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虹のコンキスタドールが語る、アイドルとしての姿勢 「どんな状況でも楽しい気持ちになってもらえる存在であり続けたい」

リアルサウンド

20/6/17(水) 18:00

 虹のコンキスタドールが6月17日、約2年半ぶりのアルバム『レインボウグラビティ』をリリース。毎日がお祭り騒ぎのような賑やかさがありながら、でもフッと泣けるようなエモーショナルさも兼ね備えた彼女たちの魅力に、ますます引き込まれる作品になった。また、自粛期間中にインドア派の本領を発揮してファンが増えるという現象もあったという。的場華鈴、鶴見萌、岡田彩夢の3人にリモートでインタビュー。アルバム制作の裏側や、コロナをものともしない虹コン流の存在感の発揮の仕方など聞いた。(榑林史章)

外出自粛期間のもどかしい気持ちを代弁した「夕暮れグラデーション」

ーーアルバムは2年半ぶりですけど、どんなアルバムになりましたか?

的場華鈴(以下、的場):今作にはベストアルバムの前に出した曲や、グッズシングルや配信でリリースされていた曲も収録していて。それをCDで聴いてもらえるので嬉しいです。

岡田彩夢(以下、岡田):虹コンのアルバムはジャケット写真がオシャレという流れがあって。今回は少しオトナっぽさとインスタグラム感を意識したので、今風の虹コンを楽しんでいただけると思います。

鶴見萌(以下、鶴見):この2年半はすごく濃くて、収録曲を見ると全部が主役級で。どんどん虹コンの“重力”が強くなっていることが、アルバム収録曲からも実感してもらえるんじゃないかなって思いますね。

的場:あと、今までのアルバムには卒業したメンバーが参加した曲も収録されていたんですけど、今回はそういう曲がないんです。今のメンバーで丸2年以上誰一人欠けることなくやってきたことの証となる1枚なので、今の虹コンを存分に楽しんでほしいです。

ーー今の12人の歴史が収まっていると。新曲のお話をうかがっていきますが、リード曲「夕暮れグラデーション」はどんな曲ですか?

的場:よくメンバーと話すんですけど、「エモ爽やかな楽曲」がやっときたねって。今までの虹コンのエモい曲は、重い曲が多かったんです。こういう“笑いながら泣けるみたいなエモさ”は、今回が初めてじゃないかって思います。

鶴見:エモ爽やかな曲をやりたいってずっと言ってたんです。野外に合いそうだし、早くライブで歌いたいですね!

ーー昨年結成5周年を迎え6年目の虹コンだからこそ、よりエモさを感じる歌詞だと思いますが、それぞれ歌詞で好きなところは?

的場華鈴

的場:的場は、1番のBメロの〈「大丈夫、焦らなくてもいい」なんて 他人(ひと)は言うけどいつだって その言葉で焦るんだ〉です。焦らなくていいよって言われるとかえって焦っちゃうのが、自分も含めてまさに虹コンで。どうしてこんなに虹コンのことが分かるんだろう〜って。

鶴見:私は、2Aの〈足元をかすめていく 思い出の笑い声 10年先の僕は何処にいるのかなぁ〉ですね。過去に思いを馳せつつ、もちろん不安もありながら、でも先を見ているところが、すごく良いなと思います。先日現体制での2周年を迎えたんですけど、その時も昔のことをいろいろ思い出したし、このメンバーでどこまで行けるかな〜って考えていたので、まさしく今の自分の気持ちと重なります。

岡田:私は1Aの〈今日の僕は夢に近づけたのかなぁ〉で、歌詞をもらった時に「絶対ここを歌いたい」って思っていたら、その歌割りをいただけたので嬉しかったというのもあるんですけど……。でもアイドルだったらこの気持ちは、きっとみんなあるんじゃないかなって思うんです。目標となるものがあって、1回1回ライブを重ねたり日々のお仕事をしていく中で、今日の自分は大丈夫だったかなって後悔したり、進んで行けているのか不安になったり。今もライブ活動ができない中で、毎日悩みながら過ごしていて。そういう心境と歌詞が、すごくリンクします。

ーー常に自分に問いかけている言葉なんですね。

岡田:そうですね。

鶴見:調子が良くない日は、どうしたってあるから。それを振り返りながら、いつか大丈夫になるはずだと信じて、また明日も生きていくみたいな感じです。

的場:そういう部分では私たちのことだけじゃなく、今夢を持っているすべての人に刺さる曲じゃないかって思う。「夕暮れグラデーション」のMVを見て聴いてくださった方で、「外出自粛期間中のもどかしい気持ちを代弁してくれている」と言ってくださっている方もいました。

