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ぴあ

いま、最高の一本に出会える

レオス・カラックス監督の『ボーイ・ミーツ・ガール』

エンタメ通が伝授!第41回ぴあフィルムフェスティバル特集

相田冬二ー巨匠たちのファーストステップ Part4~長編デビュー作大集合~

全6回

第5回

19/9/6(金)

連載第5回は、PFF15年ぶりの企画となる「巨匠たちのファーストステップ」。今年は、長編デビュー作で構成し、全8作品を上映。今回は、本アプリでヤン・イクチュンの連載も担当して頂いているノべライザーの相田冬二さんに解説頂きます。

“最初の映画”は“最後の映画”になるかもしれない

かつて若き日のウォン・カーウァイにインタビューしたとき、座右の銘を訊いた。彼は「ゴダールの言葉だが」と前置きしてこう答えた。

「『これは最初の映画であり、最後の映画である』。新作を撮るたび、このことを忘れないようにしているよ」

映画に限らず、ある芸術に通底する真実に「処女作にはその作家のすべてがある」という文言がある。デビュー作は、どんな映画作家も一生に一度しか撮れない。初長編を完成させたからと言って、その後も映画を撮り続けられるとは限らない。だからこそ、その一作に全身全霊をこめる。それまで培ってきた能力、技術ばかりでなく、ありとあらゆる人生経験すべてを投入することになる。カーウァイが言うように“最初の映画”は“最後の映画”になるかもしれないからだ。

「巨匠たちのファーストステップ」で出逢うことのできる8本は、まざまざとそのことを実感させる。そしてそれは、映画作家の“その後”についての壮大な“予告編”たりえていることがわかるだろう。

たとえば第2作『汚れた血』で映画史にその名を決定的に刻みつけることになるレオス・カラックスの『ボーイ・ミーツ・ガール』は、まだ圧倒的な鮮烈さには到達してはいないもの、モノクロームならではの詩情にダイヴし、この監督ならではの疾走感は既に全面開花している。本特集では半分の4本が白黒映画だが、ブラック&ホワイトという映像世界は、監督の原初のかたちを明るみにすることに貢献する。ルイ・マルの『死刑台のエレベーター』は、モノクロが物語に自由を与えることを証明している。タイムリミット型の犯罪劇と、許されぬ恋物語を隣り合わせにして、マイルス・デイヴィスのジャズで融合させるという跳躍的挑戦を可能にしたのは、あのスタイリッシュな映像だった。マイルスはラッシュフィルムを見ながら即興的に音楽をつけていったという。もし、そこでマイルスが見ていた映像がカラーだったら、全く別な音楽になっていただろう。

『死刑台のエレベーター』 (c)1958 Nouvelles Editions de Films

最新作『帰れない二人』が同時期に封切られるジャ・ジャンクー監督の処女長編『一瞬の夢』は、荒削りだからこそのピュアネスが胸を打つ。たとえば大島渚の初期をも彷彿とさせる、居ても立ってもいられなくなるほどの叙情は痛切で、忘れがたい。

『一瞬の夢』 (C)HuTong Communication

今回の目玉は、バリー・ジェンキンスの『メランコリーの妙薬』だ。『ムーンライト』でオスカーを制し、続く『ビール・ストリートの恋人たち』でもアートと大衆性を奇跡的に交わらせ、唯一無二の映画道を切り拓いている才人中の才人が、その第1作で何を模索していたか。日本初上映となるこの機会は絶対に逃すべきではない。そして、『クリード チャンプを継ぐ男』であの『ロッキー』シリーズを大刷新したばかりでなく、ボクシング映画の新しい歴史の幕を開けたライアン・クーグラーの『フルートベール駅で』もスクリーンで目撃しておきたい傑作。ひとりの青年の人生最後の日を見つめるまなざしには、デビュー作ならではの覚悟と矜持が宿っている。

『メランコリーの妙薬』(c)Photo by David Bornfriend
『フルートベール駅で』 (c)2013 OG Project, LLC. All Rights Reserved.

そしてヤン・イクチュンの『息もできない』。主演も兼ねて挑んだ、あるチンピラの行き着く果て。あらゆるシーンが記憶に残る“処女作の鑑”ともいうべき佳品だ。

『息もできない』 (C)2008 MOLE FILM All Rights Reserved

招待作品部門

巨匠たちのファーストステップ Part4~長編デビュー作大集合~

上映スケジュール
・9/7(土)16:30~ ヤン・イクチュン監督
『息もできない』 ゲスト:ヤン・イクチュン
・9/12(木)19:00~/9/21(土)11:45~
バリー・ジェンキンス監督
『メランコリーの妙薬』 ※日本初上映
・9/14(土)14:30~  ジャ・ジャンク―監督
『一瞬の夢』
・9/15(日)14:30~ 
ルキーノ・ヴィスコンティ監督
『郵便配達は二度ベルを鳴らす』
・9/17(火)14:00~ ルイ・マル監督
『死刑台のエレベーター』
・9/17(火)16:30~ ジャック・ドゥミ監督
『ローラ』
・9/17(火)19:00~ ライアン・クーグラー監督
『フルートベール駅で』
・9/18(水)19:00~ レオス・カラックス監督
『ボーイ・ミーツ・ガール』

いよいよ9月7日(土)から開幕! 初日はヤン・イクチュン監督も来場!

「第41回ぴあフィルムフェスティバル」がいよいよ9月7日(土)から開幕です!コンペティション部門「PFFアワード2019」の上映はもちろん、招待作品部門はPFF史上最高に多彩なプログラムでお届け! 映画祭初日は本アプリの連載でもお馴染み、ヤン・イクチュン監督も来場します。


チケットは上映2時間前まで、チケットぴあで購入可能! 当日券は上映30分前~開映時間まで会場窓口にて発売しています。(チケットぴあで完売した場合、会場窓口での販売はありません。)また、『東京裁判』を除く招待部門作品、「PFFアワード2019」は学生500円にて鑑賞出来ますので、ぜひご活用下さい。(当日、学生証の提示が必要) 

詳細はチケットぴあをチェック!

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