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ジョニー・デップ演じるグリンデルバルド最後の姿に 復習マストの『ファンタビ』第2作をおさらい

リアルサウンド

20/11/13(金) 8:00

 『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』が本日11月13日の日本テレビ系『金曜ロードSHOW!』で初放送されます。ちょうど今、出演者の降板問題が話題になっている本シリーズ。1作目の『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』を振り返りながら、『ハリポタ』シリーズとの関連性や違い、魅力に迫りましょう。

前作で描かれたシリーズの世界観、大人向けのハリポタワールド

 『ファンタビ』の愛称で親しまれている本シリーズは、『ハリー・ポッター』に登場した教科書『幻の生物とその生息地(Fantastic Beasts and Where to Find Them)』の著者、ニュート・スキャマンダー(エディ・レッドメイン)が主人公の作品。時代設定も1920年代と、本シリーズの約70年前まで遡った前日譚的な物語なのです。1作目ではニュートが魔法動物関連の目的で渡米。しかし、そこでオブスキュラスという怪物の暴走に出会してしまい、アメリカの魔法省ことアメリカ合衆国魔法議会(MACUSA)に務める闇祓いのティナ(キャサリン・ウォーターストン)、彼女の妹のクイニー(アリソン・スドル)、そして同じく騒動に巻き込まれたノーマジ(非魔法人)のジェイコブ(ダン・フォグラー)とともに事態を解決しようとしました。

 前作の大きな魅力はまず、その渦中に脱走してしまった魔法動物たち! 金目のものに目がないニフラーや羽の生えた蛇のオカミー、ニュートの渡米理由でもあるサンダーバードをはじめとする様々な生物が登場して楽しい雰囲気が満載でした。

 そして何より『ハリポタ』との大きな違いは、主人公たちが社会人であること、つまり大人の魔法世界が見られることです。『ハリポタ』はあくまでホグワーツという魔法学校を舞台にしたシリーズであり、私たちはハリーをはじめとする生徒らが卒業後、実際どんな風に就職したり、マグルの住む世界で暮らしたりするのか気になって仕方ありませんでした。『ファンタビ』はそのアンサーともいえるシリーズなのです。魔法省などは以前にも出てきましたが、やはりアメリカにも同じような機関があり、そこに勤めていることが魔法界のエリートの証だということも本作で改めて認識できます。もっとも、これは1926年の話なのでハリーたちの子供の代とかはもっと色々な就職先があるのかもしれません。というか、ホグワーツって羽ペンとインクっていう中世スタイルでの筆記だし、パソコンの授業なんて絶対ないだろうから、みんなスマホとか操作できるのかな? IT企業とかってやはりマグル向けなのかな? 意外と就職難になっていない? みんな大丈夫?……と、考え出すとキリがない魔法界のお仕事事情(ちなみに『ハリポタ』のメインキャラは魔法省か教授、学者、日刊預言者新聞の記者になっています)。

 しかし、本シリーズが大人向けと言われる所以は他にもあります。

シリーズの鍵となるのは“愛”?

 そう、本シリーズはとにかく大人の恋が印象的に描かれていて、ハリーたちのウブい初恋と比べて切なくもあるのです。ニュートにはリタ・レストレンジ(ゾーイ・クラヴィッツ)という初恋の相手がいて、彼女はニュートの兄・テセウス(カラム・ターナー)と婚約している。ずっと彼女の写真を持っていた彼ですが、1作目で出会ったティナのことが少し気になり、2作目『黒い魔法使いの誕生』では彼女への恋心を募らせます。そして逃亡者のクリーデンス(エズラ・ミラー)も、本編削除シーンで同じく身寄りのないナギニ(クラウディア・キム)の手の甲にキスを落とすなど、強い気持ちを持っていることが伺える。一方でティナの妹・クイニーも、ノーマジのジェイコブと恋に落ちる。本来、魔法使い(魔女)とノーマジの結婚は禁止されていて、法律を破ればアズカバン行きになってしまうほどの重罪。そんな種族の違いによる叶わぬ悲恋が、『黒い魔法使いの誕生』では大きな鍵となってきます。そしてもう一つ、鍵となる恋がダンブルドア(ジュード・ロウ)と宿敵グリンデルバルド(ジョニー・デップ)のもの……。

グリンデルバルドと、彼の仕掛ける世界魔法大戦の意義

 グリンデルバルドとダンブルドアの間には歴史があります。『黒い魔法使いの誕生』の劇中にも2人が「破れぬ誓い」を交わしていることが明かされていますが、これはお互いが学生の時、近い未来で戦い合わないように取り決めたもの。著者のJ・K・ローリングも、『黒い魔法使いの誕生』のブルーレイ特典映像にて、2人が恋仲にあったことを明言しており、特にダンブルドアが彼を深く愛していることを語っています。しかし彼らの確執が生まれるきっかけとなったのが、劇中のリタ・レストレンジとダンブルドアの会話に出てきたアリアナ・ダンブルドア、彼の妹です。