ーーMVは、今の時期だからこその撮影スタイルになりましたね。

的場:はい。時間のある時に個々で撮ってものを繋いであって。

鶴見:珍しくみんな私服なんですよ。良い意味でリラックスした、メンバーの私服が見られます(笑)。

岡田:あとメンバーが歌っている下に出てくる歌詞は、そのメンバーの手書きで。こういう“エモ爽系”の曲は、歌詞の言葉が胸に滲みることが多いから、歌詞を手書きにすることでより“エモ爽感”を感じてもらえると思います。

鶴見:サビは12人全員が1つの画面に映るんですけど、サビでずっと全員が映るMVは今までなかったので、すごく新鮮な気持ちになりました。

ーーMVの最後でステージに全員が集まっている後ろ姿の写真が映りますが、あれがすごくエモいですね。

的場:写真はファンの方から募集した虹コンの好きな写真や夕暮れの写真を使っていて、その写真は確か2年くらい前の冬に開催した『全国征服!5th Anniversary レインボウツアー』の追加公演のリハーサル中のひとコマで。

岡田:ファンの方からも「最後の写真で涙腺が崩壊した」というコメントがたくさんありました。

【MV】虹のコンキスタドール「夕暮れグラデーション」(虹コン)

ーーユニット曲も収録されていて、「天文学的ノンフィクション」は、赤組の楽曲。今日のメンバーでは鶴見さんと的場さんが参加されていますが、こういうワチャワチャした感じは、すごく虹コンらしさを感じます。

鶴見:そうですね(笑)。

岡田:虹コンには赤組と青組があって、私が所属する青組の「真夜中のテレフォン」という曲が先にあって、その時から赤組のみんなもオリジナル曲が欲しいと言ってて。「真夜中のテレフォン」はしっとりめでクラブでかかってそうな曲ですけど、それとは真逆のテンションで、はっちゃけて元気な赤組にぴったりのすてきな曲だと思います。

的場:サイゼリヤでピザを食べながら「こういう曲がほしいよね」って、話し合ったその場で企画書を書いて、プロデューサーのもふくさんに全員で一斉メールを送って作っていただきました。

鶴見:青組と真逆の雰囲気であることやメンバーの名前が歌詞に入っているところなど、メンバー発信のアイデアを形にして下さって、メンバーの理想が詰まった曲になっています。

“鶴見萌さんというジャンル”になってしまう

鶴見萌

ーー「Genie!Genius!」は、定期公演の企画でオリジナル楽曲を賭けた対決で勝利したジーニアス6(シックス)の楽曲で、鶴見さんと岡田さんが参加しています。タイトルも歌詞もチーム名の通り“天才”と歌っていますが、メンバーで一番天才だな〜と思う人は?

岡田:一番天才なのは、大和明桜ですね。彼女は自分のことをジーニアスと名乗り、ファンからもジーニアスと呼ばれ、ジーニアスと描いてあるカバンを持っているくらいです(笑)。発想が奇抜で、でも彼女が作り出す文章は全部エモくて。ジーニアス6の勝因も、大和明桜のライブ中のあおりが評価されてのことだし。

ーーそんな岡田さん自身の天才だと思うところは?

岡田:え〜どこだろう?

的場:ジーニアス6の曲も私とあかりんが振り付けしたんですけど、最初はあおちゃん(大和明桜)をイメージして“ナマステスネーク”というオタ芸の技を取り入れたら、思いのほかだぁやめ(岡田彩夢)のキレがすごくて。思わぬオタ芸の才能を見せてきた。

岡田:実は天才かもしれない(笑)。

ーー鶴見さんの天才なところは?

岡田:ライブ中の見せ方とかパフォーマンスの表現力が、天才的だと思いますね。カメラに抜かれる瞬間を分かってやっているんじゃないかと思うほどの反応スピードで、全知全能です。

鶴見:カメラがある時は、カメラに対しての意識を敏感にしているからね。全知全能とまではいかないけど、そう言ってもらえるのは“ありがてえ〜”(笑)。

岡田:振り付けは、完全に自分の色に落とし込んでいて、全部華やかな感じになるというか。

的場:どんなに虹コンの曲をみんなでパフォーマンスしていても、“鶴見萌さんというジャンル”になってしまうのは、超強いって思う。

ーーまた「ワンルームマジック」は、ヤマモトショウさんの作詞作曲編曲。すごくポップなオシャレサウンドで、インドア派のみなさんらしさもあります。

的場:最後にできた曲なんですけど、プロデューサーのもふくさんから「いつもの虹コンらしいアゲアゲ曲と、ちょっと落ち着いた大人っぽい曲のどっちが良い?」という提案があって、多数決を取ったら12人全員が「ワンルームマジック」のほうに手を挙げて。みんなそろそろ落ち着きたいのかな〜?って思いました(笑)。

