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DracoVirgoが語る、HIGH and MIGHTY COLOR再集結で生まれた最新の琉球メタル「念願の“1stベストアルバム”ができた」

リアルサウンド

20/1/24(金) 12:00

 HIGH and MIGHTY COLOR(以下、ハイカラ)の結成メンバーとしても知られるMAAKIII、mACKAz、SASSYの3人で結成され、人気アプリゲーム『Fate/Grand Order』の「亜種特異点Ⅳ 禁忌降臨庭園 セイレム 異端なるセイレム」のテーマソングとなった毛蟹 feat. DracoVirgo「清廉なるHeretics」でも知られる3人組、DracoVirgo。彼らが2枚組の1stアルバム『Opportunity』を完成させた。

 この作品には、ディスク1にオリジナル曲を、ディスク2にMAAKIIIのソロ作『兎に角、ジェネシス!!!!!』のDracoVirgoバージョンを収録。結成から現時点までの全楽曲が楽しめるものになっている。アルバムの制作過程と、これまでの歩みについて、3人に聞いた。(杉山仁)

すごくタイムリーなアルバムになった

ーー『Opportunity』は、DracoVirgoの1stアルバムであると同時に、これまでのベストアルバムにもなっているような雰囲気ですね。アルバムをつくるということは、どれぐらいから考えていたことだったんですか?

SASSY:僕らとしては「アルバムをつくろう」ということはずっと意識していなくて、DracoVirgoができることをひとつずつ積み上げていこう、という気持ちだったんですよ。その結果曲がたまって、「これならアルバムが出せるね」という話になったのが、今回のアルバムをつくるきっかけでした。

MAAKIII:そこからアルバム用の新曲の制作に取り掛かっていきました。これまで出してきた曲も、今の自分たちのフレッシュな曲も詰め込めたので、すごくタイムリーなアルバムになったんじゃないかと思います。

ーーそもそも、2枚組でこれまでの楽曲を全部収録しようというアイデアは、どんなふうに出てきたものだったんですか?

mACKAz:僕らはこれまでそのときどきに自分たちがかっこいいと思えるものをつくってきて、そうしたら気づけば2年ほど経っていて。普通はあまりやらないことかもしれないですけど、今回のアルバムにはシングルのカップリング曲も、MAAKIIIのソロ作『兎に角、ジェネシス!!!!!』のDracoVirgoバージョンも入っていて。今までやってきたものを「全部を詰めこんだな!」という感覚ですね。

ーー収録曲が多いので、既発曲と新曲とで話を分けて聞かせてもらいたいんですが、まずはすでにリリースしてきた楽曲の中で、みなさんがそれぞれ思い出深いものというと?

mACKAz:僕は「KAIBUTSU」ですね。この曲はDracoVirgoとしての最初の曲であり、ライブでも一番演奏している曲で。最近、この曲をライブでやっていると、すごくエモい瞬間になることが多いんですよ。そういうゾクッとするような瞬間は、曲が育ってきているのかな、と感じます。

SASSY:9月のワンマンライブの時にも感じたのですが、演奏中に3人の意識が1ミリもずれずにハマるような感覚がある曲です。

MAAKIII:私は1曲選ぶとしたら……「超感覚的知覚 – DracoVirgo MICROCOSM mix -」ですね。「超感覚的知覚」はMAAKIIIとして初めて制作した曲で、その初期衝動が詰まっているので思い入れもありますし、そこに2人が加わってくれたときも化学反応をすごく感じました。MAAKIII、SASSY、mACKAzという3人が集まって新しい音楽をつくろうと思っていたDracoVirgo自体に、自分がもともとソロで歌っていた曲を通しても自信が持てたというか。「こういう曲も3人でやれるんだ。この3人でいける!」と感じたし、ライブでもすごく起爆剤になってくれている曲ですね。

SASSY:それこそ、この曲はDracoVirgoで最初に3人でスタジオに入ったときにもやったんですけど、その時点で初めて合わせた感じがしなくて、すごくしっくりきた曲でした。

MAAKIII:これはディスク2に入っている『兎に角、ジェネシス!!!!!』のリミックス曲すべてに言えることですけど、DracoVirgoバージョンをつくっている間に、同時進行でオリジナルの新しい曲もできていって。その2つが相乗効果を生んで、DracoVirgoらしさが生まれるところを見られたので、自分たちにとってすごくいいきっかけになりました。

DracoVirgo – 超感覚的知覚 – DracoVirgo MICROCOSM mix – (Live Music Video)

ーーSASSYさんはどうですか?

