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豊川悦司、織田裕二、江口洋介 平成から令和まで輝き続ける俳優たちのスタイリッシュさ

リアルサウンド

20/6/21(日) 6:00

 コロナ禍の自粛期間中は、Netflix『梨泰院クラス』の主人公・パク・セロイ(パク・ソジュン)がチョ・イソ(キム・ダミ)の頭をなでる大きな手と、TBSで放送中の『愛していると言ってくれ 2020年特別版』(以下、愛くれ)で大きな手で手話をしたり、おにぎりを握ったりする豊川悦司(榊晃次役)に見とれたものである。

参考:『愛していると言ってくれ』は年上ピュア男役の豊川悦司が最大の魅力 『恋つづ』佐藤健に匹敵!?

 関節と関節の間の長い指をもった大きな手で、手話をする聴覚障害をもった榊晃次と、彼惹かれてしまう紘子(常盤貴子)の純愛ドラマ『愛くれ』は、25年前の放送時も大人気だった。当時、豊川は武田真治と共演した『NIGHT HEAD』(フジテレビ系)から人気に火が付いて、『愛くれ』でブレイク、トヨエツブームを巻きおこしていた。

 豊川悦司の突出した美しさは多くの女性を虜にしたが、それだけでなく、俳優としても優れた才能の持ち主であったので、ちょっとうるさい映画ファンのおメガネにもかなった。『愛くれ』でも脚本家や演出家と多くのアイデアを語り合っていたらしい。21世紀になると演技派俳優として主に映画界で活躍するようになって、連ドラに出ることは少なくなっていたが、2018年の朝ドラことNHK連続テレビ小説『半分、青い。』のカリスマ漫画家・秋風役で出演すると、やっぱり多くの視聴者が彼に注目し、秋風に特化した書籍も出たほどで、いまなお人気は衰えないことを示した。

 とはいえ、秋風はかなりエキセントリックな人物でそのヘンさが人気だったのだが、『愛くれ』を観ると、すべてが研ぎ澄まされ、存在が芸術のような圧倒的な求心力を放っている。『愛くれ』と『半分、青い。』の脚本家の北川悦吏子は「この頃(愛くれの頃)の豊川さんも、もういない」と書いていて、いろんな要素が絡み合ってできた、この時期だけの特別な時間だったのだろうけれど、その貴重な榊晃次はたぶん、今後、再放送を何度繰り返しても、新たなファンを獲得するだろう。榊晃次は永遠である。

 四半世紀前から活躍し、永遠のキャラクターを作り上げ、いまなおトップランナーとして走っている俳優は豊川だけではない。月9『SUITS/スーツ2』(フジテレビ系)で主演している織田裕二もそのひとり。1991年に放送された『東京ラブストーリー』(フジテレビ系)から30年近く経って、いまも月9の主役を張っているのだからすごい。月9の代表『東京ラブストーリー』、純粋な男・カンチも、最近、リメイクされたとはいえ、永遠である。さらなる永遠のキャラといえば、1997年にはじまった刑事ドラマ『踊る大捜査線』(フジテレビ系)の青島刑事。織田はこれで国民的スターとしての地位を確立した。派出所勤務の警官から刑事になり、あくまで現場主義で権威に立ち向かう、小市民の味方・青島は熱狂的に愛され、『踊る』は2012年までドラマや映画が制作され、青島=織田裕二という勘違いが生まれかねないことも含めて前人未到の座を獲得したのである。青島の身につけているコートや時計が売れに売れたことも90~00年代の特殊な現象であろう。だが、青島=織田で終わらず、『踊る』終了後も新たな役を次々演じ、いまは新シリーズ『SUITS』で主演を務める。若者を導く大人としてのふるまいに滲むダンディズムが魅力的である。

 同じく、90年代を牽引した俳優に江口洋介がいる。『東京ラブストーリー』で織田演じる主人公のライバル的存在を演じた江口。1993年には親のいない兄弟が肩寄せあって生きていくヒューマンドラマ『ひとつ屋根の下』(フジテレビ系)が大ヒット。江口の演じた「そこに愛はあるのかい」が口癖の真っ正直な長男(あんちゃん)が大人気に。1997年に続編も作られた。その後は医療ドラマ『救命病棟24時』(フジテレビ系)の第4シリーズまで主演。江口演じる孤高の天才外科医役は当たり役となった。『東京ラブストーリー』のスマートなモテ男役をやったかと思えば、『ひとつ屋根の下』では恋愛に疎そうな素朴な人物、『救命病棟』ではクールな天才と演じる役は幅広く、主役もやれば、脇で締めることもできるオールラウンドプレーヤーとして活躍し続けている。『コンフィデンスマンJP』(フジテレビ系)の第1話で詐欺に合う人物を演じたが、1話限りのゲストではなく、何かと絡んできて劇場版にも出演している。江口が出ると、画面が華やぐ。『ストロベリーナイト・サーガ』(フジテレビ系)では昨今、少なくなったたばこを吸う姿に昭和の刑事ドラマのニオイを感じさせていた。

 豊川悦司、織田裕二、江口洋介に共通するのは様式性があること。「スタイリッシュ」という言葉を使って語ることのできる俳優たちなのである。佇まいひとつが考え抜かれて、現代劇で日常の動作にもひとつフィルターがかかって見える。それが、彼らを日本のお父さんやおじさんにさせない(演じようと思えば演じられるのだと思うけれど、決してそれが専門にはならない)。豊川、織田、江口……と五十代――豊川は2年後には還暦(!)ながら、スポーツ選手がそうそうに自分のちからを見極めて引退してしまうなかで、いつまでも引退しない三浦知良のような俳優たち。カズに憧れる人たちは、豊川、織田、江口のことも応援していると思う。やっぱり、いつまでも退かず走りつづけることはかっこいい。(木俣冬)

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