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「スポーツの力を信じ全力で戦い抜く」、東京五輪日本選手団結団式・壮行会で決意表明!

ぴあ

(写真左より) 日本選手団の旗手を務める須崎優衣、主将の山縣亮太、副主将の石川佳純 (C)JOC

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7月6日、『32回オリンピック競技大会(2020/東京)』日本代表選手団結団式および壮行会がオンラインで行われた。本来ならば総勢1000名を超える日本代表選手団の多数が一堂に会し、盛大に行われるイベントであるが、新型コロナウイルス感染症対策のため、日本オリンピックミュージアムで開催された式典に出席したのは日本オリンピック委員会(JOC)山下泰裕会長、日本選手団・福井烈団長、尾縣貢総監督、陸上・山縣亮太主将、卓球・石川佳純副主将、旗手のレスリング・須崎優衣ら6名のみ。ほとんどの選手・役員はオンラインで参加した。結団会ではJOC・山下会長がこのようにあいさつした。

「コロナ禍において結団式を挙行する意味を関係者とともに再認識したのは大切な時間であり、無事この日を迎えられるのは感慨に耐えません。日常生活が一変しました。アスリートにとってのトレーニング環境も大きく変化しました。スポーツに携わる者としてスポーツのある日常に感謝し、目標があること、未来があることの大切さ、自分たちとスポーツの重要性を感じた1年でした。
新たな環境に順応し、自己の工夫により競技力を高め日本代表に選ばれたことに心より敬意を表します。選手を支えサポートし続けた監督・コーチのみなさまに感謝します。
約半世紀ぶりに東京で行われる五輪がいよいよ始まります。コロナ禍で5万3000人が集う国際スポーツ大会は世界中の注目が集まります。1964年の『東京五輪』、私はずっとテレビに釘付けになり、日本選手が活躍し、日の丸が掲げられた姿を見てこめかみがじんとしたのを今でも覚えています。今回の日本代表選手の活躍で私のような体験をする子供たちがいると思うと胸が高鳴ります。夢や希望を伝えることができる瞬間だと思います。
分断された世界で、スポーツは人と人をつなぎます。不要不急と言われたスポーツの価値が今、問われている。次の世代に五輪、未来へつながる五輪、さまざまな意味を持つ大会になります。選手たちはこの1年間逆風に揺れ、練習や試合ができない困難を乗り越え、それでも最善を尽くそうとしてきました。感謝と誇りを感じつつフィールドで思う存分、輝いてほしい。そして、1年待った思いを胸に自己を十二分に表現していただきたいと切に願っています」

1000名超の日本選手団をまとめる福井団長は以下の通りあいさつした。
「日本で開催される特別な五輪に参加する日本代表選手団の団長を拝命し、身に余る光栄と同時に、その責任の大きさに改めて気持ちが引き締まる思いです。我々日本代表選手団は選手582名、役員476名、総勢1058名で編成します。選手・役員のみなさんとともにチームジャパンとして心をひとつにして全身全霊で臨みます。
日本代表選手はホスト国を代表する選手団としての誇りと責任を持ち、行動規範を順守し、人間力、日本の力を大いに発揮してください。日本代表選手団にご支援ご尽力をいただきました関係各位に心より感謝を申し上げますとともに、大会期間中も引き続き温かいご声援をお願い申し上げ、あいさつとさせていただきます」

日本選手団主将の大役を担う山縣はこう決意表明をした。
「私たちは自国開催である『東京五輪』の日本代表選手に選ばれたことに誇り、自覚と責任を持って大会に挑みます。コロナ禍で開催の意義が問われる中、常に自分たちに何ができるのか、スポーツの意義について考えてきました。今、自分たちにできることは真摯に競技に向き合いベストを尽くすことだと思います。スポーツの力を信じ、チームジャパンの一員として全力で戦い抜くことを誓います」

