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乃木坂46「I see…」にSMAPファンがなぜ反応? 楽曲にある“SMAP感”の正体を紐解く

リアルサウンド

20/3/21(土) 6:00

 先日MVが公開された乃木坂46の新曲「I see…」が話題だ。

参考:https://realsound.jp/2017/09/post-107330.html

 「I see…」は3月25日に発売される25枚目のシングル『しあわせの保護色』のカップリング曲。ビデオが公開されるやいなや、「SMAPっぽい」との感想が寄せられ、Twitterでは“I see”に続いて“SMAP感”がトレンド入り。すると話を聞きつけたSMAPファンが駆け付け、コメント欄は両者のファンのちょっとした交流の場に。DA PUMP「U.S.A.」の際の“ハロプロっぽさ”にも似た現象が起きている。そこで、同曲における“SMAP感”とは何かに注目してみたい。

 「夜空ノムコウ」「世界に一つだけの花」「ありがとう」など、SMAPの代表曲は数知れない。そんな中でも同曲に近いテイストを感じられるのは「青いイナズマ」「SHAKE」「BANG! BANG! バカンス!」といった“パーティー感”のある楽曲だろう。林田健司やコモリタミノルといった作家が関わったダンサブルなナンバーたちだ。同曲のサビにおける〈自分の気持ちに素直になろう〉といった歌詞も確かにSMAPに近いものがある。

 ただし、曲全体に渡るファンキーな曲調やリズミカルなベースライン、ディスコ風のコーラスなどは、SMAPだけでなく、NegiccoやCUBERSといった近年注目を浴びる多くのグループにも共通する雰囲気である。同曲の全体的なサウンドは、2010年代以降のポップミュージックにおけるトレンドのひとつと言っても過言ではない。

 しかし、冒頭でほんの少しだけ顔を出し、さらにサビ後にここぞとばかりに主張するサックスのソロがこの曲のムードを急変させる。このサックスソロがあることで同曲は、ただ盛り上がるだけのおちゃらけソングというよりはむしろ、少々オトナな装いのパーティーチューンといった印象に様変わりしている。

 この“シック”な趣からは90年代中盤のSMAP、とりわけ『SMAP 006~SEXY SIX~』(1994年発売)から『SMAP 009』(1996年発売)あたりまでの海外の名うてのミュージシャンたちがレコーディングに参加していた時期の彼らを彷彿とさせる。いわゆるフュージョン系の演奏家たちを集めて海外録音し、信藤三雄がアルバムジャケットを手がけていた頃のSMAPだ。

 つまり、曲全体に渡る“パーティー感”、そしてほんの少しだけ織り交ぜられた“シック”なエッセンスという、この絶妙な掛け合わせが“SMAP感”の正体だろう。どちらか一方だけではなく、この二つの要素が程よいバランスで噛み合った結果、今回のような現象が起きたのだと思われる。

 「I see…」の作曲はyouth case。youth caseは日向坂46やSKE48などにも楽曲を提供している一方で、ジャニーズとの関わりもある作家ユニットだ(嵐「Love so sweet」「Step and Go」etc…)。今回、両者のファンに起きた予想外の邂逅は、秋元系グループとジャニーズの両者に関わる作家が生んだ、必然の現象だったのかもしれない。

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