アド・アストラ
19/9/20(金)
(C)2019 Twentieth Century Fox Film Corporation
ジェームズ・グレイ監督はつくづく、父と子の絆/確執を、ギリシア悲劇のような重厚なドラマに仕立てるのが巧いと思う。彼が初めてブラッド・ピットとタッグを組んだ本作も、ひとことで言えば宇宙を舞台にした父と息子のドラマだ。
家族よりも宇宙の探求を選び、やがて消息を絶った父に対し、息子は癒えない怒りを抱いている。だがある日、父が太陽系の彼方で生きていることが分かり、父同様、宇宙飛行士となった息子が探索を命じられる。
アクションよりも静けさの方が印象に残る。閉ざされた空間、宇宙服の内側の、主人公の孤独と葛藤。何度なく観てきたSFが新鮮に見えるのは、美術、音響デザインの素晴らしさにも拠るだろう。『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』に続くブラピ最高峰の演技とともに、深く、静かに胸を打つ。
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