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HIROOMI TOSAKAが名実ともにトップアーティストへと成長した姿ーーナゴヤドームでのソロステージをレポート

リアルサウンド

20/2/14(金) 12:00

 HIROOMI TOSAKA(登坂広臣 / 三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE)が、“月”をテーマにして2017年に始動したソロプロジェクトは、2ndアルバム『Who Are You?』を提げた今回のSHOWCASEで、さらに深遠な境地へと辿り着いた。前回のソロアリーナツアー『HIROOMI TOSAKA LIVE TOUR 2018 “FULL MOON”』では、自身のルーツを示すようにリスペクトするアーティストのカバー曲なども織り交ぜて、そのアティテュードを表現していたが、今回は全てがオリジナル楽曲で、パフォーマンス・映像・照明などの演出まで自らプロデュース。“Who Are You?”との意味深なタイトルが示す通り、月の満ち欠けのように変化する多面的な自己像を艶やかに描いてみせた。

(関連:登坂広臣、アルバム『Who Are You?』レビュー 強烈なインパクト放つ楽曲揃ったソロ活動の集大成

 通常、ライブレポートはこれから鑑賞するファンへの配慮として、最終公演後に公開するものだが、リアルサウンドでは登坂広臣本人の希望もあり、2月4日にナゴヤドームにて開催された『LDH PERFECT YEAR 2020 SPECIAL SHOWCASE』より、HIROOMI TOSAKAのパフォーマンスの模様を伝えたい。すでにHIROOMI TOSAKAのライブを鑑賞した方はもちろん、これから鑑賞する方にとっても、その表現への理解が深まる内容になるよう心がける。

 『LDH PERFECT YEAR 2020』の第1期テーマ「IGNITION」の映像が流れ始めると、オーディエンスが腕に付けたフラッグライトがいっせいに輝き出し、まさに“点火”されたように会場から盛大な歓声が巻き起こる。映像に登場したHIROOMI TOSAKAは、謎の施設で目を覚まし、目の前の男から「Who Are You?」と問いかけられるーー前回の『FULL MOON』同様、映像では一つのストーリーが描かれる上に、楽曲「Who Are You?」のミュージックビデオからストーリーも繋がっていた。

 ピンク色の月光に染まる巨大な古城が映し出されると、同じくピンク色のファーコートをまとったHIROOMI TOSAKAがステージに登場する。黒い衣装に身を包んだダンサーたちを従える姿は、一国の王の様にも見えてくる。ゴシックホラーの世界観の中で披露された1曲目は、EDMを基調としたスリリングな新曲「Who Are You?」だ。会場を一気にミステリアスな雰囲気へと誘い、最新型のHIROOMI TOSAKAの姿をこれでもかと見せつける。続く「Nobody Knows」ではブルーの光線がドーム中を舞う中、ハイテンポなダンスビートを乗りこなし、3曲目「NAKED LOVE」ではエロティックな歌詞に合わせてメロウ&スムースな美麗ボーカルを聴かせる。

 HIROOMI TOSAKAは、最新のダンスミュージックに様々な角度からアプローチする挑戦的なボーカリストとして、そのアーティスト像を築き上げてきた。月をコンセプトに据えることで、三代目 J SOUL BROTHERSとは好対照となる妖艶かつダークな世界観を、先鋭的なトラックやビジュアルでも表現してきた。中でも特筆すべきは、リズムに対するボーカルの乗せ方だろう。HIROOMI TOSAKAの楽曲は、ライブの序盤ですでに明らかなように、BPMがかなり早い楽曲から遅い楽曲まで幅広く揃っていて、LDHアーティストの楽曲としては珍しい帯域の楽曲もある。

 4曲目「OVERDOSE」はその意味で象徴的で、トラップのハイハットがかなり細かく入っているため気付きにくいが、BPMは70後半とかなりゆったりしたダウンテンポの楽曲だ。HIROOMI TOSAKAは、そのトラックにゆとりのあるグルーヴィーな譜割で、自身の声がもっとも豊かに響くアプローチをしているのである。時に音サビを効果的に活用しながら、バラエティーに富んだ楽曲をものにするセンスは圧巻で、そのクリエイティビティこそがHIROOMI TOSAKAの表現を多彩にし、ソロでコンセプチュアルなSHOWCASEを構築することを可能にしているのだろう。

 重低音が強烈な「WASTED LOVE」、盟友CrazyBoyとフィーチャリングした「LUXE」とスタイリッシュな楽曲が続いた後は、HIROOMI TOSAKA流のトロピカルハウス「BLUE SAPPHIRE」へ。幻想的なスモークが立ち込めるステージの上、ミドルテンポの心地よいグルーヴで桃源郷へと誘うようなパフォーマンスだった。

 後半は、HIROOMI TOSAKAの繊細な歌声を存分に聴かせるバラードコーナーへ。片思いの切ない気持ちを歌った新曲のピアノバラード「One Way Love」に始まり、「With You」や「One Last Time / HIROOMI TOSAKA feat. BENI」といった楽曲で、ドームをロマンチックなムードに染めていく。アコースティックギターの旋律に優しく寄り添う「Not For Me」では、ファンたちがハンドクラップで応える温かな一幕もあった。

 そして、世界的DJ / トラックメイカーであるAfrojackとタッグを組んだEDMナンバー「HEY」では会場中を巡って一体感を作り上げ、ノンストップミックスで繋げた「DIAMOND SUNSET」で、HIROOMI TOSAKAのSHOWCASEは多幸感に溢れる終幕を迎えた。デビューから10年、かつて「経験値0のシンデレラボーイ」と呼ばれた青年が、名実ともにトップアーティストへと成長した姿がそこにはあったーー。

 なお、リアルサウンドでは同日、ライブ直前のHIROOMI TOSAKAの楽屋を直撃取材している。その貴重なインタビュー記事は近日、公開する予定だ。(松田広宣)

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