SASSY:僕は「ABRACADABRA」ですね。それまでのDracoVirgoの曲はメロウで世界観の強いものが多かったですけど、この曲は、その雰囲気もありつつ、同時に「よりシンプルでキャッチーな曲もやりたい」と思ってつくった曲で。ギターも聞こえてくるし、ハイカラのボーカルだったユウスケが参加してくれたことで、ハイカラの世界観に近い雰囲気になっていますよね。でも、この曲をつくるまでは「3人だからできる新しいこと」にこだわって、その色を出さないようにしていたんです。そこからいい意味で、「何でもありだな」と思えたのがこの曲でした。あとは、「やっぱりMAAKIIIってやべえな」と思った曲でもあって。

MAAKIII:(興味ありげに耳に手を当てながら)どこら辺が??

SASSY:この曲は、最初にあったものから、MAAKIIIがまったく予想もしない場所に着地させてくれて、しかもそれが素晴らしいものになった感覚がありました。「MAAKIIIが乗せてくれたメロディのためにこの曲があったんじゃないか」と思えるような感覚でした。

ーーMAAKIIIさんは想像力をつかってテーマを飛躍させていく能力に長けた人ですよね。

MAAKIII:飛躍していきたいですね……。曲づくりだけじゃなくて、バンドとしても飛躍していきたい……!(笑)。DracoVirgoでの楽曲制作は、私が見たことのないようなお皿を2人が持ってきてくれて、そこに私が料理を乗せていくような感覚で進むんですけど、たとえば私が普段料理をつくっているときは、つくったことで食べる前に満足してしまうんですね。でも、DracoVirgoの音楽は、みんなでつくって、それを食べるのもすごく楽しみな感覚があって。それはやっぱり、もともと2人が私には絶対に生み出せないプレートを焼いて、出してくれるからなんだと思います。

DracoVirgo × HAL大阪「ABRACADABRA」

ーーでは、続いて新曲について1曲ずつ聞かせてください。1曲目の「Rainbow Butterfly」は、幻想的な序盤を経て、徐々にドラムンベースになっていく作品のオープニング的な楽曲ですね。

mACKAz:この曲は、去年の9月のワンマンライブ(『DracoVirgo “Opportunity 2019~Rainbow Butterfly~”』)のときに「SEがほしいね」という話になってつくった曲ですね。

MAAKIII:この曲から「“KALMA”」に繋がるのも、そのライブと同じ流れになっています。

mACKAz:この曲は僕がひとりで打ち込みでつくったんですけど、先にライブのタイトルが決まっていたので、月夜に森で蝶々が羽ばたいている様子を想像していきました。(DracoVirgo仕様のピックを出しながら)このピックも、それと同じデザインなんですよ。そのイメージで曲を持っていきましたね。

MAAKIII:最初に聴いた時点で「完璧!」という感じだったので、mACKAzがつくってくれたものがほぼそのまま使われていて。実は歌っているのもmACKAzなんですよ。

ーーそうなんですか?!

MAAKIII:普通、私だと思いますよね?(笑)。

mACKAz:声を加工してはいますけど、僕が家で録りました(笑)。デモのつもりで持っていったら、それがそのまま採用されたんですよ。

MAAKIII:なので、実は今回のアルバムの世界観に誘っているのはmACKAzなんです(笑)。

ーーそれもDracoVirgoらしいのかもしれませんね。役割分担を決めすぎないと言いますか。

MAAKIII:そうですね。もちろん楽曲に対しては納得するまで突き詰めるタイプではあるんですけど、結果的にいいものになるなら、どんな方法でもいいと思っているんです。

SASSY:そして正解が見つかれば、悩まずに「これでいこう」と決まることが多いですね。

DracoVirgo × HAL東京「“KALMA”」

DracoVirgoで音を出したら、その曲はDracoVirgoになる

アルバム『Opportunity』(初回生産限定盤)

ーー5曲目の「FLY」も、mACKAzさんが曲のもとになるものを用意したそうですね。

mACKAz:DracoVirgoではこれまでストレートなギターロック調のものがあまりなかったので、そういうものをつくりたいと思っていたのと、シンプルに僕が「8分でベースを刻みたいな」と思ってつくった曲です。

ーーこの曲はSASSYさんのマシンガンのようなブラストビートも印象的です。

SASSY:久々のBPM200オーバーで「やべえな」と思いました(笑)。ただ、僕の場合はもともとそういう音楽で育ってきたので、レコーディング自体はこれが一番スムーズに進んだと思います。その「パッ!」と録った雰囲気が、楽曲の疾走感にも繋がったと思います。

ーーMAAKIIIさんはどんなことを感じながら歌詞を考えたり、歌ったりしたんでしょう?

