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ジャズ喫茶ベイシー Swiftyの譚詩(Ballad)

20/9/15(火)

『ジャズ喫茶ベイシー Swiftyの譚詩(Ballad)』 (C)「ジャズ喫茶ベイシー」フィルムパートナーズ

観終わって新聞記事のことを考えた。どんなに流麗な文章でも伝えるべきニュースが入ってないと意味がない。逆に、読みづらくても読者を納得させるエピソードがあれば、それは立派な“記事”になる。国内外の客を引き付ける岩手県一関市の伝説的なジャズ喫茶「ベイシー」の半世紀を俯瞰し、後世のために記録するという意味で、とても重要なドキュメンタリーだ。 ジャズ喫茶文化を牽引するマスターの菅原正二、JBLのスピーカーやアンプによるこだわりぬいたオーディオの音、菅原の多彩な交友関係とその人柄に惹かれた一流ミュージシャンたち……。カメラは余すことなくベイシーの魅力をとらえる。 驚くのは世界的指揮者の小澤征爾へのインタビュー。ジャズについて語るのは初めてなのだという。サックス奏者の渡辺貞夫がチャップリン作曲の名曲『スマイル』をベイシーで演奏するシーンは必見だ。 貴重な証言と過去の映像を散りばめた構成に加え、ナグラ社製のオープンリールテープレコーダーで録音されたサウンドも素晴らしい。そして、ジャズの名曲を背景に浮かび上がるのは、菅原の格好良さ。冒頭、逆光の中で菅原が紫煙をくゆらせ、コーヒーを淹れるシーンは文句なしに美しい。

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