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いま、最高の一本に出会える

“新しい藤原さくら”の姿に圧倒された一夜 新曲2曲も披露したライブハウスツアー初日を観て

リアルサウンド

19/10/7(月) 14:00

 これまで見たことのない「新しい藤原さくら」に、ただただ圧倒される一夜だった。

 シンガーソングライター、藤原さくらにとって1年ぶりのツアーは、9月27日の東京・恵比寿LIQUIDROOMを皮切りにスタート。『Twilight Tour 2019』と銘打った初の「ライブハウスツアー」である。

 チケットが完売したすし詰めのフロアは、久しぶりのツアーということもあって開演前から熱気が漂っている。まずはミツメの須田洋次郎(Dr)、COMEBACK MY DAUGHTERSの渡辺将人(Ba)、そしてayU tokiOこと猪爪東風(Gt)がステージに現れ、おもむろにセッティング。力強い4つ打ちのキックに合わせ、渡辺がリッケンバッカー・ベースでソリッドな8ビートを刻み始めると、エレキギターを抱えた藤原が登場。大きな歓声が巻き起こる中、「I wanna go out」からライブはスタートした。

 2016年にリリースされた彼女のメジャーデビューアルバム『good morning』では、mabanua編曲によるアコースティックなアレンジが印象的だったこの曲が、それとは全く新しいアレンジに生まれ変わっている。目まぐるしく移り変わっていくコード進行はベースの単音弾きに削ぎ落とされ、そのソリッドかつミニマルなアンサンブルの上で気だるくスモーキーな藤原の歌声がたゆたう。それはまるで、The Black Keysをバックに歌うラナ・デル・レイのようでもあった。

 これまでの藤原のライブは、mabanuaやKan Sano、SPECIAL OTHERSの面々や、Curly Giraffeこと高桑圭といった熟達した演奏家たちがしっかりと脇を固め、文字通り彼女を「サポート」するようなアンサンブルを聞かせていたのだが、今回、藤原本人が須田にコンタクトを取り、彼をバンマスに新たに集められたメンバーとのパフォーマンスは、「守られている」のではなくまさにバンドメンバーの一人として「一緒に進んでいる」感が、ひしひしと伝わってくるのだった。

 その後も新旧バランスよく散りばめられた楽曲を、矢継ぎ早に繰り出していく藤原。どの曲も一からアレンジを組み直しており、イントロを聞いただけではどの曲か分からないものもいくつかあった。例えば、mabanuaが全面プロデュースを手掛けたことでも話題となった、2018年リリースのEP『green』から「Sunny Day」を披露。オリジナル音源では、軽やかな16ビートの上を転がるエレクトリックピアノが楽曲のカラーを象徴していたが、ライブでは猪爪のギターを大々的にフィーチャー。スケールアウトしたイントロのフレーズや、サビで藤原のボーカルと絡み合うカウンターメロディ、ワウやアームを駆使したギターソロなど、緊張感たっぷりのプレイでオーディエンスを魅了していた。

 「ちょっとピアノの曲をやってもいいですか?」

 そうフロアに語りかけ、ライブの中盤に演奏したのは「The Moon」(『green』収録)。映画『コードギアス 反逆のルルーシュ』の主題歌に起用されたこの曲は、オリジナル音源ではリバーブをたっぷりとかけた幻想的なサウンドスケープが印象的だったが、フェンダーからグレッチに持ち替えた猪爪が、箱鳴りの豊かなギターサウンドをつま弾くライブバージョンは、藤原が弾くシンプルなエレピのバッキングと共にシンプルなアンサンブルを展開。切々と歌う藤原のボーカルと、美しいメロディをより際立てていた。

 後半は、なんと新曲を2曲も披露(いずれもタイトル未定)。1曲目は疾走感溢れる8ビートが印象的なナンバーで、黄色いTシャツにブルージーンズという、ラフな格好でエレキギターをかき鳴らす藤原の姿はまさにロックンローラー。2曲目は「結婚した姉のために作った」という楽曲で、語尾を上げる可愛らしいメロディと軽快なモータウンビートに自然と笑みがこぼれる。

