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三島由紀夫の美学に満ちた、ファンタジーの世界へ unrato#8『薔薇と海賊』 霧矢大夢×多和田任益×田村芽実インタビュー

ぴあ

左から、『薔薇と海賊』出演の多和田任益、霧矢大夢、田村芽実  写真:源賀津己

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童話作家・楓阿里子と、知的障害を持つ青年・松山帝一。阿里子の作品のファンである帝一は彼女の住む館を訪ね、ふたりは惹かれ合っていく。楓阿里子役・霧矢大夢さん、松山帝一役・多和田任益さん、楓千恵子役・田村芽実さんは、三島由紀夫が描いたラブストーリーにどう向き合っていくのでしょうか。

ーー皆さんは今回初共演ですね。

霧矢 田村さんは舞台を拝見して芝居心があって何にでも染まれる人だと思ったので、阿里子とは全然似ていない、異質な親子である千恵子を創り出せそう。多和田さんはすごく明るい印象で、お話の仕方も誠実だし、楽しみながら役を創っていかれると思います。

多和田 霧矢さんは経験値と人間としての豊かさが溢れていて、安心して挑めそう。芽実ちゃんは虹のようにカラフルでキラキラしているので、この役をどう見せてくるのか、ワクワクしています。

ーー1950年代の戯曲なので、言葉遣いも今とは違いますが。

霧矢 最初に読んだ時、昭和の白黒映画をイメージしました。セリフは普段よりも少し早口にすると雰囲気が出そう。文体自体は、昨年太宰治や芥川龍之介の朗読劇をやらせていただいたので、自然になじめました。現代的な舞台と違って会話の中で延々と心情を吐露しますが、文字で見るより声で聞いた方が受けとめやすいのかも。

田村 私は大正・昭和の文化が大好きなので、楽しく読みました。今ではあまり使われない言葉遣いも、すごく楽しみです。もちろん現代を生きる私がそのセリフを発することは難しい作業なので、覚悟して挑みたいと思います。

多和田 僕は少し前の時代のつかこうへい作品、清水邦夫作品に出演した時、最初はその面白さがあまりわからなくて。でも実際に演じると、役が全身に落ちてくる感覚がありました。三島さんの作品は初めてでさらに前の時代に書かれたものなので緊張もしているけれど、稽古を通して役を落とし、観てくれた人に「またこういうものも観たいな」と思ってもらえる舞台になったらいいですね。

田村 戯曲を読んで、千恵子はあまり感情的にならない女性だと思いました。どういう思いを抱いていて何がしたいのかまだつかめていないけれど、お稽古の中で皆さんと心を通わせて、千恵子に向き合っていきたいと思っています。

霧矢 こういう、ひとつの家、ひとつの部屋で何かが起こる話は大好きです。阿里子は情緒不安定で流されやすそうに見えて、実は館の主として家族を支配している。初めての役どころで、ワクワクしますね。「阿里子の館へようこそ」という感じでしょうか(笑)。


取材・文:金井まゆみ 写真:源賀津己

unrato#8『薔薇と海賊』
作:三島由紀夫
演出:大河内直子
出演:霧矢大夢 多和田任益 田村芽実 須賀貴匡 鈴木裕樹
   大石継太 飯田邦博 羽子田洋子 篠原初実 松平春香

日程・会場:
・東京公演
2022年3月4日(金)~13日(日)
東京芸術劇場シアターウエスト

・大阪公演
2022年3月25日(金)・26日(土)
茨木クリエイトセンター

チケットはこちらから→https://w.pia.jp/t/baratokaizoku/

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