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ねごとが5周年ライブで見せた「5つの顔」 バンドのキャリアと成長の向かう先は?

リアルサウンド

15/12/2(水) 18:00

 11月23日、ねごとのデビュー5周年を記念した自主企画『お口ポカーンフェス?! NEGOTO 5th Anniversary ~バク TO THE FUTURE~』がLIQUIDROOM ebisuで開催された。これはねごと恒例企画の拡大版で、リキッド全体を使って過去のアートワークやポスターなどを展示したり、施設内のカフェでメンバー考案のコラボ飯を販売したりと、会場はまさにフェスの雰囲気。ライブに関しては、「ねごとステージ」と「ひとりごとステージ」の2ステージ制で、前者には5組の「ねごと」が、後者にはメンバーそれぞれがソロで出演するとだけアナウンスされ、その詳細は当日まで明かされていなかった。

 「ねごとステージ」に関しては、5周年で5組の「ねごと」、さらに「バク TO THE FUTURE」というタイトルからして、年代順に楽曲を披露するのかと思いきや、この予想は外れ。1組目の「ねごと」こそ、デビュー当時を彷彿とさせるパジャマ姿で登場し、蒼山幸子がステージ上手という初期の立ち位置で、『Hello!“Z”』と『ex Negoto』という初期作からの楽曲でライブを行ったものの、結果的に年代が統一されていたのはこの「ねごと」のみ。2組目の「ねごと」は爽やかなロックを中心とした攻めのライブを展開し、3組目の「ねごと」はストーリー仕立てのVJと共に、ノーMCでクールなステージを披露。4組目の「ねごと」はミドルテンポの曲を中心とした落ち着いた雰囲気と思わせて、後半からねごとのディープゾーンとも言うべき、深い音楽性に引き込まれるような楽曲群で尻上がりに盛り上がりを見せる。4組の異なる「ねごと」によって、バンドの持つ様々な表情を堪能することができた。

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 しかし、とにかく圧巻だったのが最新作『VISION』の収録曲を中心としたセットリストを披露した5組目の、いわば最新型の「ねごと」。アルバムでは最後に収録されていてステージでは一曲目に披露された「憧憬」からしてバンドの熱量が凄まじく、最新シングルの「DESTINY」を挟み、ラストの「endless」に至るまで、とにかくライブバンドとしての説得力がものすごい。もちろん、普段のワンマンではリキッドよりも一回り大きな会場を舞台としている彼女たちのスケールは、とっくにこのサイズでは収まり切らないものになっているわけだが、それにしても、一昔前のライブとははっきりとモノが違う。7時間に及ぶイベントということもあって、お客さんもさすがに疲れていたとは思うが、まるでまた1組目に戻ったかのような、いや、はっきりとそれ以上の盛り上がりを見せ、ねごと尽くしの一日は幕を閉じた。

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 改めて、ねごとのデビューからの5年を振り返ってみると、その道のりは決して平坦なものではなかった。チャットモンチーのセカンドアルバム『生命力』がオリコン2位というヒットを記録した2007年に結成され、2008年の第一回「閃光ライオット」で注目を浴びたねごとは、2010年に『Hello! “Z”』でメジャーデビュー。「ループ」や「カロン」といった初期の楽曲は、“チャットモンチー以来の女性ロックバンドの大本命”と期待させるだけの輝きを確かに放っていて、ファーストアルバム『ex Negoto』はいきなりオリコンの6位を獲得と、まさに上々のスタートを切った。

 しかし、この頃はすでに「CDよりもライブが重要」と言われる時代に突入していて、楽曲のクオリティだけではなく、フェスなどの舞台におけるライブバンドとしての実力もすぐに問われる時代になっていた。それは当時まだ学生で、ライブ経験も決して多くはなかった彼女たちに重くのしかかり、セカンドアルバム『5』の制作は大いに難航。当時の取材は毎回が悩み相談のようになっていたのを思い出す。それでも、苦難の末に完成させた『5』を2013年の年明けに発表し、メンバー全員が大学を卒業すると、その後は音楽活動に集中。2015年にリリースされたサードアルバム『VISION』はいわば本当の意味でのプロミュージシャンとしての初のアルバムであり、それまで必死に「今」だけを見つめ続けてきたねごとが、初めて「未来」を見つめたアルバムだった。

 こうして積み重ねた経験によって、ねごとはライブバンドとしてもたくましく成長。中でも、個人的にこの日のライブで印象的だったのが、蒼山幸子と藤咲佑のステージングだ。デビュー当時と違い、ステージ中央で確かな存在感を放つ今の蒼山は、身振り手振りを交えながら、非常にエモーショナルなパフォーマンスを見せる。また、一時は決して得意ではないMCに挑戦するなど、自身の存在意義を問い続けていた藤咲は、試行錯誤のときを経て、今は何かが吹っ切れたかのようにステージ上を跳ね回っている。もちろん、沙田瑞紀と澤村小夜子もそれぞれが成長を遂げていて、沙田はドレスコーズのライブやアルバム『オーディション』にプレイヤーとして参加したり、澤村もGLAYの「微熱Ⓐgirlサマー」のレコーディングに参加するなど、周囲からもその実力を認められ活躍の場を広げている。今こそ、より多くのキッズたちにねごとのステージを見てほしい。5組目の「ねごと」のライブを見ながら、そんなことを強く感じた。

 さて、「ひとりごとステージ」のソロライブも振り返っておくと、藤咲はいきなりの変化球でケーキ作り、澤村は着物姿で小さい頃から習っていたというお琴を演奏し、「黄昏のラプソディ」を和のテイストでアレンジ。沙田がオリジナル曲でのDJと“カロン”のセルフリミックスの間に怖い話を朗読するという、ある意味最も「お口ポカーン」なパフォーマンスを展開した一方で、蒼山は落ち着いた弾き語りを披露。鍵盤のみならず、人生初というアコギでの弾き語りで、くるりの「Baby I Love You」を歌い上げた。

 4人4様のソロステージは、今のねごとのライブとは大きなギャップを感じさせるふんわりとした雰囲気で、その変わらない姿もファンには嬉しいところ。また、メンバーそれぞれがキャラクターを確立しつつ、4人が一体となったときに一番の爆発を見せるという、ある種のユニット的な側面というのも、現代のバンドらしいと言えるかもしれない。この日は新曲も3曲披露されていたが、現在のねごとはメンバー4人共に作詞作曲に関わり、有機的に楽曲を制作するようになっていて、それもやはりユニット的だ。ちょうど同じ月にはこちらもユニット的な性格を強め始めているチャットモンチーが10周年ライブを日本武道館で行ったが、果たして10年目のねごとにはどんな未来が待ち受けているのだろうか?そんな気の早い妄想を掻き立てられるような、今後を期待させる充実の一日だった。

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(文=金子厚武/写真=AZUSA TAKADA)

■関連リンク
http://www.negoto.com/

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