 彼女は幼少期、マグルからよくいじめられていました。そういった精神的または肉体的に苦痛を感じ続けたり、虐げられたりする状況でオブスキュラスが生まれるのです。オブスキュラスを宿した魔法属の子はオブスキュリアルと呼ばれ、彼らはたびたび感情のコントロールを失うとオブスキュラスを暴走させて周囲を攻撃してしまう。アリアナもまた、魔法を暴発させてしまう癖があり、そこから彼女がオブスキュリアルだったことが考えられます。ある時、彼女の暴走を巡ってアルバスと弟のアバフォース(キアラン・ハインズ/『死の秘宝 PART2』に登場)、グリンデルバルドの三者が口論になり、決闘へと発展。その時の誰かの攻撃が誤ってアリアナに当たり、彼女は死んでしまった。ここから、ダンブルドアとグリンデルバルドには確執が生まれたのです。

 そしてそもそも、彼がアリアナのことで兄弟に口出しをした理由は2作目で明かされた彼の信念によるものでした。それは「魔法使いはマグルに虐げられ、隠れて生活をする必要がない」、世界を、そして非魔法人を支配する側であるべきだという信念。彼はアバフォースに「魔法使いの世界を表舞台とし、マグルに身の程を知らせれば哀れな妹は隠れなくてもいいし、いじめられずに済む」と主張していたのです。ここで対立が生じるわけですが、これからわかるように、グリンデルバルドは魔法使い(純血)の地位を向上したい人なのです。彼は国際魔法使い機密保持法を廃止することで、世界を変えようと考えていました。その同志を募ったのが『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』なのです。そして、全5作を予定されているシリーズは、この魔法世界大戦を以てして幕が閉じられることが考えられます。

  『黒い魔法使いの誕生』ではもう一つのテーマがあり、それは前作のラストでオブスキュリアルとなってしまった青年クリーデンスの出生を巡る謎です。彼のアイデンティティーを解く旅でもある本作では、ラストになぜグリンデルバルドがクリーデンスを手の内に収めようとしたのか、その衝撃的な理由が明かされます。

『ハリポタ』シリーズの復習が必須の難解作品!

 このクリーデンスの出生にはレストレンジ家が絡んでおり、本作の最大の謎となっています。一応劇中で真相は明かされるのですが、これがあまりにも複雑! しっかり理解する上では『ハリポタ』シリーズの復習がマストとなっています。本の方が先述のダンブルドア家の悲劇、そしてグリンデルバルドのことがよく描かれていますが、映画でも簡単な復習は可能。

 例えばグリンデルバルド。すでに『死の秘宝 PART1』に登場しています。ヴォルデモート卿(レイフ・ファインズ)がニワトコの杖を探す際、それを杖職人から奪ったグリンデルバルドに会いに行くのです。彼は自身のヌルメンガード城に幽閉されていました。この城は『黒い魔法使いの誕生』のラストにクリーデンスを連れてきた場所として登場するのですが、彼が幽閉されていたことは世界魔法大戦での敗北を意味しています。原作本ではやってきたヴォルデモートに、自身を幽閉したダンブルドアを庇うかのようにニワトコの杖の在り処を隠していました。ところが映画版では嫌な奴よろしく、あっさり『ダンブルドアの墓』って教えちゃってるもんだから、印象が最悪!

 そして『ハリポタ』シリーズに姿こそ見せていないものの、実は登場していた人物がもう2人います。1人は錬金術師のニコラス・フラメル。『ハリー・ポッターと賢者の石』で、賢者の石を作った張本人であり、ダンブルドアの旧友である彼が『黒い魔法使いの誕生』では大いに活躍してくれます。そして、実は『ファンタビ』主人公のニュート・スキャマンダーも『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』にこっそり登場していました! 『魔法使いの旅』でのニュートは29歳、『アズカバンの囚人』では97歳になっていた彼の名が、忍びの地図に載っているのです。

グリンデルバルド役はジョニー・デップからマッツ・ミケルセンにバトンタッチ?

 結末はなんとなくわかっていても、その間にある謎の解明が面白い『ファンタビ』シリーズ。最新作はブラジルを舞台にすることが明らかになっていますが、キャスティングに思わぬ動きが。なんと、元妻であり女優のアンバー・ハードを訴えた名誉毀損裁判で、イギリス現地時間11月2日にロンドン裁判所から訴えを棄却され敗訴が確定したジョニー・デップが、ワーナー・ブラザースからシリーズの降板を求められたのです。名誉毀損の内容には彼の家庭内暴力の疑惑も含まれていたわけですが、出演料は満額支払われるとのこと。

 さらに、グリンデルバルドの代役として白羽の矢が立ったのがデンマーク出身の俳優マッツ・ミケルセン。現在、監督のデヴィッド・イェーツがラブコールを送っているのだそう(参照:Mads Mikkelsen In Talks To Replace Johnny Depp In ‘Fantastic Beasts’)。一体どうなってしまうのか! 最新作は本来2021年11月公開の予定でしたが、2022年夏公開に延期。それまでに本を含め、全シリーズの復習を完璧に終えておくのも良い待ち方ですね。

■アナイス(ANAIS)
映画ライター。幼少期はQueenを聞きながら化石掘りをして過ごした、恐竜とポップカルチャーをこよなく愛するナードハーフ。レビューやコラム、インタビュー記事を執筆。InstagramTwitter

■放送情報
『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』
日本テレビ系にて、11月13日(金)19:56〜22:54放送
※放送枠64分前拡大
※地上波初放送・本編ノーカット
原作・脚本:J・K・ローリング
監督:デヴィッド・イェーツ
出演:エディ・レッドメイン、キャサリン・ウォーターストン、ダン・フォグラー、アリソン・スドル、ジュード・ロウ、ジョニー・デップ
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