MAAKIII:この曲は、リリックを書くのにかなり時間がかかった曲でした。mACKAzが持ってきたものがストレートなタイプの曲だったので、それをよくある曲ではなくて、「DracoVirgoの今を見せられる曲」にしたいと思っていて。でも、私はもともとあまり考えて曲をつくるタイプではないので、考えはじめると結構悩んでしまって、最終的にできたのは歌入れの直前だったと思います。「ピアノを入れてほしいな」とリクエストして、そのピアノが加わったものを聴いていたら、そこから言葉がこぼれてきた感覚でした。

ーー「FLY」は〈羽ばたこう〉という言葉が印象的ですが、これはどんなふうに出てきたものだったんでしょう?

MAAKIII:やっぱり、サウンドから呼ばれるんですよ。それこそ、SASSYのマシンガンみたいなブラストビートもそうですし、mACKAzが最終的に行きたいと思っている曲の方向性も見えていたので、そこに「行きたい!」と思っていたら、飛び立っていた感覚でした(笑)。たぶん「Rainbow Butterfly」から繋がっていると思いますけど、夜空の美しい風景がイメージできたので、その「Butterfly」の部分が強調されている曲なのかもしれないです。

ーー続いて、7曲目の「Oh Eh Oh」はどうですか?

MAAKIII:この曲は、私たちがプロデューサーチームのアイデアに乗って、自由に楽しませてもらった曲ですね。

ーーアコースティックギターの音と、エディットされた音が同居しているのが印象的です。

SASSY:トラックがめちゃくちゃかっこいいので、それを聴いてアガッた気持ちを、僕らのパートにも反映させました。ただ、もとの曲がいいので、気を抜くと自分たちの個性を出せないと思ったので、僕の場合はアルバムの中でも一番フィルを入れていきました。

MAAKIII:私の歌も、色んな発見がありました。私は基本的に日本語でしか歌詞を書かないですし、メロディも、普段は「FLY」にあるような歌謡曲らしさが自然に出てくることが多くて。でも、この曲はそれとは対照的で、もっと今っぽい要素が前に出ていますし、歌詞にも英語が入っていて、普段はやらないアプローチで。勉強になったし、曲としてストイックな挑戦があって、私たち自身すごく楽しめました。

ーーこの曲のMAAKIIIさんのボーカルは、音程をあまり上下させずに、細かく音を動かしていくアプローチになっていますね。ある意味ブラックミュージック的と言いますか。

MAAKIII:そうですね。自分からは出てこないので楽しかったです。ライブでも、みんながすんなり受け入れてくれたので、「DracoVirgoで音を出したら、その曲はDracoVirgoになるんだな」ということが自然に分かった曲でもありました。

「RYUKYU」を沖縄の新しいパワーソングとして歌いたい

ーーそして9曲目の「RYUKYU」では、先ほどのお話でもあったユウスケさん(Vo)、MEGさん(Gt)、カズトさん(Gt)が参加して、約10年ぶりにハイカラの初期メンバーが集結しました。

MAAKIII:声をかけてみたら、「やるよ!」と返事をしてくれて、すぐ集まってくれました。

SASSY:本当に軽い感じで来てくれたので、すごくありがたかったですね。

MAAKIII:音楽的には、思う存分私たちのルーツを発散した琉球メタル~プログレになっています。

ーーこの曲で久しぶりに初期メンバーが集まったのは、どんなきっかけだったんですか?

SASSY:最初はそういうアイデアもなくて、メロディもない状態で、今回ディスク2にはいっている曲の最新版的な、インストの曲にしようと思っていたんです。そうしたら、途中でMAAKIIIが「沖縄っぽい要素を加えたい」と言いはじめて。ちょうどそのときに、もともとアルペジエイターで打ち込んでいた音をギターに差し替えて、ギターインストにしようというアイデアが出てきたんです。その音の雰囲気が、ハイカラの前身バンドのアンチノブナガ(MAAKIII以外の ハイカラの初期メンバーで結成)っぽさも感じられる曲になったので、「久しぶりに集まってみるのはどうかな?」と提案しました。ちょうどギターのMEGに、この曲に入っている沖縄の三線のような音のアレンジで相談に乗ってもらっていたから、そこにMAAKIIIから「沖縄の民謡や名曲のメロディを引用してみるのはどうかな?」というアイデアが出てきて――。

