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武田航平 オレニ撮ラセロ!

芸人から見た俳優、俳優から見た芸人

不定期連載

第96回

初対面ながらも、フィーリングぴったりの武田さん&河井さんの対談。今回は、お二人が仕事に対するアツい思いをトークします。俳優と芸人のスタンスの違いとは? さらにアインシュタインのコンビ愛を武田さんが深堀りします!

河井の愛情表現に、共感しまくり!

武田 バラエティーやYouTubeでアインシュタインのお二人を見ていて、面白いなと思うのが、河井さんが稲田さんのことを厳しい目で見ているところなんですよね。それこそ、稲田さんのだらしないところとか。ついこないだも、『今ちゃんの「実は…」』(朝日放送)で、相方の好きなところを100個発表する企画にコンビで出られたときに、スタジオが変な空気になって、「俺がここで稲田にキレないとスタジオが収まらない」みたいに河井さんがおっしゃっていましたよね。そういう、稲田さんに対する「お前ちゃんとやれ」ってスタンスが、真剣でないとできないし、コンビ愛があるなって思うんですよね。その愛情表現がいいなって。

河井 あれはね、楽屋に帰ってむっっっちゃくちゃキレましたよ。番組のレギュラーになってすぐのタイミングだったから、気合を入れるべきときだったし、相方の好きなところ企画って、これまで霜降り明星、サバンナさんあたりがハネてる企画だったんですよ。それぞれが笑いだけじゃなくて、感動もちゃんとある内容で。でもね、あいつ、それを見てないから、企画の趣旨とか構造を知らずに収録に臨んでいたんですよ。見てないことにほんまに腹が立って仕方がなくて。予習したけど失敗した、は許せるんですよ。でも「あ、こいつこの企画見てないわ」って思って、ガチギレですよ。

武田 河井さんが真剣に仕事をしているところや、自然とスタッフにやさしくできるところが、真面目で好感が持てるんですよね。YouTubeで稲田さんに料理を教えているときも、お兄ちゃんみたいですよね。「ちゃんとやって!」とか(笑)。

河井 あはははは! あれはね、ほんまにイライラするから(笑)。

武田 料理ひとつ作るにしても、コンビバランスがすごくいいですよね。僕はずっとキッチンのアルバイトをしていたので、どうしても河井さんに感情移入しちゃいますけど。

河井 料理する人から見たら、稲田の手際見てイライラするでしょ?

武田 わかります! 「ちょっと、玉ねぎ焦げるから!!」とか、YouTubeの動画を見ながら思わず言いたくなっちゃいますもん(笑)。炊飯ジャーも閉めて!って思うし。

河井 わかってくれてるわぁ(笑)。

俳優と芸人、仕事のスタンスの違いは?

武田 昨年はドラマ出演もされていましたけど、今後は一人の仕事を増やしたりとか、お笑い以外の仕事も幅を広げていく構想はあるんですか?

河井 いただける仕事があるならぜひとは思っています。ただ、もっと若かったり芸歴が浅かったりしたら、来る者拒まずで引き受けていると思うんですけど、年齢とか芸歴的に、自分の力量を超えているような仕事が来たときには、やめておいたほうがいいかなって気持ちもあります。

武田 ちなみに…今日は大丈夫でした? アイドルっぽい撮影の仕方だったから、もしイヤだったら申し訳ないな…。

河井 いやいや、むしろ楽しい撮影にしていただいて、ありがとうございました。でもね、ドラマとかのオファーは、恐れ多すぎて…俳優さんたちが、自分たちの職場に芸人が入ってくるのがイヤやろうなって思っちゃうんですよね。

武田 そんなことないですよ! 実際に、ドラマの現場でコバさん(ケンドーコバヤシ)と1クールご一緒したとき、優しくしていただいたのがすごく心に残ってます。それと芸人さんってお芝居がうまい人が多くて、自分の個性を上手に出せるし、セリフの入りも早いし、勉強になります。コントとかやるからですかね? 負けちゃいけないなと思いますよ。こうやって異業種で切磋琢磨できたら、エンタメがより上質なものになりますよね。

河井 は〜、なるほど。

武田 逆に僕ら俳優ががイヤなのは、芸人さんたちが仕切っているバラエティーの場に行って、イキリすぎてスベリ倒すことですね。あれほど痛いものはないですから。

河井 あはははは! たしかに、芸人と違ってスベるということに免疫がないですもんね。

武田 ですね。しかも楽屋トークのテンションのまま、自分が面白いと思って本番に臨んじゃったりすると、めちゃめちゃ事故るんですよ。

河井 ありますね。僕個人としては、武田さんみたいに、そういうことに気をつけなきゃっていう自覚がある人のスベリはまったくイヤな気がしないんですよ。逆にそういう人を芸人がカバーしないといけないですし。けど、俺が回したるで! みたいなスタンスで来られると、「それはちょっと違うんじゃない…?」って正直思いますよ。だから逆も然りですよね。どんなにちょっとした役でも、ドラマの現場に呼んでもらったときは、場の空気を壊さないように細心の注意を払ってますね。

武田 芸人さんって、場の空気を読むことに対してかなりデリケートですよね。

河井 「俺の芝居はすごいぞ」って意気込んで現場に来る芸人って、基本的にはいないと思います。

武田 存在感を隠しきれない人はいますけどね。一度共演した諸見里(大介)さんが、序盤は顔が見えない設定だったのに、しゃべると「しゅいましぇん」っていつもの滑舌だから(笑)。

