危機に瀕した地球を救うため、父がいるだろう海王星に向かうアストロノート ──こう書くと確かにSFアドベンチャーのようだが、それは申し訳程度。父を追いかけアストロノートになった主人公が救いたいのは人類ではなく自分自身。大きなトラウマを植えつけた父と対峙して真実を探り、愛を確かめたいのだ。 そのための43億キロにも及ぶオデッセイはほぼアクションなし。まるでヨーロッパ映画のように、とことん地味に描いたのは製作も担当したブラピのシネフィルらしさだろう。このSF映画、ブラピというフィルターを通して観るとよく分かるのかもしれない。 主人公が目的を達しそうになったその瞬間の、シンプルだけど美しいセリフが胸に響いた。