ーー僕は今回初めて知った曲だったのですが、この「RYUKYU」には、沖縄の有名な楽曲「かなさんどー」と「花ぬ風車(はなぬかじまやー)」が引用されていますよね。

MAAKIII:アルバムがだんだん形になりはじめたときに、ちょうど私は沖縄に帰ったんですよ。それで、久々に首里城を全身で感じてきて。ちょうどそのタイミングで、東京にいるメンバーやスタッフとアートワークのことを電話で相談していて、目の前に首里城が見える広場で、「首里城を思わせるアートワークにしたい」と話をして。そうしたら、デザイナーさんも「今ちょうど首里城の写真を見てた」と言ってくれて、「これは間違いない」と思って沖縄の要素を加えてもらいました。その一週間後ぐらいに、首里城の火災が起こったんです。

ーー昨年10月の大規模な火災ですね。あの一週間前のことだったんですか。

MAAKIII:そうなんです。MEGのスタジオがあるのは首里城の目の前なので、この曲の三線のアレンジを入れているときに、目の前で首里城が燃えている様子を見たみたいですよ。

SASSY:僕らは首里高校出身で、小さい頃から首里城を見て育ってきたんですよ。

MAAKIII:そうやって、小さい頃から色んなことを感じながら見ていたものが燃えるというのは大きな経験で。でも、令和という新しい時代になったこのタイミングで、むしろこの曲を沖縄の新しいパワーソングとして歌いたいな、と思いました。それでメロディを考えていたら、「かなさんどー」のメロディと歌詞がふっと浮かんできました。「かなさんどー」は、「いとしい人よ、私は忘れないぞ。想っているぞ」という歌詞の曲で、私は沖縄のスピリットが感じられる曲だと思っていて。一方で、「花ぬ風車」は沖縄で100歳のお祝いをするときの歌で、「どうぞ尊い人たち、ご覧ください」という部分を引用したことで、沖縄の神々に向けても歌うようなものになったのかな、と思います。

ーー「かなさんどー」の歌詞は、沖縄への思いに加えて、この曲で集まったハイカラの初期メンバーにも向けられているように感じられますね。

MAAKIII:そうですね。あと、この曲には本場のエイサーの方たちの掛け声を入れてもらっていて、レコーディングの最終日に偶然来てもらえることになりました。その日たまたま東京に来ていて、「14時までなら時間がある」と言ってくれたんです。

SASSY:僕の沖縄時代から親しいミュージシャン仲間で、たまたま東京に来ていたんですよ。めちゃめちゃパワーをもらいました。

MAAKIII:「RYUKYU」は、そんなふうに色んなエネルギーが集まってできた曲ですね。

ーー曲自体は、まさに琉球プログレメタルというか、沖縄の民族音楽的な雰囲気からはじまって、1曲の中でどんどん音楽性が変わっていくかなり複雑な構成になっていますね。

MAAKIII:そういうところにも、沖縄の県民性が表われている気がします(笑)。最初は朗らかでほのぼのとしたイメージかと思いきや、実はめちゃくちゃ激しい。

mACKAz:(笑)。

MAAKIII:「泡盛を飲んだら人変わっちゃうよね」という……!(笑)。

制約がないからこそ色んなことができる

ーー「HATENA」はどうでしょう? この曲はSASSYさんが楽曲のアイデアを持っていったそうですね。

SASSY:もともとは、レゲエのようなワールドミュージックっぽいリズムからヘヴィなサウンドが顔を出すような、二面性を楽しめるようなものにトライしてみたいと思っていた曲です。そこからMAAKIIIにブラッシュアップしてもらって、よりサイケに仕上がりました。

MAAKIII:きっと、聴いてくれた人はみんな頭に「?」が浮かぶと思うんですけど……。

ーー何のジャンルなのか形容しがたい、不思議なサウンドですよね(笑)。

MAAKIII:自分たちでも、何回か寝かしてみないと取り組めない曲で、完成までに何回かお休みモードに入りました(笑)。聴く人をビックリさせるような曲をつくりたいと思っていたときに、ちょうどクイーンの映画『ボヘミアン・ラプソディ』がヒットしていて、街中でクイーンの曲が聞こえてきて、あの突然壮大になったりする作風が「やっぱりいいな」と思って。それで、私たちの曲でもそういうものをつくりたいという気持ちで取り組みました。

ーー冒頭に入っている「じょいやっさ、じょいやっさ、しゃーんしゃん」という印象的なフレーズは、どんなふうに出てきたものなんですか?

