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ともさかりえ「舞台は自分がまるごと試される」 ミュージカル『衛生』〜リズム&バキューム〜出演

ぴあ

ともさかりえ 撮影:藤田亜弓

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古田新太と尾上右近のW主演ミュージカル『衛生』〜リズム&バキューム〜が2021年7〜8月、東京・大阪・福岡にて上演される。

古田新太と福原充則の「汚いミュージカルをやろう」という発案から始まった本作。福原が、自身初となるミュージカル作品を書き下ろす。排泄物を肥料として扱う業者一家の悪行三昧を、ポップかつグロテスクに、それでもあっけらかんと、音楽に乗せて描いていく異色のミュージカルになるという。

本作で、古田と尾上が演じる親子のライバル業者・瀬田好恵役を演じるのは、ミュージカル初挑戦のともさかりえ。どんな作品になりそうか、そして、このコロナ禍でどんなことを感じたのか。語ってもらった。

福原さんの「大丈夫です」を信じて

――出演にあたってはどんな気持ちですか?

すごく後悔しています(笑)。

――それはミュージカルが初めてだからですか?

私はミュージカルファンなので、絶対に、その神聖な場所だけは踏み入れてはいけないと思っていたんですね。それなのに、どうして引き受けたんだろうと、稽古の開始直前に自問自答を繰り返しています。

――それでも出演を決められたのは?

(本作で脚本・演出を務める)福原(充則)さんの『俺節』(2017)が大好きで。劇場で大感動したんです。こんな素敵な作品を作る人といつかご一緒してみたいなと、密かに憧れていた方だったので、今回、脚本・演出が福原さんと聞いて「え!!」と目が輝いたんですけど、ミュージカルと聞いて、「え〜」と思って(笑)。

お声がけいただいたのは嬉しかったんですけど、本当に役割が果たせるのかな、簡単にお引き受けしていいものなのかと悩んでいたんです。それで、福原さんとお話させていただく機会を作ってもらって、何か具体的なお話が聞けるかなと思ったんですけど、福原さんがとにかく「大丈夫です」としか言わない(笑)。

まぁ、でも、福原さんが「大丈夫です」というのなら、大丈夫なのかなと、自分の中で都合よく前向きに解釈をしました。「何かダメだったら、福原さんのせいにしよう!」って(笑)。それぐらい開き直らないと、歌があるということは、自分の中でなかなかハードルが高いことだったので。

正直、あまり思い出さないように過ごしてきたんですよ、だいぶ先の話だと思っていたので。そうしたら、こうやって取材を受けたり、台本をもらったりして、どうやらこれは現実らしい、と。最近受け止め始めているところです。

――あらすじを読んでも、なかなか斬新なストーリーですが、ともさかさんが脚本をお読みになった時の印象は?

私が最初にお話しいただいたときは、福原さんと、古田(新太)さんのお話ししか聞いていなかったんですが、でもこのふたりが組むということは、多分普通の芝居ではないんだろうなということは思っていて(笑)。

おふたりが組んでいらっしゃった『いやおうなしに』(2015)も大好きだったので、なんとなくの方向性は想像していて、きっと一筋縄ではいかないお芝居になるんだろうなと思っていたんですよ。それで脚本を読んだら、1ページ目から笑ってしまって。悪い人ばかりが次から次へと出てくるんですけど、それぞれ「悪い」方向性が違って、面白いんです。

「ミュージカル『衛生』〜リズム&バキューム〜」チラシ

出ている役者さんが格好いい役者さんばかりなので、きっと格好いい舞台になるんだろうな、劇場でこのチラシを見たら、観に行きたいと絶対思うな、とも思って。そこに参加させていただけるのは、ありがたいですよね。

――ともさかさんは2曲ほど歌うご予定があるそうですね。

まさに今日楽曲をもらったんですけど、私の役のテーマ曲が1曲と、みんなで歌う曲が1曲あります。結構歌うなと思っています(笑)

――今の段階で、演じられる瀬田好恵(せた・よしえ)役についてはどう捉えていますか?