鶴見:いつもハッチャケてるから、たまにはね。

岡田:最近は明るめの曲をいっぱい歌って、例えば「響け!ファンファーレ」もひたすら明るい曲ですし、あえてこういう曲をやりたいという気持ちはありましたね。

的場:アルバムのいいスパイスになっています。

岡田:あと春の曲は初めてかもしれないです。夏とか冬の曲はありましたけど、完全に春が舞台になっているのはこれが初めてだと思います。

【MV】虹のコンキスタドール「響け!ファンファーレ」(虹コン)

ーー“春になってワンルームで独り暮らしを始めて”……という歌詞ですからね。ラップまではいかないけど、独特のメロディが特徴だと思いますが、ボーカルディレクションはどんなものでしたか?

岡田:いつもは「笑いながら歌って」とか「テンション高くして」って言われるんですけど、「ワンルームマジック」は「元気なく歌って」って言われて、私は一発OKでした。

鶴見:リズムをすごく指導されました。「ここで切って」とか。いつもと違ったグルーブ感なので、勢いではごまかせないっていう。

的場:的場は逆に「昔に戻って」ってと言われました。昔の的場は今みたいな感じではなく、全然しゃべらない静かな人だったんです。髪を切る前までは。「その頃の歌い方に戻して」って言われたので、他のメンバーとは逆ディレクションだったかもしれない。「声が戻った!」って気づいてくれる人がいたら嬉しいですね。

ーーみなさん独り暮らしの経験は?

岡田:この3人の中で今独り暮らしなのは私だけなんですけど、上京して独り暮らしを始めた頃は、この歌詞くらいの新鮮な気持ちでした。自炊しなきゃとか、家具を可愛いのに揃えたいとか。でももう慣れてしまって、今はそういう気持ちはないです(笑)。

ーー実家のお二人は、独り暮らし願望はありますか?

鶴見:ありますよ。自粛期間中は特に家族と過ごす時間が多くて、リモートで仕事をするときに大声を出して迷惑をかけていないかなって気を使うし、一人で自由に暮らしてみたいなって思います。

的場:的場は今実家ですけど、高1から高3になるまでの2年間独り暮らしをした経験があって。そこから実家に戻ったんですけど、やっぱり実家はサイコーです! 家に帰ると温かいご飯ができているありがたさをめちゃくちゃ感じます。

ーー岡田さんは自炊しているんですか?

岡田:自粛期間からちょっとだけ作るようになりました。最近はオムライスとか、野菜スティックのソースを毎回いろんな味で作ってみたり。

鶴見:私も作りますよ。母の日には海鮮漬け丼を作ったし、カレーをスパイスを炒めるところから作ったりしていて。

的場:私も一回だけ作ったことがあります。母がついに献立を考えるのが面倒になった時に任されて、チキンライスを作りました!

鶴見萌:それTwitterで見たよ。

的場華鈴:完璧なでき上がりだったでしょ!

今こそインドア派アイドルの底力を見せる時!

岡田彩夢

ーーそして最後に、Special Trackとして「あなたと見る青空に明日も虹が架かりますように」を収録。これは昨年横浜ベイホールで初お披露目した曲です。

岡田:「ぼくらのターン」「心臓にメロディー」「夕暮れ」からの「明日虹」という流れがサイコーです。

鶴見:神セトリだ! いつかこの流れのままの曲順でやりたいね。「次にあの曲がくる!」って、分かっているのもドキドキして楽しいし。

的場:それいい! 絶対やろう!

ーーポエトリーリーディングと言うんでしょうか。歌ではなく語りのような感じで繋いでいく。

的場:もう感極まって泣きながらレコーディングしました。

鶴見:私も泣きそうで「やばい、やばい」って思って、声が変になりそうになりながら歌いました。

的場:これもNOBEさんが作詞をしてくださって、この曲もまさしく虹コンのことを書いてくれていて。

鶴見:それもメンバーそれぞれに当てて書いてくれている感じで、自分の歌詞のところになると、「ああ、これは私だ」って思って胸が熱くなりました。

岡田:一人につき2パートずつあるんですけど、私の一つ目は〈伏し目がちな視線でも分かったステージの眩しさに 踏み出した〉で、二つ目〈あの日伏し目がちだった私は たぶんもういない〉なんです。大人から見たら、昔はあんなに暗い人間だった私が、今は明るくなったと思われていたんだなって(笑)。

