家族を想うとき
19/12/25(水)
『家族を想うとき』 (C)Sixteen SWMY Limited, Why Not Productions, Les Films du Fleuve, British Broadcasting Corporation, France 2 Cinema and The British Film Institute 2019/photo: Joss Barratt, Sixteen Films 2019
世界的な巨匠にしてプロレタリアート映画の鬼才ケン・ローチの目線は、つねに虐げられた労働者に置かれている。本作も、また然り。
家族のために必死で働いているものの、そのために家族と過ごす時間はどんどん失われていく。労働時間はコンピューターに管理され、雇い主は病気だろうが家庭の事情だろうが、働けと言ってくる。フランチャイズという名の奴隷契約。そこに人情が介入する余地はない。こんな世の中でいいのか!?
市井の人々の慎ましい生活をリアルに、ユーモラスに描きながらも、ローチは怒っている。家庭を崩壊に導くのは多くの場合、コミュニケーションの不在だが、それを招く労働条件にも問題がある。重い。これは重いテーマだ。
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