Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

「Le Fils 息子」主演の岡本圭人「痛いほど理解できた」、父親役は岡本健一

ナタリー

「Le Fils 息子」ビジュアル

岡本圭人が主演し、岡本健一らが出演する「Le Fils 息子」が8月から10月にかけて上演される。

2018年に初演された「Le Fils 息子」は、フランスの劇作家フロリアン・ゼレールによる“家族3部作”の1作。ゼレールは「La Mere 母」「Le Pere 父」に続く、3部作の締めくくりとして、本作を手がけた。なお「Le Pere 父」は2019年に橋爪功らの出演で日本初演されている。

17歳のニコラは、両親の離婚によって家族が離れ離れになったことにひどく動揺し、何に対しても興味が持てなくなっていた。うそを重ねて学校にも行かなくなり、目的もなく1人で過ごしていたニコラは、退学になってしまう。父ピエールは新しい家族と暮らしていたが、ニコラの母アンヌから息子の様子がおかしいと知らされる。ピエールは離婚後に距離を置いていた息子を救うため、なんとか彼と向き合おうとし……。

今回は「Le Pere 父」日本初演と同じくラディスラス・ショラーが演出を担い、ニコラ役を岡本圭人、ピエール役を岡本健一が演じる。このほかのキャストには「Le Pere 父」にも出演した若村麻由美や、伊勢佳世、浜田信也、木山廉彬が名を連ねた。

岡本圭人は本作の台本を読んだ感想を「僕がこれまで歩んできた人生と、主人公ニコラの人生とが重なり、彼の心情や言葉がまるで自分のことのように痛いほど理解することができました」と語り、「演出家のラディスラス・ショラーさん、大先輩でもある父・岡本健一や若村麻由美さんを始めとするキャストの皆様、そして素晴らしいスタッフの皆様と共に、『Le Fils 息子』の物語に生命を吹き込めるように、全力を尽くします」とコメント。

また岡本健一は「この作品を読む度に心が打ち砕かれて、ページが進まなくなり、思考回路が止まってしまうような場面がいくつかあります」と明かしつつ、「私達は様々な状況の中で生活していますが、これからを生きて行く世代の為にも、出来るかぎり沢山の方々に、この作品を伝えなければならないと思っています。劇場では感染対策を万全にしていますので、どうかお身体を大切に健康でいて、血の繋がった父と息子が織りなす、ある家族の物語の生活を、劇場にて公然と覗き見て下さい」とメッセージを送った。

本作は8月30日から9月12日までの東京・東京芸術劇場 プレイハウス公演を皮切りに、福岡・高知・石川・新潟・宮崎・長野・兵庫を巡演する。東京公演のチケットの一般販売は、7月10日10:00にスタート。なお岡本圭人と岡本健一、そしてゼレール、ショラーからのコメント全文は下記の通り。

岡本圭人 コメント

初めて、「Le Fils 息子」の台本を読ませて頂いた時に、

僕は劇作家フロリアン・ゼレールの描く物語に強い感銘を受け、

この作品に巡り合えたことに運命を感じました。

僕がこれまで歩んできた人生と、主人公ニコラの人生とが重なり、彼の心情や言葉がまるで自分のことのように痛いほど理解することができました。

そして、台本を読めば読むほど、僕の中で「ニコラのことを救いたい……」

という気持ちが膨らんでいきました。

「どうすれば彼のことを救えるのか……」と考えたときに、ゼレールが描いたこの物語を1人でも多くの方々に知っていただくことで、

もしかしたら世界中にいるニコラのような子、そしてその家族を救うことができるかもしれないと思いました。

演出家のラディスラス・ショラーさん、大先輩でもある父・岡本健一や若村麻由美さんを始めとするキャストの皆様、そして素晴らしいスタッフの皆様と共に、「Le Fils 息子」の物語に生命を吹き込めるように、全力を尽くします。

