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庵野秀明が「シン・エヴァ」で「シン・ゴジラ」超え狙う、目指すは「興収100億」

ナタリー

21/4/11(日) 14:48

「シン・エヴァンゲリオン劇場版」舞台挨拶の様子。左から緒方恵美、庵野秀明、鶴巻和哉、前田真宏。

「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の舞台挨拶が本日4月11日に東京・新宿バルト9で開催され、総監督の庵野秀明、監督の鶴巻和哉と前田真宏、キャストの緒方恵美が登壇した。

庵野が原作、脚本も担当した本作は「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズの完結編。庵野はまず「スタッフの代表としてお礼を言う最後のチャンスということで出ることにしました」と挨拶した。MCとして本イベントに参加した緒方に「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の興行収入が70億円を突破したことについて尋ねられると、「『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』を超えました。80億にいけば『シン・ゴジラ』を超えます。そして100億までいってくれると、アニメ業界の活性化によいんですね」と述懐。「『鬼滅の刃』や新海誠さん、スタジオジブリの作品は100億を狙って当然の作品群です。でも『エヴァ』はロボットアニメなんですよ。こういうニッチなもので100億を目指せるのは本当にありがたいし、達成すればアニメ業界にとっていいこと」と説明した。

「スタッフが参加する初号試写では涙していた人も多かった」と話したのは鶴巻。すべての作業を終えたときの気持ちを聞かれると「申し訳ないけど、僕は『終わってよかった』と思うだけでした(笑)。エヴァ全体のことは考えていなかったし、目の前のことが終わってくれたという気持ちで」と述べる。修正を担当していたという前田も同意し、「いろんな直しが来ていたので、『もう終わり? もう来ないの? 本当に?』と疑っていて。終わったんだとホッとしました」と最後の日を振り返った。

庵野も「安堵ですよね」と表現。「終わったときは感謝の気持ちばかりでした。各セクションに行って、お礼を言って頭を下げて回った。こういうところはNHKは撮ってないんですよね」と笑い交じりに、自身を特集した「プロフェッショナル 仕事の流儀 庵野秀明スペシャル」について冗談を飛ばした。また緒方が「初号が終わっても、公開するまでは油断はできぬ」とキャスト陣で連絡を取り合っていたことを明かすと、庵野は「大丈夫ですよ。無茶はせず、やれることだけやってますから」と笑う。

普通のアニメではあまり行われない制作工程がたくさんあったという本作。画コンテ作りのために“第3村”のミニチュアを制作し、モーションキャプチャも実施した。庵野は「手で描くものだけにしたくないという思いが『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』のときからありました。実際に存在するものを切り取ることでアニメーションを作ろうと。大変なのでほかの人はあまりやらないかもしれませんね」とコメント。

また「実写とのハイブリッドは『序』の頃からちょっとずつやっていたんですが、あの頃は実写というよりCGに近かった。今回は『シン・ゴジラ』のノウハウが生かせると思いましたし、『シン・ゴジラ』を作っていなかったらこういうふうになっていなかったので、やらせていただいたのはありがたかったです」「進化はしたいのでね」と思いを口にする。また「僕はいろんな人と一緒に作品を作りたい」と述べ、他者の意見を「重ね合わせて、紡ぎ合わせる」ことが楽しいとも話した。

また緒方は「かなり細かく分割して録った」というアフレコに言及。「現場で思われたことは?」と質問を投げると、庵野は「1人ひとりバラバラに録って、人によってはセンテンスもバラバラ。今回の声優陣はそれを感じさせないだけの演技力があるので大丈夫だろうと」と信頼を垣間見せる。「本当に大変です」と本音を漏らした緒方が、庵野に「緒方はまだ楽なほうだよ(笑)」と返され、タジタジになるシーンも。

鶴巻は印象的なアフレコで沢城みゆきの名を挙げて「難しい状況でドラマが展開されるところだったので、僕なりに不安だったのですが一発OKでしたよね?」と庵野のほうを見やる。すると庵野は「テストでOKが出た。それが本編に使われている」と回答し、緒方を驚かせる。「沢城は台本を読んで溜めて、それが一番最初に出ちゃう人。2テイク目以降は1テイク目のものを調整してうまくやろうとするタイプなので、最初が大事なんです」と続けた。

最後に登壇者が挨拶する中、庵野は「製作の途中からコロナに見舞われて、世界中が大変な時期が今もまだ続いています。大変な時期に足を運んでいただいて面白いと言ってくださって……」と感謝の思いを口にする。そして劇場をあとにする際は、出口で何度も何度も深く観客へ頭を下げていた。

「シン・エヴァンゲリオン劇場版」は全国で公開中。

(c)カラー

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