また結団式をオンラインで視聴した秋篠宮皇嗣殿下より日本選手団へお言葉を述べられた。結団式の後には壮行会を実施。菅義偉総理大臣からはビデオメッセージを寄せられた。応援パフォーマンスでは人気デュオ・ゆずが2004年『アテネ五輪』NHKテーマ曲となった「栄光の架橋」を熱唱し、LEDを駆使した色鮮やかなリボンや旗を持ったダンサーたちによる光のパフォーマンスも披露された。

パフォーマンスを見届けた石川は「本当に元気と勇気をいただきました。今度は私たちがプレーで元気と勇気を日本のみなさんに届けたいと改めて思いました」と語り、応援フラッグを受け取った須崎は「全国からたくさんの応援メッセージをいただけて本当にうれしいです。本当に力になります。五輪では私たちが応援メッセージを胸に力いっぱい戦って、少しでも元気や勇気を届けられたらと思います」と決意を口にした。

オンラインで参加したバドミントン・桃田賢斗も「本当にたくさんの方々のメッセージがうれしかったし、応援は本当に力になります。あと数日間悔いの残らないようにしっかり練習して、本番でみなさんに感動を届けられるようにがんばっていきたいです」と思いを新たにした。

壮行会後には個別のメディア対応がオンラインで実施された。4回目の五輪で4個目の金メダルを狙う体操・内村航平は式典を終えた率直な感想を口にした。
「最近取材もオンラインなので、慣れてきていますが、ちゃんとした式典がオンラインだと物足りない気がしました」

『アテネ五輪』体操団体金メダル獲得となる冨田洋之の鉄棒の着地が思い出される「栄光の架橋」を聞いた感想を問われると、「コロナ禍でなかったら、リオの時のように生で聞けたのかなと思いながら聞いていました。あの曲を聞くと体操、アテネという感じなので、体操選手はみんなやる気になるんじゃないかなと思います」と笑顔を覗かせた。

昨年11月の「できないではなく、どうやったらできるかに考えを変えてほしい。なんとかできるやり方は必ずあると思うので、どうかできないとは思わないでほしい」というメッセージについて改めて問われると、内村はこのように返答した。
「昨年11月にああいうことを言った時と今では状況が違います。ちょっと落ち着いていた時期だったと思うので、僕の中では『できなくはないのではないか』と思って、そのまま自分の気持ちを素直に伝えました。そこから状況が二転三転し、本当にできるのだろうかと思いながら選考会をやりながらも、(先を)考える必要もないかなと。目の前の試合を一つひとつやることしか僕にはできることがないので。ああいうことを言ったことで開催してもらえたとは僕は思っていません。選手が何を言おうと世界は変わらない。選手一人ひとりがやれることをやって、日本に勇気や感動を届けることしかできないのかなと思います」

さらに内村は自身の性格に言及しつつ、日本代表選手たちへエールを送った。
「僕は正直、周りの声とかには一切左右されない性格なので。自分のやるべきことを今までやってきましたし、変わらずにできるだろうと思っていますが、全アスリートがそうではないと思います。自分自身のために五輪を戦い抜いて、一人ひとりができることをやって、いいプレーをしていけば、日本中に明るいニュースを届けられるのではないかと思う。みんな自分のために精いっぱいやってほしい」

個別の取材対応にはウエイトリフティング・三宅宏実、柔道・大野将平、レスリング・川井梨紗子も出席し、次のようにコメントした。
三宅「五輪がいよいよ始まるんだなと引き締まった気持ちになりました。1年延びたことで体力の低下もあり、調整することが難しいと痛感しました。それが30代の戦い方なのかなと。
五輪を通して初めて夢ができました。最後の役目になると思いますので、前進していきたいです。24日(土)から試合が始まりますが、そこに向けて精いっぱい全力を出し切れるようにしっかりがんばりたいです。それぞれのとらえ方、感じ方になりますが、何かのきっかけになったり、勇気だったり元気だったりを伝えていけるような試技ができたらと思います」