是非、劇場まで足を運んでいただき、この物語を皆様と共有できることを心から望んでいます。

よろしくお願い致します。

岡本健一 コメント

誰もが考えてしまうであろう家族の物語です。

子供達、親達が抱えている問題。

お互いがどんなに理解しようとしても、その思いが伝わらない問題。

自分の思いと相手の思い。

どうすれば解決出来て、どうすれば救えて、どうすれば助けて貰えるのか。

あの時にこうすれば、ああすれば良かった。

こんな思いにならなければ、こんな思いをさせなければ良かった。

いずれにせよ、すべてが過ぎ去っています。

これからが大切だと生きて行くしかないのですが、この思いを抱えて、

これからを生きて行くしかないのです。

「Le Fils 息子」この物語の登場人物達は、

それぞれがどんな思いで、どんな出来事があったのでしょうか。

私は、この作品を読む度に心が打ち砕かれて、ページが進まなくなり、思考回路が止まってしまうような場面がいくつかありますが、稽古に入る頃には克服しているでしょう。

私達は様々な状況の中で生活していますが、これからを生きて行く世代の為にも、出来るかぎり沢山の方々に、この作品を伝えなければならないと思っています。

劇場では感染対策を万全にしていますので、どうかお身体を大切に健康でいて、

血の繋がった父と息子が織りなす、ある家族の物語の生活を、劇場にて公然と覗き見て下さい。

フロリアン・ゼレール コメント

東京で「Le Fils 息子」が初演されることになり非常にうれしく思っています。これは私にとって特別に大切な物語であり、ここに描かれた感情には私の個人的な体験が直接反映されています。しかし作品を書くにあたって私自身を物語ったわけではありません。私以外の人が、自分自身を映し出せるような鏡を差し出してみせたのです。私はそれこそが芸術の存在意義だと感じています。芸術は私たちの抑えきれない感情の共有を可能にします。それによって、私たちはお互いに孤立した個体ではない、それどころか私たち自身よりも大きな何かに帰属しているということ、そしてその何かは“人類”と呼びうるものだということを私たちに思い出させます。

この作品がラディスラス・ショラーのすばらしい演出によりパリで初演された時、うれしいことに毎回終演後に観客が私たちを待っていてくれました。彼ら自身の物語を分かち合うためです。彼らの物語は往々にしてピエールやアンヌやソフィアやニコラの物語の延長でした。今、日本の皆さんのおかげで、そして皆さんを通じて、この分かち合いが続いていくのだと想像してとても幸せです。

東京芸術劇場、そして俳優の皆さん、この日本版上演を可能にしてくれたすべての人々に心より感謝いたします。

ヨーロッパでは何カ月にもわたりあらゆる劇場が沈黙を余儀なくされてきましたが、そんな時期のあとに、この作品の幕が日本で開くことは特別な喜びです。皆さんと一緒にその瞬間を分かち合えたらこの上ない喜びだったでしょうが、「Le Fils 息子」の映画撮影の予定が入っておりヨーロッパにとどまらざるをえません。私は想いによって、心によって、そして明晰なラディスラス・ショラーの仲介によって、その場に立ち会っていることでしょう。

皆さんに感謝します。

ラディスラス・ショラー コメント

フロリアン・ゼレールの「Le Fils 息子」演出のために日本に戻ってこられることは大変光栄であり、大きな喜びです。

2年前に上演された同じ作者の「Le Pere 父」日本版の演出は、私にとってすばらしい仕事の思い出となりました。日本の俳優の皆さん、そして東京芸術劇場のテクニカル / アーティスティック・スタッフと共に仕事できたことは大変な僥倖でした。

今回の「Le Fils 息子」日本版のキャスティングには2つの特色があります。

まず私にとって若村麻由美さんと再会する機会であるということ。「Le Pere 父」で彼女を演出できたのは大きな喜びでした。

そして、もう一つはピエールとニコラを、実生活でも父子である俳優2人、岡本健一さんと岡本圭人さんに任せる選択をしたことです。

血の繋がった実の息子と共演するというリスクを引き受けてくれた健一さんに心よりお礼を申し上げます。

私生活と仕事を両立させるのは容易なことではありませんが、彼らの父子の絆が、舞台上の父子の絆をより一層深く、鋭いものにしてくれることと確信しています。

圭人さんは豊かな感受性を持った青年であり、絶えず進化しようとしています。ストレートプレイで大きな舞台を踏むのはこの作品が初めてです。この役が彼にとって、その若い才能のあらゆる色彩を表現する機会となることを願っています。

※「La Mere 母」の「Mere」、「Le Pere 父」の「Pere」はそれぞれ、1つ目のeにアクサングラーブを付けたものが正式表記。

「Le Fils 息子」

2021年8月30日(月)~9月12日(日)
東京都 東京芸術劇場 プレイハウス

2021年9月17日(金)~19日(日)
福岡県 北九州芸術劇場 中劇場

2021年9月22日(水)・23日(木・祝)
高知県 高知市文化プラザかるぽーと 大ホール

2021年9月26日(日)
石川県 能登演劇堂

2021年9月29日(水)・30日(木)
新潟県 りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 劇場

2021年10月3日(日)
宮崎県 メディキット県民文化センター 演劇ホール

2021年10月9日(土)・10日(日)
長野県 まつもと市民芸術館 主ホール

2021年10月14日(木)~17日(日)
兵庫県 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール

作:フロリアン・ゼレール
翻訳:齋藤敦子
演出:ラディスラス・ショラー
出演:岡本圭人、若村麻由美、伊勢佳世、浜田信也、木山廉彬、岡本健一

アプリで読む