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にじさんじ、ホロライブ、KAMITSUBAKI STUDIO……音楽シーンに進出するVTuberの動向を追う

リアルサウンド

20/3/15(日) 12:00

 ライブイベントの開催やメジャーデビューなど、VTuberが音楽シーンに進出する機会は日を追うごとに増えてきている。これまでのVTuberの音楽活動はソロ・ユニット単位がほとんどだったが、バーチャルライバーグループ「にじさんじ」、VTuber事務所「ホロライブプロダクション」といったグループも音楽方面に手を伸ばしており、VTuber・クリエイターが所属するYouTube発の音楽レーベル<KAMITSUBAKI STUDIO>もまた独特の存在感を放っている。

(関連:VTuber 輝夜 月が語る、音楽活動への思いと新たな挑戦「歌詞を書く楽しさが分かってきた」

■大規模ライブイベント、様々なユニットが日々生み出される にじさんじ

 YouTubeでの生配信を中心に活動するバーチャルライバー(VTuber)グループ「にじさんじ」は、2019年10月2日に9組20名が出演した『にじさんじ Music Festival~ Powered by DMM music~』、12月8日に15名が出演した『Virtual to LIVE in両国国技館』と、イベント会場・出演人数ともにVTuberグループとしては過去最大規模のライブイベントを開催している。2月9日からは札幌・東京・名古屋・難波・福岡での全国ツアー『にじさんじ JAPAN TOUR 2020 Shout in the Rainbow!』も開催中。難波では追加公演が決定するなど、勢いを緩めることなく音楽展開を続けている(東京公演は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため中止)。

 また、メンバーのメジャーデビューも次々決定しており、月ノ美兎はソニー・ミュージックレーベルズより、樋口楓はLantisより、御伽原江良&森中花咲のユニット「petit fleurs」はNBCユニバーサル・エンターテイメントより、童田明治・える・緑仙ら6名のユニット「Rain Drops」はVirgin Musicよりデビューすることが発表された。

 にじさんじに現在所属しているメンバーは97名(2020年3月9日時点)。VTuberグループでも総数は突出しており、普段は歌中心の活動を行っていないメンバーであっても、歌配信や楽曲カバー動画でその歌唱力を見せていることも多い。日々の生配信を通じて親しんだメンバーが、先述のライブイベントや『にじさんじ Music MIX UP!!』『SMASH The PAINT!!』といったCDで見せる新たな一面は数多くのファンを惹きつけている。

 その層の厚さから、様々な組み合わせのユニットを多数生み出せることも特長の1つだろう。『にじさんじ Music MIX UP!!』では物述有栖&シスター・クレアの「purepalet」、宇志海いちご&家長むぎ&勇気ちひろの「ぷりずむりりっく!」、花畑チャイカ&ジョー・力一の「グリーンルージュ」など、それまでありそうでなかったユニットが実現している。また、両国ライブで披露された「林檎もぎれビーム!」カバーや「Rain Drops」のユニット構成のように、男女混合での展開を行っている点も興味深い。

 2019年8月20日には、kz作曲のにじさんじ1周年記念楽曲「Virtual to LIVE」が発表され、以降の節目やライブイベントごとに様々なメンバーによって披露されている。グループ全体としての統一感というよりは、メンバーごとの個性や個性の掛け合わせによって生まれる化学反応を重視した展開がにじさんじの魅力と言えるだろう。

■全体でひとつ、アイドルグループ的展開を見せる ホロライブ

 VTuber事務所「ホロライブプロダクション」内には、女性グループ「ホロライブ」、音楽レーベル「イノナカミュージック」、男性グループ「ホロスターズ」が存在しており、特にホロライブとイノナカミュージックの音楽方面への進出が目立っている。

 1月24日、豊洲PITにてホロライブ初の全体ライブ「hololive 1st fes.『ノンストップ・ストーリー』」が開催された。ライブではホロライブ全体曲「Shiny Smily Story」や、ホロライブ1期生(赤井はあと、アキ・ローゼンタール、白上フブキ、夏色まつり、夜空メル)歌唱による「夢見る空へ」などのオリジナル楽曲が披露されている。

 ホロライブの音楽展開は、全体を通してアイドルグループのような方向性だ。全体ライブではホロライブ・イノナカミュージックのメンバー全員が出演し、統一感のあるアイドル衣装に身を包みパフォーマンスを行っている。ライブ内でも全員にソロで歌う機会が用意されつつ、オリジナル楽曲はユニット・全体で用意されるバランスは、その時々で選抜されたメンバーがライブで晴れ姿を見せるにじさんじとはまた違う魅力がある。

 また、ビクターエンタテインメントよりメジャーデビューしており、3月4日にミニアルバム『My Loving』を発売したときのそらや、2018年11月デビューでありながら5月16日に5度目のワンマンライブを予定しているAZKiもアーティストとして注目していきたい。

■花譜、カンザキイオリら属するレーベル<KAMITSUBAKI STUDIO>

 2019年10月に発足したばかりのクリエイティブレーベル<KAMITSUBAKI STUDIO>は、VTuber業界の中でも異質な存在感を放っている。ハッシュタグが世界トレンド1位を獲得するなど大きく話題となった1stワンマンライブ『不可解』を開催したバーチャルシンガー・花譜や、花譜のオリジナル楽曲すべてを制作するカンザキイオリ、イラストレーター・PALOW、2人組音楽ユニット「DUSTCELL」など、VTuberに限定しないシンガーやクリエイターを多く擁するレーベルだ。

 花譜以外のバーチャルシンガーも所属しており、バーチャルラップシンガー・春猿火、バーチャルダークシンガー・ヰ世界情緒、花譜の直接的な系譜とされるバーチャルシンガー・理芽のデビューがレーベル発足とともに発表。すでにオリジナル楽曲の発表を開始している。

 発足して半年足らずということもあり、レーベルを挙げてのフェスといった全体での動きはまだ多くないものの、音楽から拡張した物語や作品を生み出すプロジェクトとして「NBM by KAMITSUBAKI」を発表するなど、<KAMITSUBAKI STUDIO>は実験的な試みを積極的に行っている。今後の動向を見逃さないようにしておきたい。

 今回はグループ・レーベル単位でのVTuberの音楽展開にフォーカスしたが、キズナアイ、富士葵、MonsterZ MATE、かしこまり、えのぐ、GEMS COMPANY、星乃めあ、まりなす(仮)、YuNi、ヒメヒナ、KMNZ……等々、ソロ・ユニット単位でも挙げきれないほどのVTuberが音楽活動を盛んに行っている。2020年はこれまで以上にVTuberの音楽シーンでの活躍が期待される。(佐藤ホームズ)

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