大野「改めて多くの方のご尽力があって『東京五輪』が開催されるということを感じました。我々アスリートにできることは全身全霊をかけて、最高の結果を出せるようにパフォーマンスすることに尽きます。日本武道館で戦えることを誇りに感じて、自分のスタイルを存分に発揮したい。古き良き日本柔道を思い出せるような柔道を、日本武道館の畳の上で体現できればと思います。
言葉にする以上に連覇は難しいことだと自分自身が一番理解しています。勝ち続ければ勝ち続けるほど、勝負とは簡単ではないということが再確認できます。防衛的悲観主義という言葉もありますが、試合ギリギリまで自分を疑い続けてやっていきたい」

川井「五輪本番に向けて初めてのことも多くありますが、日本代表の役割を果たすために、いつも通りベストのパフォーマンスを出すことが一番大事だと思います。出るからには金メダル。それが結果として2連覇につながってくると思います。あまり2連覇は意識せずに、初めて臨むような気持ちで、優勝を目指してがんばりたい。延期が決まった時には気持ちが不安定になったこともありますが、家族、コーチ、妹のお陰で持ち直してここまでくることができました」

最後に日本選手団の記者会見が行われた。団長以下5名は改めて抱負を口にした。
福井団長「言葉では言い表せないほどのご協力を得て選手団を代表して御礼申し上げたい。競技以外でも日本代表の誇りを持った日本選手団を作りたいと思います」

尾縣総監督「選手たちには思う存分力を発揮していただきたい。世界中の心にいつまでも残るような五輪になることを願います」
山縣「今回の五輪ではこの場に立てることへの感謝の気持ちを忘れずに、100mのファイナル進出とリレーの金メダルを目指し、主将として引っ張っていければと思います」

石川「副主将という大役を大変光栄に思います。日本代表選手は素晴らしい選手ばかりだと思うので、副主将としてあまり意識せずに最高のプレーをしていきたいと思います」

須崎「八村(塁)選手と旗手を務められて大変光栄に思います。8年間『東京五輪』を目指して練習をがんばってきました。初めての五輪で8年間の思いを、一生懸命戦う姿を、金メダルを獲得する姿をお見せできればと思います」

それぞれ主将、副主将、旗手をオファーされた時の心境を尋ねられると、選手たちはこのように答えた。
山縣「まず最初に自分でいいのかという思いもありましたが、ありがたいことなので、一生懸命プレーする姿を見せることが意味あることだと思い、お話を受けました。
(迷いはなかったか?)悩むこともあったのですが、開催されるにあたり、たくさんの方がサポートしてくださったので、サポートを信じて、選手として競技に集中するということでお受けしました」

石川「お話を受けた時は本当にびっくりしました。『東京五輪』というのは本当に特別な舞台、副主将という大役をいただくことはたいへんありがたいことなので受けさせていただきました」

須崎「本当にびっくりしました。この旗手という大役を全うし、少しでも明るいニュースを届けられればと思いお受けしました。
(憧れの吉田沙保里も『ロンドン五輪』で旗手を務めたが) ずっと憧れの吉田選手がやられた旗手は大変光栄だし、大変ありがたいです。旗手は私のイメージでは日本選手団を国旗を持って先導し、かっこいいイメージがあります。開会式は『東京五輪』が始まる合図なので、明るく堂々と歩いて日本がいいスタートを切れるようにしたいです」

かつて目標に定めた金メダル30個について質問されると、福井団長はこのように説明した。
「山下会長と各競技団体としっかり話し合い、1年かけて30という数字を出しました。ただ前提状況が変わってしまいました。30個という数字は残っていますが、選手たちには今持っている力を全部出し切ってもらうことが目標に変わりました。選手に最大の力を発揮して元気にプレーしてもらうのが最大の目標。その結果30という数字が付いてくるかもしれませんが」

改めてスポーツの意義について問われた主将は「自分にとってのスポーツの意義は競技人生であり、人生豊かにすることです。代表が決まるまでケガもあり、なかなかうまくいかないこともありましたが、競技を楽しいと思い続けることができた。見てくださる人々にとって気持ちが明るくなるキッカケになればいいなと思います」とキッパリ。

『32回オリンピック競技大会(2020/東京)』は7月23日(金)に開幕。開会式に先立ち、21日(水)からサッカー競技がスタートする。

取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)

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