本当にいろいろな悪い人が出てくる中で、多分私が演じるキャラクターは、「あ、いい人出てきた」と思うような、人当たりが一瞬いいんですよ。やさしい口調で、人当たりがいい感じだけど、すごくひどいことを言っている、みたいな。

いろいろなアプローチがあると思うんですけど、一瞬善人のように見えて、悪い人。私はそういう役回りなのかなぁと想像しています。

稽古前に台本が全部ある!(笑)

――そもそもこの公演が始まったのは「汚いミュージカルをやろう」という発想だそうですが、その点、ミュージカルファンとしてはどう思いますか?

面白いですよね、やっぱり。よくこんなこと思いつくなぁと思います(笑)。『俺節』を観たときも思ったんですけど、福原さんの中では、劇中で音楽を使ったり、歌を取り入れたりすることが、すごく重要なんでしょうね。 私がミュージカルが好きな理由も、楽曲にすごく惹かれるから。メロディに乗せて心情を吐露されると感動が倍増するし、メロディの威力を感じるんです。今回はまだ自分が関わる楽曲しか聴いていないですけど、みなさんそれぞれいろいろなタイプの曲を歌われると思うので、それもすごい楽しみですね。

多分普通のミュージカルではないんだろうなと思いつつ(笑)、どんな舞台になるのか、楽しみです。

――共演者の方とのエピソードや期待していることはありますか?

古田さんと六角(精児)さんは以前舞台でご一緒したことがあるんですけど、その他のみなさんは初めてです。

どうなるんですかねぇ。私はそんなに舞台経験ないんですけど、稽古前に台本が全部あるという現場をあまりやったことがなくて。だいたい稽古初日は全くゴールが見えないところからスタートするんですよ(笑)。それはそれで面白くて、私は好きなんですけどね。

今回は台本がすでに全部あるので、自分なりに「この方はこんな風にセリフを言うのかな」とか「古田さんってこういうセリフ似合うよな」とか(笑)、自分なりに妄想しながら読んでいます。早くみなさんが動いていらっしゃるところを見たいですね。

――ともさかさんは、事前に役を作っていくタイプですか?稽古場で作っていくタイプですか?

時と場合によるんですけど、そもそも稽古初日に台本5枚しかないというシチュエーションだと、予測が立たないじゃないですか(笑)。なので、何かプランニングをしてやるというよりは、その瞬間瞬間、与えられたものの中で、自分なりにイメージ膨らませながらやっていった結果、全然違うところがゴールだったという経験が結構あるんですよね。

今回は、逆に緊張しますよ。台本がもう全部あるんだもの(笑)。事前に準備する時間が与えられているので、いろいろと想像を膨らませてはいます。でも、福原さんの演出を受けるのが初めてですし、私がなんとなく想像している方向性と、福原さんが想像していることが果たして一致するのかどうか。答え合わせがこれから始まるわけですよね。「全然違った!」ということもあるので、その辺も含めて楽しんでいけたらいいなと思います。

先輩たちの背中を追いかけて

――ドラマや映画でご活躍される一方、舞台にも出演されています。ご自身の中では、何か違いはありますか、それとも通ずるものがありますか?

やはり別物だなと思います。もちろん演じるという意味においては同じものですけど、映像はあくまで編集されたもの。編集の力によって、よく見せていただいたりとか、違う魔法がかかったりするけど、舞台のあのライブ感は、映像をずっとやってきた身としては、全く別物というか、本当に特別だなと思うんですよね。

舞台は今その瞬間の自分がまるごと試される場だと思います。古田さんはじめ、先輩たちを見ていると、本当に当たり前のように舞台に立っていらっしゃるけど、それがいかに難しいことなのか。自分が舞台に関わるお仕事をする度に、反省の連続ですよ。でも、格好いい先輩の背中を見ながらお仕事ができるのは幸せなことなので、そこは存分に力を借りながら楽しんでやりたいですね。

――このコロナ禍で演劇界は多大な影響を受けました。ともさかさんご自身はこのコロナ禍で、どんなことを感じていらっしゃったのでしょう?

