世界から厳選されたホラー映画が日本に集結！
シッチェス映画祭
ファンタスティックセレクション2021特集

最古で最大のホラー映画の祭典
シッチェス映画祭とは？

1968年に創設され、スペイン、バルセロナ近郊のシッチェスで毎年10月に開催されている権威ある映画祭。上映されるのはSFやホラー、スリラーなどのファンタジー系作品で、ブリュッセルやポルトと並び、三大国際ファンタスティック映画祭と称される。

熱狂的なファンに支えられており、しばし招かれる三池崇史監督もファンを自認。近年はアニメーションの編成にも精力的だ。日本では、この映画祭で好評を博した作品を紹介する＜シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション＞が2012年より開催されており、今回で8回目を迎える。

シッチェス映画祭2021ラインナップの関連作や
過去のラインナップ作品も絶賛デジタル配信中！

シッチェス2021『呪術召喚／カンディシャ』の監督コンビが贈る
狂気の男と不気味な白魔人の恐怖！

『呪術召喚／カンディシャ』も楽しみなジュリアン・モーリー＆アレクサンドル・バスティロのコンビによる監督作。狂気の父親と、化学実験により異様な容姿を持つその息子。理想の家族を築くべく、彼らは母親代わりとなる女性を拉致していた。その現場を目撃してしまった少年たちは、この父子に追いつめられ、恐怖の一夜を過ごすハメに……。スキンヘッドで体毛がない、異様に白い肌。背が高く、マスクを付けた全裸の姿。“魔人”の不気味なキャラクターは、トラウマになりそうなほどショッキング。サバイバルストーリーとしても見ごたえ十分！

シッチェス2021『ロスト・ボディ～消失～』の類似関連作
死体安置所から消える女性の遺体のナゾとは!?

スペインはホラーのジャンルも活況を呈しており、今年は『ロスト・ボディ～消失～』がシッチェスにスタンバイしているが、本作もそんな勢いを伝えるスリラー。死体安置所の警備員が事故で死亡。その頃、安置所では女性の遺体が忽然と姿を消し、刑事が捜査に乗り出す。一方、この遺体の夫であった男は若い愛人との逢瀬を楽しんでいた。そんな中、嵐の到来により安置所は孤立し、そこでさらに不可解な事件が起こる……。伏線を巧妙に張り巡らせ、驚きの結末へと導く逸品。シッチェスでオープニング作品に抜擢されたのも納得！

シッチェス2021『ロスト・ボディ～消失～』の監督の初長編作
子供型ロボットをテーマにしたSFドラマ

『ロスト・ボディ～消失～』のキケ・マイーヨ監督の初長編監督作であるSFドラマ。2041年、ロボット工学の天才アレックスは古巣の大学に赴任し、10年前に断念した子供型ロボットの制作に着手。モデルとして目をつけた少女エヴァは偶然にも彼の元恋人と、彼の兄との間に生まれた娘だった。アレックスは彼女の感情を研究するが、エヴァには意外な秘密が……。映像美やテーマ性など、随所にマイーヨ監督の才気が見て取れる。ヒロインの美少女然としたたたずまいも魅力的！

シッチェス2021『キラー・ジーンズ』の類似関連作
手作りダンボール迷路に殺される!?

『キラー・ジーンズ』のナンセンスなノリにも通じるホラーコメディ。芸術家志望の青年デイヴはストレス発散を兼ねて、自宅にダンボールの迷路を作る。帰宅した同棲中の恋人アニーは仰天。迷路の中で行方不明になったデイヴの助けを求める声が聞こえてきたのだから。アニーは友人たちを呼び、デイヴを救うためにダンボールハウスの中へと入っていくが、内部は入り組んでいるばかりか、謎の暗殺者が彼らの前に立ちはだかる！　低予算映画ながら工夫を凝らしたつくり。実際にダンボールで造ったセットや、血が飛び出さないシュールかつポップな惨殺描写に注目！

シッチェス2021『呪術召喚／カンディシャ』の監督たちのハリウッド進出作
殺人鬼レザーフェイスの知られざる子供時代！

『呪術召喚／カンディシャ』のジュリアン・モーリー＆アレクサンドル・バスティロ監督のハリウッド進出作にして、ホラーの金字塔『悪魔のいけにえ』の前日談。チェーンソーを振るう殺人鬼レザーフェイスの子供時代が描かれる。レザーフェイスことジェドは5歳時に、保安官の介入により施設に引き取られ、狂気の家族と引き離された。10年後、この施設から少年たちが脱走し、残虐行為を繰り広げながら逃走する……。この少年たちの誰かが後のレザーフェイスなのだが、誰なのか分からないのがミソ。ミステリーをスプラッターと共に楽しみたい。

シッチェス2021『BECKY ベッキー』の監督コンビが初演出
キッズゾンビと教師たちのホラーコメディ！

『BECKY ベッキー』の監督コンビ、ジョナサン・マイロットとキャリー・マーニオンが初演出を務めたゾンビコメディ。異物が混入した給食のチキンナゲットを食べてしまった小学生の少女がゾンビに変身し、周囲の生徒たちに襲いかかる。小学生たちは次々とゾンビ化し、新任の代理教員クリントは大慌て。同僚の教師たちと共に校内の安全地帯に立ち籠った彼は、ゾンビキッズとの戦いを決意して生き残りに賭ける！　マイロット＆マーニオンの才能を認めたイライジャ・ウッドが製作と主演を兼任。ブラックユーモアとバカバカしさに満ちたドラマが炸裂！

