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オランダ出身のアーティスト、マーク・マンダース 日本の美術館では初となる個展の展示風景をレポート!

ぴあ

21/3/26(金) 18:00

マーク・マンダース《4つの黄色い縦のコンポジション》(2017-19)

オランダ出身のアーティスト、マーク・マンダースの日本初となる個展『マーク・マンダース ─ マーク・マンダースの不在』が東京都現代美術館で3月20日に開幕した。「建物としての自画像」という構想に沿って制作された。33点の作品が並ぶ。

マーク・マンダースは、1968年生まれ。現在はベルギーにて制作を行っているマンダースは「建物としての自画像」という独自の制作コンセプトを18歳のときに見出し、以降30年以上にわたって、すべての作品をこのコンセプトに沿って制作している異色のアーティストだ。展示空間に配された作品群は自身が架空の芸術家として名付けた「マーク・マンダース」の自画像の一部として構成されている。

本展は、東京都現代美術館の約1000㎡あるワンフロア全体を「想像上の一つの建物」に見立て、彫刻やドローイングを配置したインスタレーションとして構成したものだ。

彫像や家具、ドローイングに言葉などを組み合わせた、ひと目見ただけでは理解しきれない作品を前に、人々はさまざまな思いを巡らせていく。

《乾いた土の頭部》(2015-16)
《マインド・スタディ》2010-11年

《マインド・スタディ》は2013年のヴェネツィア・ビエンナーレに出品された作品。ワイヤーで結び付けられた彫像と椅子の間から生まれる緊張感が会場全体を取り巻いているようだ。作品は彫像だけでなく椅子やテーブルも、マンダースが制作したものだという。

マーク・マンダース《4つの黄色い縦のコンポジション》(2017-19)

巨大な彫刻作品《4つの黄色い縦のコンポジション》は、ひび割れた粘土のように見えるが、実際は鋳造された青銅に着色を施している。

マンダースの彫刻作品は、顔に木片が差し込まれたり、人体の一部が欠けていたりと、人体のなにかが欠けているものが多い。そして、そのことで観客は単なる彫刻作品を鑑賞しているとき以上に思いを巡らせることとなる。

《椅子の上の乾いた像》(2011-15)
《乾いた土の頭部》(2015-16)
展示風景より

長く続く廊下には1990年から現在に至るまでに描かれた無数のドローイングが並ぶ。

《完了した文》(2003-20)

展覧会の最後の空間は、「ミュージアムルーム」と呼ばれるエリアで、これまでのマンダース作品の一部が並んでいる。重厚なものから、軽やかさを感じさせる作品まで幅広い作品を展示することで、「マーク・マンダース」という架空の人物の奥深さが示されているようだ。

《3羽の死んだ鳥と墜落する辞書のある小さな部屋》2020

残念ながら、マーク・マンダース本人は来日が叶わず、展覧会初日から文字通り「不在」であった本展。しかし、架空の作家「マーク・マンダース」の存在は、静寂な空間と作品を通して強く感じることができる。作家の独特な世界観にどっぷりと浸かってみてほしい。

取材・文:浦島茂世

【開催情報】
『マーク・マンダース ─ マーク・マンダースの不在』
3月20日(土)~6月20日(日)、東京都現代美術館にて開催
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/mark-manders/

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