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大久保佳代子 (オアシズ)の 人生そろばん

役者仕事への取り組み方

毎週連載

第97回

20/11/15(日)

今年は夏頃に、ドラマや映画と立て続けに役者のお仕事が。ありがたい限り。まだ映画は告知できないのですが、ドラマのほうは、この秋から始まった『科捜研の女 season20』にゲストで出させていただきまして。

生沢口靖子さん、当たり前ですがメルヘン須長さんがマネするモノとは全く違い、超絶キレイでした。

役者の仕事で心がけていることは、共演する方々、スタッフの方々に「まず迷惑をかけない」ということ。違う畑にお邪魔するわけですから、私ごときで撮影時間をおすわけにはいかない。そのためにはセリフを完璧に覚えていく、これがまずやるべき事かなと。なのに、ここ最近のセリフ覚えの悪さときたら。脳みそが溶け出しているんじゃないかと疑うほど覚えられない。

とりあえず常に台本を持ち歩いて、スマホの録音機能を使ったり、「1日10回はノルマ!」と決めていつでもどこでもブツブツセリフを。なのに、なかなか頭に入らなくて。だからと言って「もう年なもんで覚えられないです。カンペ出してもらえます?」なんて許されるわけがなく、死んでも覚えるしかない。台本をもらってからの約1か月、セリフ覚えという役者仕事に囚われまくりの日々を送っていました。

でも不思議な事に、ある時期になるとセリフがスっと頭に入ることが。全く違うと思いますが、長期間、便秘で苦しんでいたところ、ウンチがスっと出て苦しみから解放される感じ。その後、撮影現場で共演のプロの役者さんと合わせると、さらにセリフが身体に馴染んできて。「なるほど。こうやって感情を入れると、このセリフは言いやすいんだな」となるんです。

「カメリハ」と言って、共演する役者さんたちとシーン毎にやるリハーサルがあるんですけど、撮影初日の一番初めのカメリハが最たる緊張ポイントで。たぶん、共演者の方々も監督やカメラマンさんなどのスタッフさんも「大久保さんって、どんな感じで芝居をするんだろう?」と注目をしているはず。そういう視線の中、最初のセリフを言うのはかなりのプレッシャー。だいたい、セリフが飛ぶか噛んでしまいますが。ただ、そこを突破してしまえば、「大久保さんはこういう感じの芝居をやるのね」と分かってもらえるので、私からしたらその時点でこの仕事は8割方終わったみたいな感じに。

だってそれ以降は、集中力をもって覚えてきたセリフを出来るだけ感情をこめてやるしかないので。あとは、持ち前の図々しさで「私は違う畑の人間ですから。これ以上でもこれ以下でもないですよ。それが何か?」くらいな気持ちで乗りきっています。

本当にバラエティ番組とは全く違う労力を使います。

バラエティは、本番までの準備が大事というよりは、いかに本番で頭を柔らかくし臨機応変に瞬発力を発揮できるかが勝負だと思うので。

役者とバラエティの仕事が、バランスよくやれたら良いなと思いますが、そんな簡単なわけもなくて。

ただ役者の仕事って、期間を空けちゃうとダメなんです。今回で学んだセリフが頭に入っていく感覚とかプロの役者さんの前で臆せず演技する度胸とか、これがまた1年とか空いてしまうと全て忘れてしまいゼロからのスタートになってしまいそうで。

私によく来る役柄と言ったら、男に騙されやすい女性教師、とか人生に疲れている孤独な中年女性などが多く、そのあたりが得意分野かなと自負しております。そんな役でも、それ以外の役でもお待ちしておりますのでよろしくお願いします。



構成・文:松田義人(deco)

プロフィール

大久保佳代子おおくぼ・かよこ

1971年、愛知県生まれ。相方・光浦靖子とともに、1992年にオアシズを結成。OLと並行してお笑い芸人として活動をし、2010年以降はお笑い一本に。数多くのレギュラー、連載を持つ。
http://www.p-jinriki.com/talent/oasiz/

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