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三者三様の“ゴッチン”が登場!本多劇場で「いきなり本読み!」第3弾

ナタリー

20/8/4(火) 17:55

岩井秀人(WARE)プロデュース 第3回「いきなり本読み!」2日目より。(撮影:平岩と坂本)

岩井秀人(WARE)プロデュース「いきなり本読み!」の第3弾が、8月1・2日に東京・本多劇場で開催された。ステージナタリーではその2日目の模様をレポートする。

「いきなり本読み!」は、出演者に演目を事前に告知せず、ステージ上で台本を渡し、その場で岩井が配役・演出する企画。今回は2日連続で開催され、1日目にはユースケ・サンタマリア、松本穂香、橋本さとし、2日目には荒川良々、黒木華、古舘寛治が登場した。

開演と同時に舞台上に現れた岩井は、「ぜいたくな客席ですね……」と第一声を発した。新型コロナウイルス感染症対策で客席数を4分の1に減らし、席と席の間にはパーテーションを設けるなど、通常とはかなり違う様相の客席になっている。続けて出演者の荒川、黒木、古舘が姿を現す。岩井はまず、各出演者との関係性を説明。荒川と古舘は岩井作品に多数出演しており、岩井は2人に厚い信頼を寄せていること、黒木は岩井が脚本を共同執筆した映画「来る」のキャストで、間接的な接点はありつつも今回がほぼ初顔合わせであることが語られた。

そしてさっそく台本が配られる。タイトルは「ゴッチン」。本作は「新年工場見学会2016」で上演された「ごっちん娘」の改訂版で、筋骨隆々の小学生女子・ゴッチンの恋と苦悩を軸にした物語が描かれる……ということは、舞台上の3人に特に告げられないまま、本読みはスタートした。

「登場人物7人なので、複数の役を演じてもらいます」と岩井から告げられ、まずは1場ずつ、岩井の指示で配役を変えながら、台本が読み進められる。本作では、ゴッチンの小学生らしい内面と小学生らしからぬ外見とのギャップが大きなポイントとなるのだが、古舘は持ち前の深みのある声でセリフとのギャップを自然に生み出し、荒川はゴッチンを性別を超えた存在として表現。黒木は内面の繊細さを丁寧に描き出し、三人三様にゴッチン像を立ち上げた。

1場読み終わるごとに、岩井が「ここはもう少しイケメン(のような言い方)でいいかもしれない」「ゴッチンの不器用さが出てましたね」「もう少し目を合わせてやってみましょうか」など声をかけると、俳優たちはサッとアプローチを変えてみせる。岩井はそんな俳優たちの様子に、「自分が書いた台本なのに、改めて発見がありますね」とうなずきながら笑顔を見せた。

また休憩後のMCでは、「普段、台本を渡されてまずどんな準備をするか」という話題から、古舘は本読みが儀式的になるのが嫌で最初から演じるように読むこと、荒川は逆に目線を落として淡々と読んでいることなど、それぞれの取り組み方が明かされる。黒木が「普段は冷静に読みますが、今日はお2人が面白いので、私は特にストレートに読もうと思ってます」と話すと、荒川と古舘が「ストレートにやってるつもりですよ!」と即答し、笑いが起きた。

さらにゴッチンが母に鬱積した思いを吐露して母に慰められるシーンで、涙ながらの熱演を見せた黒木が「自分にもこういうことがあったなって思い出しながら読みました」と話すと「え! こんな経験、一切ない!」と岩井。「じゃあなんで書けるんですか?」と黒木が尋ねると「こうなったら面白いなと思って書いてる」と岩井が答え、観客から「へえ」と驚きの声が上がった。

この日は最後数行を残したところで時間となり、本読みは終了。出演者3人は、物語のラストが気になる様子で台本に目線を落としつつ、客席に向かって深くお辞儀し、大きな拍手に包まれて舞台を後にした。

岩井秀人(WARE)プロデュース 第3回「いきなり本読み!」

2020年8月1日(土)・2日(日)※イベント終了。
東京都 本多劇場

進行・演出:岩井秀人

出演

8月1日:ユースケ・サンタマリア、松本穂香、橋本さとし
8月2日:荒川良々、黒木華、古舘寛治

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