去年の春頃は私も完全に仕事がストップして、再開の目処がついていなかったんですよね。役者は役やセリフを与えてもらって、初めて成立する仕事。もちろん、その中でできることもあるという方もいらっしゃると思いますが、役者の本質としてはすべてが断たれたなとその当時思っていて。舞台の公演なんてできるのかな、ずっと稽古してきたものが、全く日の目を浴びないなんて、そんな絶望ないよなと思って。

だから、この作品も本当にやれるのかなと去年は正直思っていました。誰にも分からないじゃないですか、明日どうなるかなんて。

でも、久しぶりに劇場に行って、ミュージカルを観る機会があったんです。高校の同級生でもある水樹奈々ちゃんが帝国劇場で主演していた『ビューティフル』。それを観た時に、やっぱり生はいいなぁ、この感動は配信では絶対に味わえないものだなぁと改めて思ったんですよね。もちろん今の環境下で配信などの選択肢があると思いますけど、生で、客席でみんなで感動を共有してというあの感覚は、やっぱり唯一無二のものだなぁと思いました。

私にとって、コロナ禍ではこれが初めての舞台出演です。無事にみんなで元気に最後まで乗り切れたら。それだけを今は祈っています。

――コロナ禍で、仕事でもプライベートでも変わったことありますか?

大したことではないのですが、去年の自粛期間中に、Instagramでインスタライブをやり始めました。マメにやっているわけではないのですが、こういうタイミングだからこそ、全く演じていない素の自分みたいなものを見てもらってもいいのかなと思って。

それで、やったらすごく楽しくて! やっぱり私たちの仕事って、何か演じている姿を見てもらう仕事じゃないですか。取材でも、作品を通しての話がメインだから、なかなか自分のことを語る場がありそうでなかったりする。それをリアルタイムでみんなでシェアできるのは面白いなと思いましたね。

――最後に、公演を楽しみにされているお客様に一言お願いします!

いわゆるザ・ミュージカルを想像して来てくださるお客様は、ちょっとざわざわするかもしれないです(笑)。けど、本当にカッコいい人たちばかり登場しますし、この福原さんの唯一無二の世界観をぜひ劇場で一緒に共有できたら嬉しいです。

この生の面白さは観ていただかないと絶対伝わらない。ぜひ気軽に観に来てくださったら嬉しいです。



取材・文:五月女菜穂 撮影:藤田亜弓

ヘアメイク:伴まどか スタイリスト:斉藤くみ ワンピース¥39,600/デ•プレ シューズ¥25,300/トゥモローランド イヤーカフ¥35,200•リング¥25,300/ブランイリス エストネーション六本木ヒルズ店(ブランイリス) お客様お問い合わせ先:デ•プレ/0120-983-533・トゥモローランド/0120-983-511・ブランイリス エストネーション六本木ヒルズ店/0120-503-971



公演情報
ミュージカル『衛生』〜リズム&バキューム〜
脚本・演出:福原充則
音楽:水野良樹 (いきものがかり)/益田トッシュ
出演:古田新太、尾上右近、咲妃みゆ、石田 明(NON STYLE) 、村上 航、佐藤真弓、ともさかりえ、六角精児 他

【東京公演】
2021年7月9日(金)〜7月25日(日)
会場:TBS赤坂ACTシアター

【大阪公演】
2021年7月30日(金)〜2021年8月1日(日)
会場:オリックス劇場

【福岡公演】
2021年8月9日(月・祝)〜2021年8月11日(水)
会場:久留米シティプラザ

★5月29日(土)10:00より東京公演チケット一般発売開始!
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2170925

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