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稲葉友の「話はかわるけど」

髪型×肌感覚×正答【後編】

毎週連載

第125回

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「髪を切ったのに、彼氏が気付かない。無関心なの?」という不安、経験したことのある女性は多そう。しかし稲葉さんは“己のテンションのみ”が大切と言い切ります。その心は?

作品において「こういう役だからこういう風にしたいんです」と言うことはあっても、普段の自分自身をこうしたいというのは思わないようにしている。「パーマあてたい」とか「長いので切りたい」とか、結局出来ないからね。パーマかけたら戻すの大変だし髪を切ったらのばす時間がかかるし、放っておくのがベストだ思うようにしている。スケジュールが空いている期間だけ明るくするとか出来なくはないけど直後にまた染める仕事が入ったら面倒だったり。逆に言えば面倒くさいが勝つ程度の願望なんだとも思う。

他人の髪型にはやっぱり目がいく。髪型は個性だし特徴だから。みんなが自分に似合う髪型をしているし、逆に今どき似合ってない髪型の人の方が少ない。奇抜な髪型もキャラクターとして受け入れられるようになっていて「あの人の髪、変だよね」と思うことも少なくなった。昔はマッシュルームカットは変な髪型だという印象があった。ビートルズで流行ってその後廃れて、少し前は流行ってなかったけど、今では流行りでもなく割とスタンダードなスタイルに。そんな感覚もさりげなくアップデートされている。

髪型の変化には割と気付く方だけど、だから何だとも思う。気付くから偉いワケじゃない。気付いてあげたいワケでもない。ただ気付いたというだけだから。それを「おお、さすが!」とか言われるのはなんだか違う気がする。

人に「髪型変わったね」と言って始まるコミュニケーションはいいんだけど、周囲からの「やっぱ気づくんだね」的なコメントはいらない。いらないと思うだけで言わないけど。あとお伝えしておきたいのは髪型変わったことに他人が気付かなくても咎めないでほしい。“髪型の変化に気づかない=無関心”は早計過ぎる気がするから。例え相手が無関心だったとしても、無関心の原因・理由が問題なのであって髪型の話を基準値にしないほうがいい。「そういうところだよ」とか言わないであげてよ。

パートナーの変化には自然に気付くのが素敵みたいなイメージがあるから、気付かれないと裏切られた気分になるんだろうか。「髪切ったんだ、いいね、似合っているね。」と言われたいはず。でもそもそもスタートはゼロ、ハードルを上げているのは自分だから。髪を切った結果は自分で「似合っている」と思えばいいことなんだと思う。相手に過度な期待をしてそれがかなわず不機嫌になっていたら自分が損するだけだ。

褒められたいならいっそのこと約束をした方がいい。「髪を切りに行くから、切った後に褒めてくれ」と。それだったら期待があることが共有できるし、相手方もスムーズに「髪切ったね、素敵だね」というやり取りが出来る。そんな予定調和のやりとりも、微笑ましい気がする。ただ、僕もわかっている。求めているのはこんな解決策じゃなくて「言わずに気付け」ということなのは。

女性の場合は髪もそうだけどネイルやまつ毛、メイクなどなど、とにかく多くのお手入れやお洒落の苦労や楽しみがある。それに対しての好みを問われることがあるが「あなたがテンション上がるなら、それが素敵だと思います」が僕の中での答えだ。ネイルなら色や長さやゴテゴテとかスッキリとかあるけど、あなたが好きな色にして好きなデザインを選んでほしい。あなたが好きな髪型で好きなメイクがいい。それでテンション上がっている女性を見るのが僕は好きだ。だからどうか好きなものを好きに選択して気分を上げて欲しい。

「どちらが好き?」とか問われたら僕は頑張って考えて答える。ネイルの場合はゴテゴテかシンプルかならシンプルの方がいい。ゴテゴテは嫌いといよりも「どこかに当たってポロンと取れてしまいそう」という心配が勝つのでシンプルな方がいい。そんな理由も添えたい。

でも僕の好みは本当にどうでもいい。いくらシンプルでマットなネイルを僕が好きでも、みんながシンプルでマットなネイルをしている世界は面白くないとも思う。「あなたがこれがいいって言ったから、そうしたんだ」と言われたら健気で可愛いとも思うが、それよりも「私が好きだから、こうしたんだ!」と言われた方が可愛い。これは掛け値なしの本音。

この「あなたのテンションが上がることが正しい」と断言することは、他人の美容についてそうそう意見がないということの隠れ蓑として最高だと思う。「自分の好みはないの?」と問われたら、好みとして提出するちょっとした要素を持ちつつ「あなたの好きな色やスタイルを貫いて、テンション上がって喜んでいるところを見ると、僕もテンションが上がるよ」というのが自分の中にある模範的な回答だ。

これはあくまでも僕に合った回答なので当然人それぞれ。他所で見つけた正解を目の前の人に押し付けないことも大切。だから何にせよ「いいな、素敵だな」と思ったことでも、万人に対してよくて素敵だとは限らない。

「自分の変化に気付かないなんて、無関心だ」と思うんじゃなくて、一度立ち止まって相手は自分と違う感性なのかもと考えてみて欲しい。目の付け所なんてそれぞれの方が面白い。そんなことを提案したい今日この頃でした。

次回の更新は6月2日(水)です。お楽しみに!

プロフィール

稲葉友(いなばゆう)

1993年1月12日生まれ、神奈川県出身。
2010年、ドラマ『クローン ベイビー』(TBS)で俳優デビュー後、ドラマ、映画、舞台と幅広く活動。
主な出演作に、ドラマ『仮面ライダードライブ』(‘14~’15 EX)、『MARS~ただ、君を愛してる~』(’16 NTV)、『ひぐらしのなく頃に』(’16 BSスカパー!)、『レンタル救世主』(’16 NTV)、『将棋めし』(’17 CX)、映画『ワンダフルワールドエンド』(’15)、『HiGH&LOW』シリーズ、『N.Y.マックスマン』(’18)、『私の人生なのに』(’18)、舞台『すべての四月のために』(’17)、映画『春待つ僕ら』(’19)『この道』(’19)など。
J-WAVE『ALL GOOD FRIDAY』(毎週金曜11:30~16:00生放送)ではレギュラーパーソナリティ―を務める。

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