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『恋つづ』七瀬は天堂と肩を並べて歩く 令和の少女マンガ的ラブストーリーが伝えたもの

リアルサウンド

20/3/18(水) 10:50

「お前、向こうで浮気するなよ」

「バーカ!」

 火曜ドラマ『恋はつづくよどこまでも』(TBS系)が、3月17日にフィナーレを迎えた。ヒロイン佐倉七瀬(上白石萌音)に対して、ドSドクター“魔王“こと天堂浬(佐藤健)が、ツンデレどころか、ついにデレ100%に。「打倒、魔王!」からスタートした、この恋物語。“勇者“の七瀬が果敢に追いかける構図だったが、気づけば「もうお前を可愛がることしかできない」というセリフが飛び出すまでに、お互いの気持ちが盛り上がる。

参考:王道ラブコメで証明された、佐藤健の真の凄さ 手のひらで転がされていた『恋つづ』の3カ月

 しかし、七瀬の中にちょっぴりモヤモヤとするものが。それは、恋人としては気持ちが通じ合ったものの、医師と看護師として、ひいては人の器が釣り合いの取れたカップルにはなれていないということ。そんな折、七瀬のもとに看護留学の話が飛び込んでくる。願ってもないチャンス。だが、せっかく想いが通った天堂のそばを離れたくない。その心の揺れを、天堂が見逃すはずもなく、「行って来い」と背中を押す。

 空港で見送る際、最後の指導と言わんばかりに注意事項を伝える天堂に「はい」と威勢よく答える七瀬。だが「浮気するなよ」の言葉には「バーカ!」とキスで返す。七瀬にとって「バーカ」は、失敗するたびに天堂から散々言われてきたセリフ。一方的な叱咤の言葉だったものが、今ではふたりの間に特別な意味を持って響く。七瀬からそれを言えるほどに、天堂の愛が彼女に自信を持たせてくれたということ。そして、さらに成長して帰ってくる、という決意表明でもあったのだろう。

 「一人前になったら」天堂と七瀬の恋と並行して、天堂の姉・流子(香里奈)と仁志(渡邊圭祐)の間にも、そんな相手と釣り合う自分になろうという姿勢が見えた。令和の少女マンガ的ラブストーリーの結末は、ヒロインの一途な想いが成就して終わりではなく、その先に愛しい人と対等なパートナーとなって肩を並べて歩くということ。相手へのリスペクトと自己研鑽とのバランスが取れてこそ、「そして2人は幸せになりましたとさ」というハッピーエンドになるのだ。

 それにしても、最終回はこれでもかと天堂と七瀬の仲睦まじい姿が映し出さされた。2人で迎える、遅めの朝。一足先に目覚めた七瀬はキッチンに立ち、食事の用意を進める。そこに「おはよう」と寝ぼけなまこの天堂がやってきて、作業中の七瀬の肩をつかみ後ろから抱きしめる。さらに、顎を引き寄せ甘いキス……が、開始1分から繰り広げられる。

 ジェンガをすればじっと見つめ合ってゲームどころではなくなってイチャイチャ。うなぎを食べるときも山椒のかけ方でワチャワチャ。雨に濡れて泣く七瀬を抱きしめる天堂。留学から帰ってきた七瀬を抱きしめてグルグルと回る天堂……ラブ濃いめ、ベタ増し増し、恋愛ドラマの王道全部のせといった具合だ。

 「こんなのドラマじゃん」とツッコミたくなるシーンの連続に、ふと気づく。それを言うのは、現実の世界の話だったと。そして、思わずこんなことを言いたくなったのは、きっとこのドラマに現実を感じていたから。それは「たけもね」の呼び名でファンから愛された、佐藤健と上白石萌音の2人にほかならない。ドラマがスタートするころ、どこか主演のポジションに恐縮気味な上白石と、自分にできることをやっていこうという強い覚悟を持った佐藤健の姿が印象的だった。

 だが、回を重ねるうちに徐々に2人の距離が縮まっていく様子が、番組公式SNSで披露されるプライベートショットのような動画でも伝わってきた。恋愛から仕事上のパートナーになろうという七瀬と天堂との関係性とは逆方向に、「たけもね」の場合は仕事上のパートナーとしての信頼関係が生まれことで、本当の恋愛関係にあるような空気感が作り出せたのではないだろうか。

 きっと、私たちはいつも現実の中にドラマを見て、ドラマの中に現実を探しているのだ。いい役者とは、その境目が曖昧になるような世界を作り上げてくれる人のことなのかもしれない。上白石は七瀬とリンクする形で、自信を身につけた大人の女性的魅力が増していき、佐藤健はそんな上白石のことを頼もしく思いながらも可愛がる様子が天堂と重なって見えた。さらに、もとからあった上白石の健気さ、佐藤健の色気も相まって、2人のリアルが、このドラマをこれほどの話題が集まる作品に仕上げたのだ。

 オンエア後Twitter上では、「恋つづ」「佐藤健」「勇者ちゃん」「天堂先生」「来生先生」……と、関連用語が次々とトレンド上位に並び、なかには放送開始直後から甘々シーンの連続に「開始1分」がトレンド入りを果たす。さらに、動画配信サービスのParavi(パラビ)が公式Twitterで「きゅんきゅんに耐えられず、Paraviのサーバーが“キュン死“してしまいました」とつぶやかれたように、見逃し配信のアクセスが集中するほど、多くの人を夢中にさせた『恋つづ』。

 「たけもね」の2人が、リアルな人間力で見せてくれた王道の胸キュンドラマ。今度は私たち自身が、自分の人生に「ドラマ」を作り出す番だ。

(文=佐藤結衣)

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