MAAKIII:これは、実は昔ばなしの「傘地蔵」から引用したフレーズです。このフレーズが、私の中ですごくいい響きのものとして残っていて、レコーディング中に「何か他にできることはないかな?」と考えていたときに、スッと出てきたんですよ。

SASSY:アレンジ面では、レゲエのグルーブ感を大切にしつつも、MAAKIIIから出てきたアイデアに寄せていきました。あと、ヘヴィな部分を用意して二面性を持たせるために、この曲でもMEGがギターを弾いてくれました。それもあって、ひとつの楽曲によりギャップが生まれたように思いますね。

2020年1月15日(水)リリース:DracoVirgo 1stアルバム『Opportunity』XF動画

ーーこうしてお話を聞いていても、今回のアルバムは、DracoVirgoの音楽性がまたさらに広がった作品と言えそうですね。HIGH and MIGHTY COLORのようなタイプの曲も、より沖縄独自のルーツを感じさせる曲も、DracoVirgoとしてフラットに表現できるようになっていると言いますか。この変化については、みなさん自身はどう感じていますか?

MAAKIII:私たち自身、DracoVirgoがどこに飛んでいくのかが分からない状態で、それが「すごく楽しいな」と思っています。だからこそ、「次にどんなものが出てくるのかな?」って、自分たち自身もすごく楽しみになってます。

SASSY: DracoVirgoはギターレスのグループなので、楽曲のカラーを担うパートが声以外にないんですよね。でも、それで逆にできることが広がったというか、「それって“自由”ってことなんだな」と、自分たちも徐々に気づいたというか。制約がないからこそ色んなことができるのを実感しましたし、今までやったことがない曲に挑戦できるのを感じます。今回のアルバムは、そんなふうにひとつひとつつくっていった曲がすべてまとまった作品なので、現時点でのDracoVirgoのトリセツのようなものになったと思っています。

ーーDracoVirgoのこれまでの変化がすべて詰まっている作品、ということですね。一方で、みなさんそれぞれにとっての音楽的なルーツというと、どんなものなんでしょう?

MAAKIII:私の場合は、歌謡曲なのかな、と思います。

mACKAz:確かに、DracoVirgoの曲って、色々なことをやっていてもどことなく懐かしいメロディが出てくる瞬間があるので、それもルーツのひとつなのかな、と思いますね。

ーーどんな歌謡曲が好きだったんですか?

MAAKIII:特に「誰かが好き」という特定のものはなかったんですけど、小さい頃から自然に触れてきたものを通して、自分の好きな世界観ができてきたのかな、と思います。それが、ハイカラを結成したときに、私が想像もしていなかった世界と結びつくことになって。そこから一度ソロになって、色んな人と共作する経験を経て、3人でDracoVirgoをはじめて――。そうやってこれまで過ごしてきた毎日が積み重なって、今に繋がっているのかな、と思います。

SASSY:自分の場合は、ルーツになるのは姉ちゃんが聴いていたマドンナのような洋楽で、その後『beatmania』を通して、フレーズが繰り返されていくミニマルなものにハマっていきました。その後、KornやRage Against The Machineのようなバンドの音楽を聴いたときに、リフ一発でもそこに感情が感じられる雰囲気に惹かれることになって。なので、僕はもともとメロディのことを考えずに曲をつくるタイプです。そういう意味でも、MAAKIIIにとって見たことがないようなプレートができるのかな、と思います。今では自分にもメロディへの意識が芽生えてきて、それを2人にも引き出してもらっている感じがします。

mACKAz:自分の場合は……小室哲哉さんですね。「小室進行」と呼ばれる有名なコード進行がありますけど、僕はそれをだいたい使っているので(笑)。それがルーツなのかなぁと。

沖縄での生活から「楽しみ方」を教えてもらった

ーー沖縄に故郷があるということは、みなさんのルーツになっていると思いますか?

MAAKIII:どうなんでしょうね……?

