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吉沢亮、自身の実力を示した2020年 大河ドラマ『青天を衝け』に向け最高の助走に

リアルサウンド

20/12/30(水) 6:00

 日本アカデミー賞にて最優秀助演男優賞を受賞した『キングダム』(2019年)での漂/エイ政役とは打って変わって、コメディ、シリアス、ヒューマンドラマ、青春モノーーなど、異なるジャンルの作品において、“いろんな意味”で危うい存在の青年を演じた吉沢亮。いずれの演技も素晴らしく、俄然、2021年の大河ドラマ『青天を衝け』(NHK総合)で主演を務めることにも期待を持てる1年となった。

 『一度死んでみた』と、杉咲花とのダブル主演作『青くて痛くて脆い』は対照的な作品だ。と、同時に、吉沢が演じたのも対照的な人物であった。前者では、あまりの存在感の無さから「ゴースト」と呼ばれている青年役を。青春物語でもある後者では、タイトルどおりの“青く”、“痛く”、そして“脆い”若者を演じた。

 端的にいうならば、『一度死んでみた』はコメディであり、『青くて痛くて脆い』はミステリー要素のあるシリアスな作品だ。吉沢のバイオグラフィーを振り返ってみれば、コメディもシリアスもいけることは承知済みのこと。しかし、こちらの予想をはるかに超えてきた。“存在感の有る男(吉沢亮)”が、“存在感の無い男”をリアルに演じていたのは面白かったが、この実現は、周囲の俳優たちの助けもあってのことでもある。だが、『青くて痛くて脆い』での吉沢の演技の素晴らしさは突出していた。

 同作で吉沢が演じたのは、先に述べたような、タイトルを体現した人物。劇場で鑑賞していて、息を止めながら冷や汗を流してしまったシーンがある。それは吉沢演じる楓が、久しぶりに再会した秋好(杉咲花)から大学の講堂で詰め寄られるシーン。おそらく多くの方が“恐怖のシーン”として挙げるものだろう。物事の核心を突かれ、自分の弱点を叩かれ、あげく「気持ち悪い」とまで彼は言い捨てられる。並の人間であれば、立っていられないようなシチュエーション。ここで吉沢の顔がスクリーンいっぱいに映し出されるのだが、その目の色の微かな震えと、頬のひきつるさまは見ていられないほどだった。狼狽する姿を分かりやすく表現したり、セリフで内面を吐露する方法もあったはず。だかそうはせず、カメラはそのシーンの核となるものを、吉沢の顔のアップに託した。ここだけを見ても、いかに彼が作り手たちから信頼されている存在なのかが伝わってきたものである。

 一方、『さくら』では悲劇の好青年を演じ、封切られたばかりの『AWAKE』では夢に破れた将棋青年が再起する姿を演じている。どんなキャラクターでも、どんな立ち位置の役どころであっても自在にこなす吉沢だが、『青くて痛くて脆い』の楓役のように、とりわけ彼は“ひねくれ者”や“こじらせ系”の若者の演技が優れているように思う。

 『さくら』の青年はとある事故をきっかけに心を閉ざし、『AWAKE』での青年はプロ棋士の道を断念、少々やぶれかぶれの大学生活に入っていく。どちらも内省的なキャラクター。吉沢は感情を外に向けて放出するのでなく、内側で膨らませ、破裂させ、その結果が表情や声音というものに表れているのだと感じる。その点、『さくら』は「事故に遭う」という展開によって、彼は表情での自己主張を制限されていた。どんなに強い言葉やセリフ回しよりも、吉沢の表情はそれらを超えるーーそういった意味で『さくら』の吉沢は、ある種の“話術”によって自身の実力を示したといえるはずである。

 さて、大河ドラマで主演を務める2021年は、吉沢の俳優人生において確実に大きな年となるのだろう。そんな2021年へと向かって、この2020年の活躍は最高の助走ともなったのではないだろうか。

■折田侑駿
1990年生まれ。文筆家。主な守備範囲は、映画、演劇、俳優、服飾、酒場など。最も好きな監督は増村保造。Twitter

■公開情報
『AWAKE』
公開中
出演:吉沢亮、若葉竜也、落合モトキ、寛一郎、馬場ふみか、川島潤哉、永岡佑、森矢カンナ、中村まこと
監督・脚本:山田篤宏
制作・配給:キノフィルムズ
製作:木下グループ
2019年/日本/日本語/119分/カラー/シネマスコープ/5.1ch
(c)2019『AWAKE』フィルムパートナーズ
公式サイト:awake-film.com
公式Twitter:@awake_eiga2020
公式Instagram:@awake_eiga2020

■放送情報
大河ドラマ『青天を衝け』
NHK総合にて、2021年2月14日(日)放送開始
出演:吉沢亮、小林薫、和久井映見、村川絵梨、藤野涼子、高良健吾、成海璃子、田辺誠一、満島真之介、岡田健史、橋本愛、平泉成、朝加真由美、竹中直人、渡辺いっけい、津田寛治、草なぎ剛、堤真一、木村佳乃、平田満、玉木宏ほか
作:大森美香
制作統括:菓子浩、福岡利武
演出:黒崎博、村橋直樹、渡辺哲也、田中健二
音楽:佐藤直紀
題字:杉本博司
プロデューサー:板垣麻衣子
広報プロデューサー:藤原敬久
写真提供=NHK
公式ホームページ:https://www.nhk.or.jp/seiten
公式 Twitter:@nhk_seiten

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