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ダメ男、気弱な青年、挙動不審、サイコパスまで 成田凌はどんな役でも新たな一面を見せてくれる

リアルサウンド

20/3/7(土) 6:00

 現在放送中の土曜ナイトドラマ『アリバイ崩し承ります』(テレビ朝日系)などを筆頭に、映画『愛がなんだ』『カツベン!』『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』など話題作への出演が絶えない成田凌。もはや“勢い”だけではなく、実力で引っ張りだこ状態である。今後は『弥生、三月 -君を愛した30年-』『糸』、2020年度後期のNHK連続テレビ小説『おちょやん』など、公開・放送を控える作品も数多く待機している。彼の芝居がここまで人気なのは、まさにその変幻自在ぶりが話題に挙がるからだろう。クズっぷりの光るダメ男から、気弱な青年、挙動不審な役からサイコパスなど、どんな役をやらせても新たな一面を見せてくれるのだ。

【写真】派手な服装で勤務するボンボン刑事・渡海

 成田の独特の芝居が多くの視聴者に知れ渡ったのはドラマ『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命- 3rd season』(フジテレビ系)の灰谷俊平役だろう。気弱で飛行機が苦手な新人フェローを演じ、冴えない気弱な青年の成長譚としてのインパクトを残した。しかし一転、映画『チワワちゃん』ではグループの中で彼女を取っ替え引っ替えするようなパリピのクズであるヨシダを演じる。さらに映画『愛がなんだ』では主人公テルコと煮え切らない態度でダラダラと体の関係を続けるマモルを演じたかと思えば、映画『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』では白髪の天才ハッカー浦野を演じ、平気で人を殺す怪演を見せる。立て続けに出演しては、違った印象の役を難なくこなす成田。こうした定まらないイメージは観ているものを翻弄し、魅了した。髪色、ヘアスタイル、メガネなどのビジュアルの変化も、短期間で臆すことなく変え、時にはエンドロールを見るまで成田だと気づかない時さえあるだろう。

 さらに、芝居でも彼は大きく印象を変えてくる。前述の通り様々な役を演じ分け、変幻自在な姿を見せる成田。果ては、『愛がなんだ』のマモルは、テルコに対する顔とすみれに対する顔で見せる表情が違うなど、作品の中でさえ2面性を作って演じ分けている。こうした細部まで作り込まれた芝居は、彼の綿密な計算だけでなく、人物の輪郭を捉えるという行為への類い稀なるセンスによって支えられているのだろう。

 現在は『アリバイ崩し承ります』で派手な服装で勤務するボンボン刑事・渡海を好演している。これまた新たな成田の一面が垣間見える役で、地上波での芝居とあり、その名を知らしめるのにぴったりだろう。彼には「成田凌が出演するなら観たい」と思わせる力がある。それは、彼ならではの画一的ではない芝居を、様々なアプローチで繰り出してくるからだ。ルックスやキャラクターを売りにせず、芝居の力でこう思わせるのは簡単なことではない。

 公開予定作が並ぶ中、次はどんな表情を見せてくれるのか。成田の新しい顔を見るたびに、ますます惹きつけられる。

(Nana Numoto)

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