SASSY:自分の場合は、それをめちゃくちゃ感じますね。自分がバンドをはじめた頃は、沖縄に地獄車のような、ヘヴィだけれども歌詞はふざけているような、その対比が面白いバンドがいて。それを米兵の方たちが「このバンド、かっこいいね」という感じで盛り上がっているのを見て、アンチノブナガを結成した、という経緯もあったので。

mACKAz:僕らが沖縄にいた頃は、沖縄にバンドがたくさんいて、レゲエも盛り上がっていて、クラブに行けば、欧米の最先端のクラブミュージックが流行っていて。そういう場所が楽しかったので、音楽の土壌としてはすごくよかったのかな、と思います。

SASSY:SPEEDのような人たちも、ポピュラリティのある形で活躍していましたしね。

ーー音楽以外だとどうですか?

SASSY:沖縄は何もないというか、『週刊少年ジャンプ』も遅れてきたりしますから……(笑)。でも、何もなかったからこそ、自分はドラムに没入できたのかな、とも思います。それに、今改めて沖縄に帰ると、「本当にいい場所だな」と思いますよ。

MAAKIII:情報が少ない分、自分が好きなものにフォーカスを当てやすいのかもしれない。

mACKAz:あとは、やっぱりビーチパーティですかねえ。

SASSY:それが一番楽しかったよね(笑)。

MAAKIII:バーベキューと言えば、ビーチパーティなんです(笑)。

ーー贅沢な海の使い方ですね……!

MAAKIII:でも、お洒落なバーベキューとは違って、お肉もめちゃくちゃ固い(笑)。

SASSY:米兵がコンバットナイフで肉を切ったりしていて。そういう経験を通して、「楽しみ方」を教えてもらった感覚がありました。ときにはストリートバスケをやって、ボコボコにやられたりもして……!

ーー(笑)。アルバムリリース以降の活動については、どんなことを楽しみにしていますか?

MAAKIII:まずは『Opportunity』というアルバムを名刺代わりにして、これからも色んなところに自分たちの音楽を広げていけたらいいな、と思います。

SASSY:自分たちのことを知ってもらうものができたので、これを色んなところに広げていけば、またそこからDracoVirgoでやりたいことも広がっていくのかな、と思いますね。

ーーこれまでの楽曲がすべて入っている作品ですもんね。

mACKAz:そうですね。念願の“ファーストベストアルバム”ができたので、2020年はライブの数も増やして、より色んな人たちに会いにいけたらな、と思っています。

アルバム『Opportunity』(初回限定盤)

■リリース情報
アルバム『Opportunity』
2020年1月15日(水)発売
¥3,600(税抜)
※初回生産限定デジパック仕様

<Disc1収録曲>
1.Rainbow Butterfly
2. “KALMA”
3. 阿弥陀の糸
4. hanaichimonme
5. FLY
6. 清廉なるHeretics (毛蟹 feat. DracoVirgo)
7. Oh Eh Oh
8. ABRACADABRA
9. RYUKYU
10. HATENA
11.ハジメノウタ
12. KAIBUTSU

<Disc2 兎に角、ジェネシス!!!!! -DracoVirgo version – 収録曲>
1.Massatsu – DracoVirgo Instrumental –
2.×××× – DracoVirgo NADAR mix –
3.トリックスター – DracoVirgo GAULTIER mix –
4.ココニオイデヨ – DracoVirgo OSSIAN mix –
5.超感覚的知覚 – DracoVirgo MICROCOSM mix –
6.kIRA○kIRA – DracoVirgo LUCIFER mix –
7.Opportunity – DracoVirgo Instrumental –
8.DASH!脱出!奪取! – DracoVirgo LEONORA mix –
9.いーじゃんっ! – DracoVirgo SHEPHERD mix –
10.SPAAAAAAAAAARK!!! – DracoVirgo OZ mix –
11.スノーボールアース – DracoVirgo ALICE mix –
12.Magma – DracoVirgo Instrumental –

■ライブ情報
『DracoVirgo ワンマンライブツアー2020』
DracoVirgo  “Opportunity 2020〜Rainbow Butterfly Tour〜”
2020年1月18日(土)大阪・Zeela
[OPEN/START]17:30/18:00
お問い合わせ キョードーインフォメーション tel 0570-200-888(全日 10:00~18:00)

2020年1月19日(日)名古屋・ell.FITS ALL
[OPEN/START]17:30/18:00
お問い合わせ サンデーフォークプロモーション tel 052-320-9100(全日 10:00~18:00)

2020年1月25日(土)東京・Shibuya WWW
[OPEN/START]17:30/18:00
お問い合わせ ディスクガレージ tel 050-5533-0888(平日 12:00~19:00)
※一般チケット発売日:2019年12月1日(日)

■関連リンク
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