にサウナがあるんですよ(笑)。そういうところは、普通行くことができないから、すごく嬉しかったですね。

ーーちなみに、原田さんは、このドラマがヒットした理由について、どのように考えていますか?

原田:いやあ、まったくわからないです(笑)。ただ、サウナに入って気持ちいいっていうのは、多分みなさん同じでしょうし……サウナはひとりでも行けますし、友達同士、あと家族でも行けますからね。僕も普通に、子どもを連れて行ったりしていますし。でも、これ、難しいですよね。スーパー銭湯みたいなところはみんなで行けるけど、サウナっていう施設だけを取り上げてみると、これまではちょっと“おじさんたちの文化”みたいになっているところがあったのかもしれないし……。

ーーサウナ文化自体は以前からありますけど、ちょっと敷居が高いというか、入りにくいところはありましたよね。

原田:うん、そうですね。それがだんだんと、今はなくなってきたのかな。そういうイメージみたいなものが。ドラマの中にも出てくる“ととのう”という感覚……サウナ、水風呂、休憩を繰り返していると、いい感じになりますよっていうのが、ちょっと浸透してきたようなところもあるのかもしれないし。

ーーそういうイメージの変化みたいなものにひと役買っているのが、まさにこのドラマだったという気がします。そう、よく考えたら、サウナ施設の中の映像って、結構貴重ですよね。入り口は、ちょっと入りにくい感じだったけど、中はこんなに綺麗だったんだとか。

原田:そうですね。実際に、サウナ施設の中を見せられるっていうのは、強いかもしれないですよね。もちろん、僕らのドラマだけではなく、最近は『サ道』の他にもサウナ漫画みたいなものがいろいろ出ていて、そこでいろんなサウナが紹介されていたりするので。ってなると、やっぱり「行ってみたい!」っていう気持ちにはなりますよね(笑)。

ーー確かに。実際僕も何箇所か行かせていただきました(笑)。そう、タイトルには“道”とついていますが、何かひとつの流儀があるわけではなく、各サウナ施設によって、さまざまな流儀や楽しみ方があるところが、非常に面白かったです。

原田:そうですよね。本当にいろんなサウナ施設があるというか、施設ごとにサウナのストーブが違うし、壁の作り方だったり、水風呂の温度だったりも、全然違いますから。ホント、どこに行っても、全然同じ感じがしないというか。

ーーでもやっぱり、原田さんをはじめ、三宅弘城さん、磯村勇斗さんというメインの3人が、毎回実に楽しそうに演じていたというのが、いちばん大きな魅力だったように思います。

原田:ああ、実際楽しいですからね(笑)。『サ道』の撮影は、いつも楽しいです。それは、上野の「北欧」で3人で撮っているときもそうだし、他のいろんなサウナ施設をひとりでめぐっているときも楽しいし……あと、そのサウナ施設の支配人にインタビューしているときも、すごく楽しかったですね。そう、「偶然さん」役の三宅弘城さんは、本当にいろんな場所にあるサウナのことをよく知っているんですよ。カメラが回ってないところでも、「あのサウナはすごいから、行ったほうがいいですよ」とか教えてくれたりして。ホント、ものすごい数のサウナを知っているんです。

ーーそうなんですね。原田さんもそうですが、サウナ好きの役者さんって、実は結構多いんですかね?

原田:うん、それは確かに多いような気がするけど、三宅さんはちょっと異常かもしれない(笑)。『サ道』の原作者のタナカカツキさんも驚くぐらいというか、サウナ歴で言うと、三宅さんのほうが先輩だって言っていましたから。

ーーあ、そんなにすごい方だったんですね(笑)。あと、磯村さんも、若手代表として、すごく良かったですよね。

原田:うん、磯村くんは良かった。すごく素直な感じがするというか、三宅さんにオススメされたら、本当に自分で行っていますからね。プライベートでいろんなサウナに行って、ホントに自分で体験しているっていう(笑)。すごく将来性があると思います。

ーーその3人のバランス感が、本当に絶妙だったと思います。あとは、画面の綺麗さですよね。よく考えたら、ほとんど裸の男たちの画ばかりなのに、すごく綺麗に撮っていて。

原田:ああ、わかります。長島翔監督は、本当にすごいですよね。僕も、オンエアを観たときに思いましたもん。ああ、こんなに綺麗に撮ってくれていたんだって。あと、編集の仕方も、すごいオシャレというか……。

ーーかつての『野生の王国』じゃないですけど、動物もののドキュメンタリーのような美しさがあったように思いました。

原田:ああ、それ、すごいわかる(笑)。確かに『野生の王国』とかを観ているような感じはしますよね。おじさんという動物の生態を、淡々と綺麗に撮っているというか。

ーーまた原田さんのナレーションも、抑えめのテンションで……それも、何となく動物もののドキュメンタリーを彷彿とさせます。

原田:そう、あれも長島監督の指示なんですよ。あんまりテンション上げないでしゃべってほしいっていう。ちょっとテンション上がったら、すぐに落とすみたいな。そこは結構、最初の頃は、何回も録り直したりしたので、こだわりポイントのひとつなんでしょうね。

ーー実際、今回のドラマを通して、原田さん自身は何か発見とかありましたか?