鶴見:NOBEさんの歌詞って、私たちの気持ちを分かって下さっているのもあるけど、NOBEさんや周りの大人からはこう見えていたんだなっていうのを、まざまざと思い知らされるところもあって。それでまた思うところがあったりするんですよね。

岡田:NOBEさんは、いつも同世代の女の子みたいな目線で書いてくれるので、13人目のメンバーみたいな存在です。

的場:ももいろクローバーZさんの「走れ!」も作詞されていて、それと同じ「走れ」っていう大切なキーワードを虹コンのためにおろしてくださって。私たちの気持ちに寄り添ったキーワードを使ってくださったのがすごく嬉しかったです。

ーーさて今は、ライブ、握手会、リリースイベントもなかなかできない状況で、虹コンはそんな中でもリモートサイン会をやっています。今の状況やこれからについてどんな風に考えているのか、みなさんの気持ちを教えて下さい。

的場:とにかく今は、生でライブがしたい。ツアーがしたい。この気持ちしかないです。環境が整ったら、無観客生配信という形でもいいので、このアルバムの曲を生でお届けしたいです。

鶴見:もちろん一番にあるのは、私もライブをしたい気持ちです。今はリモートサイン会という形でのファンとの触れ合いを続けながら、メンバーによっても個々でいろいろ発信していて。今後の活動の仕方も考えながら、ピンチをチャンスに変えるような新たなやり方を見つけていけたらいいなと思っています。

岡田:どんな状況でもファンの方に元気をあげたり、見て楽しい気持ちになってもらえる存在ではあり続けたいと思います。それはアイドルとしての本来の姿でもあると思うんですけど……。今はファンの方が少しでも楽しんでもらえるようなコンテンツを考えて、なるべく日々発信するようにしていて。虹コンの公式YouTubeチャンネルでは生バンド編成で開催したライブ『RAINBOW JAM 2019』の映像を丸ごとアップしたんですけど、それをきっかけに、この自粛期間中に虹コンを好きになってくださった方がけっこういて。

鶴見:いるいる!

的場:めっちゃいるよね!

鶴見:それに現体制になって2周年の日には、虹コンメンバーがすごく盛り上がったんです。SNSでメンバー紹介を華鈴ちゃんや彩夢ちゃんがやって、それに他のメンバーが反応して、虹コンファンも反応して。そのリツイートを見た虹コンを知らない人で、「虹コンって面白そうだな」とか虹コンを検索したらめっちゃ気になったという人が出てきて、その人たちに「じゃあこのライブ映像を見て」ってオススメしたり。そういうムーブメントが起きたんです。そういう温かくて愛があって、メンバー同士が好きで家族のような関係で、見ていてほっこりするようなグループであり続けたいです。もっと見てほしいところがいっぱいあるのに、今まではなかなか発信できていなかった。それを今SNSや、BS11で始まった冠番組『虹のコンキスタドールが本気出しました!?』などで、どんどん出していけたらなって。みんなに愛される家族になれたらと思います。

ーーこういう時期に、むしろファンが増えるってすごいですね。

的場:自分たちでもびっくりで、「今!?」って思いました(笑)。

岡田:このタイミングでライブ映像をたくさんあげたことで、気にはなっていた人に見てもらえる環境になったのかなって。

的場:虹コンはライブを見れば絶対好きになってもらえる自信があるので、それが証明された感じですね。

ーー虹コンって逆境に強いですね。

鶴見:こういう状況になってようやく盛り上がってきた感がありますね。みんなインドア派だっていうのもあるし。

岡田:家にいる時間が長いほうが、真の力を発揮できるみたいです(笑)。

的場:自粛期間が始まって思ったのは、オタクって得だなということで。家にいる=一人ってなってしまいがちですけど、オタクって推しメンがいれば一人じゃないんです。推しメンがいることが生きるモチベーションになるという意味で、おうち時間が増えたことはオタクにとってむしろありがたい。虹コンはさっき萌ちゃんが言ったようにSNSが盛んで12人みんながTwitterなどをバンバン更新したり、ライブの動画もあげたりしていて。いろんなアイドルの在り方があると思うけど、虹コンは「虹コンを好きで自分は得してる」と思ってもらえるくらい、これからもどんどんいろんなことを発信していきたいと思っています。今こそインドア派アイドルの底力を見せる時です!

■リリース情報

『レインボウグラビティ』
発売:2020年6月17日(水)
【初回限定盤】 CD+Blu-ray
価格:¥5,636(税抜) 
【通常盤】CD ONLY
価格:¥3,636(税抜) 

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