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稲葉友の「話はかわるけど」

あるある×虚構×共感【後編】

毎週連載

第116回

SNSの登場以降、私たちのあるあるは幅広く共有され、「こんなものまで⁉」というようなことでも仲間が見つかるようになりました。稲葉さんが、あるあるの実情に更に迫ります!

同郷という言葉が前回出てきた。ちなみに僕は神奈川県相模原市出身。神奈川は東京のベッドタウンで日本のナンバー2だという自負があり、かつ横浜という絶対的な県内トップの街があり、東京には到底及ばないが他県よりは栄えているという謎の自意識がある。「神奈川はナンバー2の県です!」とは思っていないけど「そういう認識があるということを、認識している」という感覚。

しかし神奈川は同県民の仲間意識は低い。横浜の人は「神奈川出身です」とは言わず、「横浜出身です」という。神奈川出身で自分のことを「神奈川出身です」という人は横浜出身じゃない。これは神奈川あるあるだ。そして神奈川県内には横浜の他に、箱根や小田原などの温泉地もある。海沿いは湘南、藤沢、江の島、鎌倉。地名でそこそこ有名なのは海老名、厚木、川崎、相模原。仲間意識が低いのは同じ県でもそれぞれ様々な感じが強いからだろうか。

僕の出身の相模原だけでも、町田に隣接している東京に近い地域と、相模湖近辺の山梨に近い地域があって同じ市内でもまったく雰囲気が違う。そういう細分化もあったりする。なので地元の最寄駅が同じくらいでないと同郷の人ともしっかり盛り上がれないのだ。

あるあるは虚構なのだろうか。あってないようなものだし、本当にあったかどうかもわからない。体験よりもイメージが先行している。特に今はコンテンツが増えている世の中なので、エンタメから得た共通のイメージなのかもしれないが、毎回この思考は結論にたどり着けない。

あるあるは偏見とはまた違う。攻撃性が少ない。あるあるは人を傷つけにくく、笑いに消化されている面が強いからエンタメでもある。ラジオでもらうメッセージは、特異なものか、大衆性の高いもの・共感できるものかの大きく2種類に分かれる。後者は考えてみればあるあると言える。

あるあるが共感できないこともあるし、こちらがあるあるだと思っていたことが、他人にはあるあるでないこともあるが、それはそれで盛り上がったりもする。あるあるにはファーストフード感があるというか、栄養はさほどないけどその場で美味しく使いやすい。

自分だけが感じている、と思っていたこともSNSが普及して仲間が見つかりやすくなった。自分だけじゃないんだ、他人にもそんな想いがあるんだと。あるあるは優しい。今度イベントをやる機会があったらみんなからのあるあるを募集してみようと思った。きっと優しい空間になる。

次回の更新は3月31日(水)! お楽しみに!

プロフィール

稲葉友(いなばゆう)

1993年1月12日生まれ、神奈川県出身。
2010年、ドラマ『クローン ベイビー』(TBS)で俳優デビュー後、ドラマ、映画、舞台と幅広く活動。
主な出演作に、ドラマ『仮面ライダードライブ』(‘14~’15 EX)、『MARS~ただ、君を愛してる~』(’16 NTV)、『ひぐらしのなく頃に』(’16 BSスカパー!)、『レンタル救世主』(’16 NTV)、『将棋めし』(’17 CX)、映画『ワンダフルワールドエンド』(’15)、『HiGH&LOW』シリーズ、『N.Y.マックスマン』(’18)、『私の人生なのに』(’18)、舞台『すべての四月のために』(’17)、映画『春待つ僕ら』(’19)『この道』(’19)など。
J-WAVE『ALL GOOD FRIDAY』(毎週金曜11:30~16:00生放送)ではレギュラーパーソナリティ―を務める。

撮影/奥田耕平、取材/藤坂美樹、構成/中尾巴、ヘアメイク/速水昭仁、スタイリング/添田和宏
衣装協力/カーディガン各37,000、Tシャツ¥24,000、パンツ¥67,000、シューズ¥23,000/すべてアポクリファ(サカス PR TEL:03-6447-2762)
ネックレス¥27,000、リング¥22,000/ともにシンゴクズノ(シアン PR TEL:03-6662-5525)
その他スタイリスト私物
※すべて税抜き価格

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