12月15日、King Gnuがアリーナツアー「King Gnu Live Tour 2021 AW」のファイナル公演を国立代々木競技場第一体育館(以下、代々木第一体育館)にて開催した。新型コロナウイルス対策における行動規制緩和により、大規模イベントへの参加人数の上限が撤廃された流れもあり、この日会場に集まったのは満席の約11000人。声援をあげられないという制限は引き続き、感染症対策に細心の注意を払いつつ、確かな熱気で満ちていた。メンバーもそうだが、やっとここまできたという思いは、誰もが感じていたのではないだろうか。埋め尽くされた客席に向け、常田大希(G&Vo)、勢喜遊(Dr&Sampler)、新井和輝(Ba)、井口理の4人は、それぞれ圧倒的な存在感を放ち、スタジアム級ロックバンドの分厚いバンドサウンドで魅了した。
代々木第一体育館というと、2020年3月、大ヒットアルバム『CEREMONY』を携えた全国ツアー「King Gnu Live Tour 2020“CEREMONY”」の東京公演、およびKing Gnuにとって関東圏初の単独アリーナ公演として用意していた会場である。本来であれば、1964年東京オリンピックに備えて建てられた代々木第一体育館で、オリンピックイヤーである2020年に、聖火のごとく燃え上がるような舞台で“CEREMONY”を行う予定だったが、コロナの影響にてツアーごと中止に。King Gnuは、同ツアーのリベンジを、2020年秋のアリーナツアー「King Gnu Live Tour 2020 AW“CEREMONY”」で果たした。東京オリンピックのために建てられた日本武道館でも、その炎を燃えあがらせたのである。誰もがコロナウイルスに振り回され、一進一退の状況のなか、コロナ後初の有観客ツアーを1日も欠けることなく成功させた。それが、ちょうど1年前のことだった。
今回の「King Gnu Live Tour 2021 AW」も全国7会場14公演を完走し、のべ約9万人を動員。12月15日の代々木第一体育館は、ドシッと重たく太いビートが地に響くように「飛行艇」で幕を開けた。会場中に爆音が轟き、赤く照らされたステージに、アリーナへ襲いかかるように過剰なほどのスモークが立ち込める。その中に常田、井口、新井、勢喜の姿が見える。堂々たるオープニングだった。続く、高速ナンバー「千両役者」ではバキバキのレーザーが四方八方にクロスし、メンバーを追う左右のLEDに勢喜がドラムを叩きながら叫ぶ姿が映し出されると、客席がジャンプし盛り上げる。「Vinyl」「Sorrows」とテンポが真逆の曲を交互に披露するのだが、テンポが変わろうが、リズム隊の圧倒的なグルーブでもっていく。常田のファズギター、井口が手拍子をあおり、オープニングから一気に盛り上げた。
コロナ後、全国ツアーを仕切り直して以降、「King Gnu Live Tour 2020 AW“CEREMONY”」「King Gnu Live Tour 2021 AW」と1日も欠けることなく、2本の全国ツアーを完走したが、とりわけ、日本武道館公演とこの代々木第一体育館公演は、先が見えない中でも前へ進む、コロナ禍におけるKing Gnuを象徴する2公演になったと思う。どちらも特別な会場であり、そのときの状況と彼らの感情の変化を、それぞれ強烈に刻んだ(日本武道館公演はニューシングル「一途/逆夢」の初回生産限定盤の特典Blu-rayに収録)。2021年も終わろうとしているが、新曲「一途」よろしく、猛スピードでまっすぐに突進し、さらなる大きなステージが見えるようだった。今後も、King Gnuは歩みを止めないだろう。状況がよくなることを願いつつ、個人的にはドーム公演はもちろん、海外の音楽フェスティバルでも彼らの勇姿を見たい。そんな未来を夢みさせる圧倒的なライブだった。
取材・文/PMC編集部
King Gnu Live Tour 2021 AW
全国7会場14公演で延べ約9万人動員
ツアーファイナルの国立代々木競技場第一体育館約11000人動員
10月29日(金)仙台 ゼビオアリーナ仙台 OPEN 18:00/START 19:00
10月30日(土)仙台 ゼビオアリーナ仙台 OPEN 16:00/START 17:00
11月 6日(土)福岡 マリンメッセ福岡A館 OPEN 15:30/START 17:00
11月 7日(日)福岡 マリンメッセ福岡A館 OPEN 15:30/START 17:00
11月12日(金)札幌 真駒内セキスイハイムアイスアリーナ OPEN 18:00/START 19:00
11月13日(土)札幌 真駒内セキスイハイムアイスアリーナ OPEN 16:00/START 17:00
11月17日(水)大阪 大阪城ホール OPEN 17:00/START 18:30
11月18日(木)大阪 大阪城ホール OPEN 17:00/START 18:30
11月27日(土)埼玉 さいたまスーパーアリーナ OPEN 15:30/START 17:00
11月28日(日)埼玉 さいたまスーパーアリーナ OPEN 15:30/START 17:00
12月 4日(土)名古屋 Aichi Sky Expo OPEN 15:30/START 17:00
12月 5日(日)名古屋 Aichi Sky Expo OPEN 15:30/START 17:00
12月14日(火)東京 国立代々木競技場第一体育館 OPEN 17:00/START 18:30
12月15日(水)東京 国立代々木競技場第一体育館 OPEN 17:00/START 18:30