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オーバー・ザ・リミット 新体操の女王マムーンの軌跡

20/6/26(金)

オリンピック出場を目指すアスリートがコーチからどのような指導を受け、かつ心理状況に陥っているかを密着取材で描いた作品。リオデジャネイロ五輪の新体操で個人総合金メダルを獲得したマルガリータ・マムーン(リタ)は華やかな栄光の陰で信じがたいドラマが進行していました。 新体操と言えばロシアではフィギュアスケートと並ぶ人気スポーツで、大きな大会で優勝すればブランドの服を着て高級車に乗ることも約束されるほどです。なので厳しい指導にも耐えていこうというわけですが、リタの場合は鬼コーチから「集中力がない」「このままでは五輪は無理」と怒声が飛ぶのはまだしも、「弱虫」「負け犬」、さらには「くたばっちまいな」とまでののしられる始末。さすがの五輪候補も涙を流さんばかりの形相です。 ここまで行くとパワハラではないかという声も聞こえそうですね。そんなつらい思いを胸の内に押し込め、リタは何度もやり直しの指導に応えていくのです。彼女はがんを患う父親に会いたいのにそれも我慢しています。カメラはそんなリタの内面を追っていくのですが……。 温かい声など一切かけず、厳しい指導で押し通す鬼コーチは「新体操王国ロシア」を30年以上にわたって支えているイリーナ・ヴィネル。多くの金メダリストを育成したことで知られています。そんなイリーナは劇映画で言えば丸ごと悪役そのまま、そしてリタ自身は闘志までそがれたように苦悩する様子を見せていくので、よくこんな映像を許可したものだと不思議でした。もしかしたら新体操経験のあるポーランド出身のマルタ・プルス監督自身が頂点を目指す2人の発する強いオーラに共振して粘り強く交渉した結果なのかもしれません。 プルス監督は何度も撮影を断られながら、その都度「許可をいただいたもの」と前向きにとらえ、選手をののしる「クソ」の言葉にイリーナからクレームがついた時も「映画全体を見るように」と反論するタフな性格です。精神面の強靭さは悪口に耐えたリタにも言えることでしょう。 映画の中でリタが他の選手に次のようにつぶやく言葉が印象的でした。「太るとお尻に(手具が)当たる」。体調管理を含めミリ単位にこだわる訓練の厳しさを教えられました。

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