河井 隠しきれてない(笑)。

武田 製作発表で、顔を隠していて謎の男の設定なのに、モロバレで。メインキャストがアイドルのドラマだからあまり話題になっていなかったけれど、「はじめまして、なじょのおとこです」って言った瞬間、その場の空気ほぼ全部持っていってましたもん。

河井 なにが謎の男やねん(笑)。

武田 でもそれは面白いし、イヤな気持ちにはならなかったですね。俳優って意外と、芸人さんに限らず、ミュージシャンとかクリエイティブな方と関わることで、演技に対する学びがあるので、今日もこうしてお話させていただけるだけでもうれしいです。だから、そういう異業種の知らない場に入っていくときの違和感が、お互いになくなっていったらいいですよね。

武田&河井が語る、コロナ禍のエンタメ

武田 エンタメの話の延長で、河井さんにお伺いしたかったのが、コロナ禍になって、撮影現場や劇場で制限をされていますよね。舞台やライブができない問題が起こる中で、どうやって表現していくのか。今の社会状況と向き合ったときに、どう考えられているのかなっていう真面目な話も聞いてみたいです。

河井 昨年の春に初めて緊急事態宣言が発令されて、誰も予想していなかったことに直面しましたよね。みんなが身動きを取れない中で、自分も何をしていいのか、何ができるのか分からないまま、2か月も3か月も過ぎてしまって…。あっという間に時間が過ぎ去る中で、配信システムがやんわりと浸透してきましたよね。そのときにハッと、なんでこれに気づかなかったんやろうって思いました。コロナが落ち着くまで、何も発信することができへんのやって半ば諦めている気持ちがあって、ディフェンスするしかない、オフェンスの仕方がわからないっていう中で、配信は一筋の光でしたね。

武田 なるほど。

河井 配信ってメリットしかないですよね。交通費も移動の時間もかからないし、ステイホームで何もできなかったことが一気にクリアになる。攻めの引き出しが一気に増えたというか、マイナスなことばかりではないなと思いましたね。

武田 プラスがありながらも、でもやっぱりコロナが流行する前の、劇場に根付いてやってきたこととか、街ロケで市井の人たちと絡むこととか、そういった積み重ねてきたものを欲しているという面もありますか?

河井 もちろん。今日だって本当ならマスクなしで話せるほうがいいし、フェイスガードも面倒だし、消毒で手がガサガサになるし、とか正直思いますよ。でも僕は、考えても変わらないマイナスなことは、忘れるようにしていて。考えて考えて、マイナスがプラスに変わるならそれがいいですけど、この状況は変わらないですからね。だから絶対について回ってくるマイナスな面と、どうやって共存しながら、うまくプラスに転じることができるか。そのプラスの選択肢を増やしていくことを大切にしています。

武田 そうですよね。プラスになることを考えていくしかない。今、劇場はお客さんは入れているんですか?

河井 入ってますよ。そのときの状況によって席数を80%とか50%とかに変えてはいますけど。でもね、日本人って民度が高いから、お客さんはみんなちゃんとマナーを守ってくれているんです。だから劇場でクラスターが起きたってことはまだ一度もない。それって芸人にとってもすごくありがたいことですよ。

武田 いい相互作用ですね。

河井 そうなんです。特にずっと無観客の状態が続いていた後に、やっと客入れができることになって、舞台からお客さんの顔が見えたときは、ほんまに泣きそうになりましたよ。たとえ客席が全部埋められなくとも、お客さんから待ってましたって雰囲気が伝わって、これまでよりもさらに舞台に立てることのありがたみが増して…。これも一個、プラスですね。

武田 たしかに僕らもそうですね。この取材だって、緊急事態宣言が発令されると、どうしてもストップせざるを得ない状況ができてしまう。リモートももちろんありがたいですけど、やっぱり会って話をすると気づくことが多いんですよね。河井さんともこうして実際にお会いできたからこそ、こんな人なんだとか、もっとこんなお話を聞きたいとか、同じ空間にいるからこそさまざまなことが浮かんで、対人のよさを改めて感じますし。エンタメ業界は、コロナによって気付かされることが多かった気がしますよね。

次回の「おれとら」は、真面目な話から一転、お二人がプライベートについて語り合います。衣食住から恋愛まで、几帳面な武田さん&河井さんのこだわりが知れるディープトークをお楽しみに。

プロフィール

河井ゆずる

1980年11月28日生まれ、大阪府出身。大阪NSCに26期生として入学後、2010年に稲田直樹とお笑いコンビ・アインシュタインを結成。2016年に第1回上方漫才協会大賞で大賞、2018年に第48回NHK上方漫才コンテストで優勝しているほか、『M-1グランプリ』や『キングオブコント』では何度もセミファイナリストとなるなど、実力派芸人として知られている。

武田航平

1986年1月14日、東京都出身。2001年に芸能界入り、同年に第14回「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」審査員特別賞を受賞した。『仮面ライダーキバ』『仮面ライダービルド』などで人気を博し、現在はドラマ、映画、舞台と幅広く活躍中。2021年はドラマ『24 JAPAN』(テレビ朝日)、『理想のオトコ』(テレビ東京)などに出演し、FODオリジナルドラマ『スイートリベンジ』(フジテレビ)の11話・12話にゲスト出演する。

写真/大塚秀美、ヘアメイク/田中宏昌(allure)、取材・文/イワイユウ、動画BGM/タダオト、撮影機材協力/Nikon(「ニコン Z 5」)

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