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第4回:編集部おススメ③「映画と音楽シリーズ ブラック&ブラック」

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今年の「ぴあフィルムフェスティバル」で編集部がおススメするふたつ目は、3年前からPFF恒例となった、ピーター・バラカンがナビゲートする「映画と音楽シリーズ  ブラック&ブラック」。

ぴあ水先案内人の村山章さんに今年の上映作品と時代背景について解説頂きます!

一粒で二度も三度も美味しい好企画が今年も開催!

今年のPFFで3回目となるプログラム「ブラック&ブラック ~映画と音楽~」。現代のカルチャーとは切り離せない黒人文化や歴史を、映画と音楽という観点から紹介し、ナビゲーターを務めるピーター・バラカン氏のトークショーが付いた上映回もあるという、一粒で二度も三度も美味しい好企画だ。

今回上映されるのは、ブラックミュージックという広大な荒海をナビゲートしたふたりの巨人の伝記ドキュメンタリー。ひとりは言わずと知れたファンクの王様ジェームス・ブラウン。もうひとりは、日本での知名度は劣るかも知れないが、“ママ・アフリカ”の異名を持ち、アフリカ、アメリカ、ヨーロッパで絶大な支持を得た南アフリカ出身のシンガー、ミリアム・マケバ。どちらも昨年の「ブラック&ブラック」で上映された、伝説のコンサートドキュメンタリー『ソウル・パワー』の出演者である。

アパルトヘイトと戦い続けた活動家としての顔も持つ、音楽家ミリアム・マケバ

ミリアム・マケバの波乱万丈の生涯を追いかける『ミカ・カウリスマキ/ママ・アフリカ ミリアム・マケバ』を監督したのは、ワールドミュージックにも造詣が深いフィンランドの名匠ミカ・カウリスマキ。2011年の作品だが、今回のPFFが待望の日本初上映だ。

『ミカ・カウリスマキ/ママ・アフリカ ミリアム・マケバ』

マケバは1932年に南アフリカ共和国の首都ヨハネスブルグで生まれた。地元のアマチュアバンドで注目されてプロデビューを果たすが、当時の南アフリカは悪名高い人種隔離政策アパルトヘイトの只中にあった。

マケバは1959年のドキュメンタリー映画『Come Back, Africa(原題)』で歌を披露したことをきっかけに国外でも知られるようになり、ハリー・ベラフォンテの後押しでアメリカでブレイクするが、反アパルトヘイト的な態度と知名度を警戒した南アフリカ政府はマケバのパスポートを無効にする。マケバは母の葬儀に帰国しようとして初めて、祖国から追放されていたことに気づいたという。

驚くのは、それ以降のマケバの活動のスケール感。ブラックミュージックのゴッドマザー的存在となり、またブラックパワームーブメントを牽引する活動家として国連でスピーチし、アフリカ諸国の政治指導者たちと連携するなど、常に音楽に軸足を置きながらも、ミュージシャンという枠を完全に超えていた。その大きすぎる足跡を知るまたとないチャンスだ。

ファンクの王様ジェームス・ブラウンの知られざる光と闇

もう一本は、アカデミー賞監督アレックス・ギブニーが手掛けた『ミスター・ダイナマイト:ファンクの帝王ジェームス・ブラウン』。ジェームス・ブラウンを深くリスペクトするローリング・ストーンズのミック・ジャガーがプロデュースを務め、本人もコメンテーターとして出演している。

『ミスター・ダイナマイト:ファンクの帝王ジェームス・ブラウン』

本ドキュメンタリーの面白さは、ブラウンの生い立ちや音楽性を紐解くだけでなく、本人のフッテージ映像や関係者のインタビューを通じて強烈なキャラクターに斬り込んでいくこと。ブラウンがファンクというジャンルを創始し、ブラックミュージックからロック、ポップまでさまざまなジャンルに絶大な影響を与えたたことに疑問を挟む余地はない。しかしブラウンという人物には、華やかさとは表裏一体の闇の部分も付きまとう。

極貧の家に生まれ、才能と歌声を武器にのし上がった青年期から、黒人差別に真っ向から立ち向った人間的、社会的な成長。その裏で、独善的でカネに執着し、誰も信用しなかった孤独な内面。直接ブラウンと関わった人たちは、時に喜々として共に、時に苦々しさを隠さずにブラウンについて語る。光と闇のどちらからも目をそらさないギブニーの視点が、常人には理解しがたいブラウンの本質を暴いていく構成が実にエキサイティングだ。

最近ではBLM(ブラック・ライヴス・マター)という標語がすっかり定着しているが、その背景には、黒人差別への怒りがパワフルな音楽やカルチャーを生み出した激しい歴史がある。歴史の最前線で戦ってきたふたりの偉人を知ることは、すなわち現代を知ることにでもあるのである。

(文:村山章)

ピーター・バラカン ナビゲート
映画と音楽シリーズ「ブラック&ブラック」

https://pff.jp/43rd/lineup/black-and-black.html

■上映作品

『ミカ・カウリスマキ/ママ・アフリカ ミリアム・マケバ』
9/15(水) 18:00~/9/17(金) 18:30~
※9/15(水)はトークあり。9/17(金)はトークなし。

『ミスター・ダイナマイト:ファンクの帝王ジェームス・ブラウン』
9/22(水) 17:30~
※トークあり。

【ぴあからお知らせ】

いよいよ9月11日(土)より国立映画アーカイブにて開催!
「PFFアワード2021」全18作品は、DOKUSO映画館とU-NEXTで
10/31(日)までオンラインでも配信

いよいよ今週末11日(土)から映画祭がスタート! 今年も昨年同様、新型コロナウイルス感染予防対策を徹底し開催いたします。ご来場の際は、事前に【ご入館にあたってのお願い】をお読み下さい。

第43回ぴあフィルムフェスティバル
https://pff.jp/43rd/
開催:2021年9月11日(土)~25日(土)
場所:東京都 国立映画アーカイブ ※月曜休館

また、アワード作品は国内最大級のインディーズ映画配信サイト・DOKUSO映画館と、U-NEXTでオンライン配信もあるので、遠方の方、時間が合わなくて会場に行けない方は是非こちらもチェックしてみて下さい!

DOKUSO映画館
U-NEXT

【オンライン料金】
配信期間:9月11日(土)~10月31日(日)
1作品:100円~(税込)
入選作品18作品観放題パック:2500円(税込み)
※観放題パックはDOKUSO映画館のみ。

※チケットはチケットぴあにて発売中。各上映の1時間前までにご購入下さい。会場でのチケット販売はありませんのでご注意下さい。

新型コロナウイルス感染拡大予防のため、定員の50%の座席数を販売いたします。

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