 フロアが温かい拍手に包まれる中、エレキギターのアルペジオに導かれて歌い出したのは「Soup」。福山雅治とダブル主演を務めた月9ドラマ『ラヴソング』(フジテレビ系)の主題歌であり、彼女の歌声をお茶の間に浸透させた「出世作」だ。音源では福山が作詞作曲、そしてプロデュースも務めたこのフォーキーポップな楽曲も、ヒップホップを通過したようなヘビーかつミニマルなリズムを繰り出す須田と、アームを駆使しながら不協和音スレスレのカウンターフレーズを絡ませる猪爪、メロディックかつファンキーなベースラインでグルーヴを構築していく渡辺によって、全く新しい曲に生まれ変わっていた。そして、そんな攻めたアレンジに全くひるむことなく、天性の歌声を聴かせる藤原はすでに貫禄すら漂わせていたのだった。

 アンコールでは、自身の誕生日である12月30日に本ツアーの追加公演を、東京・渋谷WWW Xで開催することを発表した藤原。これから新しいバンドメンバーとともに、全国を回る彼女のさらなる成長を期待したい。

(ライブ写真=柏田テツヲ)

■黒田隆憲
ライター、カメラマン、DJ。90年代後半にロックバンドCOKEBERRYでメジャー・デビュー。山下達郎の『サンデー・ソングブック』で紹介され話題に。ライターとしては、スタジオワークの経験を活かし、楽器や機材に精通した文章に定評がある。2013年には、世界で唯一の「マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン公認カメラマン」として世界各地で撮影をおこなった。主な共著に『シューゲイザー・ディスクガイド』『ビートルズの遺伝子ディスクガイド』、著著に『プライベート・スタジオ作曲術』『マイ・ブラッディ・ヴァレンタインこそはすべて』『メロディがひらめくとき』など。ブログFacebookTwitter

■追加公演情報
『藤原さくら Twilight Tour 2019 -Birthday Party-』
12月30日(月)東京・Shibuya WWWX
Open 18:00/Start 19:00
GUEST:To be Announced
チケット代:5,800円(税込)

■ツアー概要
『藤原さくら Twilight Tour 2019』
9月27日(金)東京・LIQUIDROOM
Open 18:00/Start 19:00

10月5日(土)広島・広島クラブクアトロ
Open 16:15/Start 17:00

10月6日(日)香川・高松MONSTER
Open 16:30/Start 17:00

10月13日(日)沖縄・桜坂セントラル
Open 16:30/Start 17:00

10月19日(土)栃木・HEAVEN’S ROCK Utsunomiya VJ-2
Open 16:30/Start 17:00

10月20日(日)埼玉・HEAVEN’S ROCK Kumagaya VJ-1
Open 16:30/Start 17:00

10月25日(金)愛知・ボトムライン
Open 18:15/Start 19:00

10月26日(土)静岡・LIVE ROXY SHIZUOKA
Open 16:15/Start 17:00

11月8日(金)北海道・KRAPS HALL
Open 18:30/Start 19:00

11月10日(日)岩手・盛岡CLUB CHANGE WAVE
Open 16:30/Start 17:00

11月23日(土・祝)京都・京都磔磔
Open 16:30/Start 17:00

11月24日(日)大阪・Music Club JANUS
Open 16:30/Start 17:00

11月30日(土)石川・金沢EIGHT HALL
Open 16:15/Start 17:00

12月1日(日)長野・松本Sound Hall a.C
Open 16:30/Start 17:00

12月7日(土)神奈川・F.A.D YOKOHAMA
Open 16:30/Start 17:00

12月12日(木)兵庫・神戸VARIT.
Open 18:30/Start 19:00

12月14日(土)熊本・熊本B.9 V1
Open 16:30/Start 17:00

12月15日(日)福岡・FUKUOKA BEAT STATION
Open 16:30/Start 17:00

12月20日(金)宮城・仙台darwin
Open 18:30/Start 19:00

12月21日(土)福島・郡山HIPSHOT JAPAN
Open 16:30/Start 17:00

<チケット>
前売:4,700円(税込)+1ドリンク代(オールスタンディング・整理番号付)

チケット一般発売日:
<9月、10月公演>発売中
<11月、12月公演>10月12日(土)10:00~

藤原さくら オフィシャルサイト

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