原田:発見……難しいな(笑)。でも、このドラマでいろんなサウナに行くことによって、楽しみは増えましたよね。ここのサウナは、ここに水風呂があるんだとか、ここのご飯はこんなに美味しいんだとか、ここはロウリュウでアウフグースを始めたんだとか。それぞれのサウナのバリエーションというか、そのサウナの顔や色が見えるから、そういう楽しみは自分の中で増えたと思います。だから、プライベートでも、いろんなサウナに行きたくなるし。

ーーところで、この“サウナブーム”は、今後どうなっていくんでしょうね。

原田:今後ねえ……どうなっていくんだろう。このままずっと混むのかな(笑)。でも、今は新しい施設も、どんどん増えているじゃないですか。都内でも東久留米市の「スパジアムジャポン」とか池袋の「かるまる」とか。そういうのは、また楽しいですよね。もちろん、番組でお世話になった上野の「北欧」とか、鶯谷の「サウナセンター」とか、古いところは古いところで、歴史があって楽しいですし。

ーーとなると、やはり「シーズン2」の声も……。

原田:やりたいですよね(笑)。ただ、こればっかりは、スタッフに任せるしかないので……でも、そうですよね。今回、スペシャル版で、北海道に行きましたけど、北海道だけでワンクール撮れるぐらいサウナがあるって、現地の人たちが言っていて。今回は2箇所しか行ってないんですけど、札幌には有名な「ニコーリフレ」というサウナがあって……。

ーーあ、第4話、草加健康センターの回で登場した“熱波師”の……。

原田:そうそう、エレガント渡会さん(笑)。彼が普段いらっしゃるのが、その「ニコーリフレ」なんですけど、そこはかなり気合が入っているみたいなんですよね。僕が普通に笹塚の「マルシンスパ」の水風呂に入っていたら、とある親子が寄ってきて、「僕たち、ニコーリフレがホームなんですけど、今、こっちに遠征しにきているんですよ」って言っていて。その子どもは、多分小学6年生ぐらいだったと思うけど、「ニコーリフレ会」っていうのにもちゃんと入っていたりして、すごい気合が入っているなと思って。

ーーなるほど。今回のスペシャル版では紹介し切れなかった北海道サウナが、まだまだたくさんあるわけですね。

原田:そう。あと、今回のドラマで熊本の「湯らっくす」に行きましたけど、九州は九州で有名なサウナがいっぱいあるし、まだまだネタはありますよね。あと、別の番組で紹介していた、富山の「よつやのゆ」っていうウォータースライダーで水風呂に突っ込むところがあって。僕、仕事終わりで富山に行って、そこに入りに行ったんですけど、やっぱりすごかったですね。で、現地の人たちと話していたら、富山をはじめ北陸には北陸で、まだまだすごいサウナがいっぱいあるって言っていて……。

ーー地元では有名でも、そういう情報って、なかなか入ってこないですものね。

原田:そうそう。ウォータースライダーのところだって、相当昔からあって、地元では結構有名みたいなんですけど、やっぱりサウナって、どこか温泉にくっついているようなイメージだったじゃないですか。だから、温泉はいろいろ紹介されても、そこにあるサウナまでは細かく紹介されてなかったりとかして。まあ、何にしても、サウナに入って、水風呂に入って、ととのって……で、そのあとお湯を楽しむっていうのは、最高ですよね(笑)。

ーー近いうちに、またこの3人に会えるような気がしてきました(笑)。

原田:うん、そうですね。楽しみですよね。

ーーそれまでは、つい先日発売された『サ道』のボックスセットを楽しんで……これ、特典映像もすごいですよね。「ととのいシーン15連発」っていうのが入っていて。

原田:ははは、そんなの入っているんですか(笑)。

スタッフ:SNSで、“ととのい”シーンをまとめて観たいという方が多かったので、入れさせていただきました(笑)。

ーーあと、メイキング映像の他、サウナフェスのプレミアムトークショーとサウナアンバサダー授与式の模様も収録されています。

原田:ああ、トークショー、やりましたね。あれも楽しかったな。他の番組のトークショーとは、お客さんの食いつきが違うというか、みんなニコニコしながら真剣に聞いてくれるので。そんな機会、滅多にないですよね(笑)。

ーー(笑)。では最後、そんなボックスセットの見どころ的なものを。

原田:ちょっとまだ、特典映像までは観られてないんですけど、とりあえずドラマ本編を観て、そこに出てくるサウナ施設に行ってみたいと思って、実際行ってくれたら嬉しいですし、ドラマを観て気持ちを高めながら、自分のホームサウナに行ってくれても嬉しいですし、それこそこのドラマを観ながら“ととのった”感じになって、家でビールを飲んでくれてもいいですし……ホント、いろんな楽しみ方があるというか、人それぞれの楽しみ方でいいと思うんですよね。

ーーまさしく、サウナの楽しみ方が、人それぞれであるように。ちなみに、どこかのサウナで原田さんに遭遇してしまった場合は、どのように反応すれば良いのでしょう?

原田:あ、実際のサウナでですか? 僕、普通にいるからなあ(笑)。みんな普通ですよ。特に話しかけるでもなく。あ、でも、こないだ駒込の「ロスコ」に行ったら、そこでは3人ぐらいの人に、「今度のスペシャル版、楽しみにしています」って言われました(笑)。ホント、サウナって不思議な場所ですよね。お互い裸じゃないですか。

ーーああ、ある種、お互い無防備というか。

原田:そうそう。お互い裸だから、一緒に写真を撮ってくださいみたいなものもないですし。だからホントに“人対人”というか……そういうところも、ちょっと動物ドキュメンタリーみたいな感じなのかもしれないですよね。お互いのことを意識しても、特に何も言わないっていう(笑)。なので、全然普通にしていてくれて大丈夫です。(取材・文=麦倉正樹)

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