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押井守の あの映画のアレ、なんだっけ?

オススメの吸血鬼映画を教えてください!

月2回連載

第38回

Q.
押井さんも吸血鬼ものを作ると聞いていて、とても楽しみにしています。押井さんにおススメの吸血鬼映画を教えてもらえると嬉しいです。何を観ればいいでしょうか?

── 今回は吸血鬼映画についてです。前回の『鬼滅の刃』の話題のときも、ちょっと触れていますけどね。

押井 おススメは『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』(94)です。とりわけ『ポーの一族』が好きな人はとても楽しめると思うよ。

── それはちょっと意外ですね。この作品、腐女子御用達の作家でもあるアン・ライスの原作『夜明けのヴァンパイア』をニール・ジョーダンが実写化した作品。萩尾望都の『ポーの一族』も元祖BLコミック的な部分がありますから、押井さんがBLというのは……。

押井 私は『ポーの一族』が大好きで、何度も読み返しているくらいだからね。それと同じような意味で『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』もいい。永遠を生きる種族の葛藤劇としてよくできているし、美術もカメラも素晴らしくて、文芸映画としてのヴァンパイアものではこれがピカイチです。

── キャスティングのときに、トム・クルーズが主人公の吸血鬼レスタトを演じることになり、原作者のライスが大ブーイングしたんですよ。私も原作大好きだったので、ライスの気持ちはよーく分かった。ところが、蓋をあけてびっくり。トムくん、ちゃんとレスタトになっていましたから。

押井 悪の魅力でギラギラしていたからね、トムくん。反対にブラピがダメだった。見てくれもダメだったし、永遠を生きる苦悩も表現されていなかった。

『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』より、耽美なヴァンパイアに扮するトム・クルーズとブラッド・ピット。日本公開当時、トムは32歳、ブラピは31歳。本編を観た原作者ライスは前言を撤回してトムの演技を絶賛、デイリー・バラエティ誌に7740ドルの2ページの広告を出した。

── 退廃がないんですよ。白塗りも似合わないし。トムくんはどちらもクリアしてましたからね。

押井 やっぱブラピはチンピラ役じゃないとダメなんだよ。ひらひらのコスチュームを着てもまったく似合わないし。インタビュアー役のクリスチャン・スレイターもイマイチかなー。彼は『薔薇の名前』(86)が一番良かった。

── 紅一点の少女ヴァンパイア役のキルスティン・ダンストはどうでした? 私は、もっときれいな子はいなかったのかと思いましたけど。

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