グレース・オブ・ゴッド 告発の時
20/7/14(火)
『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』 (C)2018-MANDARIN PRODUCTION-FOZ-MARS FILMS-France 2 CINEMA-PLAYTIMEPRODUCTION-SCOPE
前作『2重螺旋の恋人』は幻惑的な傑作だったフランソワ・オゾン。初の事実を基にした社会派ドラマは、仏で現在も裁判が進行中の神父による少年への性的暴行事件を扱う。
オゾンの美点と言えば映像美だが、今作は俳優の演技に尽きる。長い年月ののち、すっかり中年になった被害者たちは神父や何もしなかった教会を相手に闘い始める。往年のフランス映画ファンにとってはメルヴィル・プポーの渋みばしった中年ぶりも愛おしいし、スワン・アルローの危うさも被害者の苦悩と葛藤を十二分に表現し、胸をうつ。ジェンダーこそ違えど、同世代の監督による、同世代による闘いが描かれていて、彼らがささやかな勝利を手にするラストは胸が高鳴った。
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