シッチェス2021『BECKY ベッキー』コンビの監督第2作
街が突然戦場に！　謎だらけのサバイバルが始まる！

上記『ゾンビスクール！』で認められたマイロット＆マーニオンの監督第2作。恋人を連れて帰省しようとしていた女子大学生が地下鉄を降りて地上に出ると、平和であるはずのブルックリンの街はヘリが舞い、銃弾飛び交う戦場だった！　恋人を殺され、逃げ惑う彼女を助けたのは、地元に住む元軍人の男。襲いかかる敵は何者か？　壮絶な戦火の下で、彼らは生き残ることができるのか!?　『ガーディアンズ・オブ・ギャラクー』のタフガイ、デイヴ・バウティスタと『ピッチ・パーフェクト』のブリタニー・スノウを主演に迎え、リアルなサバイバルをクリエイト。

『マーダー・ライド・ショー』シリーズ3部作がここに完結！
カリスマ、ロブ・ゾンビが贈るバイオレンス・ロードムービー

ロック・ミュージシャンとして、またホラー映画の監督としてカリスマ的な支持を得るロブ・ゾンビが、自身の『マーダー・ライド・ショー』シリーズ3部作の完結編として放ったバイオレンス。殺りくを喜びとする一家の最終章が、ここに描かれる。刑務所を脱獄した一家の3人組が、メキシコ国境を目指して逃亡。当然のように、行く先々には血の雨が降ることになる。彼らのゴールには、いったい何が待ち受けているのか!?　容赦ないバイオレンス描写やブラックユーモアはもちろん、アウトローへの共感を込めたロブ・ゾンビ作品ならではのテイストも光る。

ユダヤ教信者の家に潜む恐怖の存在とは……!?
『インシディアス』製作チームが贈るオカルトホラー

『インシディアス』の製作チームが新たに放つオカルトホラー。信仰を捨てたユダヤ人の青年ヤコブが、ユダヤ教の慣例に倣った、死人の柩をひと晩見守るという仕事を謝礼目的で引き受ける。だが、不気味なことに、その家では認知症を患う老女が何かにひどく怯えていた。やがてヤコブは、その家に潜んでいる“何か”と向き合うことを余儀なくされ……。ユダヤ教の儀式にナチスによるホロコーストの歴史を絡めながら、戦慄の超常現象を活写。新鋭キース・トーマスが刻んだ、陰影を活かした映像にゾクゾクさせられるに違いない。

愛する恋人のためにその父＝百戦錬磨の悪徳刑事を倒せ！
“ロシアのタランティーノ”の才気が光る血みどろバイオレンス！

“ロシアのタンティーノ”と評された新鋭リル・ソコロフの、エッジの効いた演出が光るバイオレントなサスペンス。父親に対してとてつもない恨みを抱く娘と、彼女のためにその父を殺そうと決意した恋人。ところが、この父親は悪知恵が働く百戦錬磨の悪徳刑事で、そう簡単には殺されるタマではない。それどころか、会いに来た青年との血みどろのバトルが繰り広げられ、事態はやがて悪夢へと発展していく。鮮血飛び交うバイオレンスに加え、キメ細かい心理描写、アップテンポでカットが切り替わる映像編集も面白く、その若々しいセンスに引き込まれる。

森の中で何度も繰り返されるエンドレスの惨劇！
スウェーデンの鬼才が放つタイムループホラー

『ハッピー・デス・デイ』『コンティニュー』など近年多く作られている“タイムループもの”はユーモアに振れているが、北欧製のこちらは完全に恐怖寄り。最愛の娘を死なせてしまい、ぎくしゃくしてしまった夫婦が、関係を修復すべくキャンプ場に出かける。ところが、ルートを外れてしまったばかりに、森の中でサイコパスの殺人鬼や人喰い犬と遭遇。さらに悪いことに、時間のループに飲み込まれた彼らはこの悪夢を何度も経験することになる……。『いつも心はジャイアント』でデビューしたスウェーデンの俊英ヨハネス・ニーホルムが恐怖奇談を演出。

孤独な車椅子の少女VS謎のウイルスで狂暴化した介護犬！
スペイン発、緊迫のシチュエーションスリラー

シチュエーションの面白さで見せきるスペイン製のスリラー。主人公は、交通事故で四肢麻痺となり、車椅子生活を余儀なくされた少女エレナ。ひとりで暮らすことを望み、優秀な介護犬アトスとともに、森の中で新生活を始めた彼女だったが、アトスが森のコウモリに噛まれたことで謎のウイルスに感染。狂犬病のような症状に陥り、狂暴化してしまったアトスから、エレナは逃げることができるのか？　スペインのアカデミー賞といわれるゴヤ賞で短編部門の受賞歴があるホセ・ルイス・モンテシノスが、緊迫感あふれるドラマを演出。

グロテスクな描写と社会派はストーリーが融合！
ディストピアと化したトルコを舞台にした悪夢的スリラー

管理化された近未来社会の悪夢を描く、『未来世紀ブラジル』にも似たトルコ製作のディストピアストーリー。古いアパートの屋上に設置された、政府のプロパガンダ放映用のTVアンテナ。その作業員が不審な墜落死を遂げた現場を偶然にも目撃してしまった男が、真相を追求しようとする。だが、それは彼を巨大な陰謀に巻き込んでいき……。グロテスクな描写とシリアスなストーリー展開の融合が注目され、欧米ではデヴィッド・クローネンバーグ作品を例に出して論じられた。新鋭オルチュン・ベフラムの名は、ぜひ覚えておきたい。