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完璧な2次予選突破でベースもレベルアップ! サッカー日本代表、 別次元の最終予選へ!!

ぴあ

オナイウ阿道 (c)スエイシナオヨシ

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「かなり選手を替えながらやってきたが、コンセプトを理解しながら、個々の能力を発揮してくれた。ベースの部分は確実にレベルアップしていると思う」

3週間強、5試合にわたる長い代表活動を終えた森保一監督は手応えを口にした。8戦全勝46得点2失点で終えた2次予選の戦いぶりに文句の付けようがない。日本代表選手たちは指揮官が求めた「強い気持ちを持って勝つ、隙なく油断なく、相手に流されることなく、相手に合わせず、自分たちの全力を出す」ことを実践したのだった。

『FIFA ワールドカップカタール2022』アジア2次予選突破がノルマの5月28日・ミャンマー戦はオール海外組で臨んだ日本代表が10-0の完勝。「試合前から取れるだけ取りたいと思っていた」とゴールへの貪欲な姿勢を見せていた大迫勇也は5得点を叩き出すも、「今に満足せずに積み重ねていくだけ」と先を睨んだ。

ジャマイカ戦に代わり急遽組まれた6月3日のU-24日本代表戦はCB吉田麻也、右SB酒井宏樹、MF遠藤航をオーバーエイジで欠いたが、強度の違いを見せ付けて3-0の快勝。開始2分で先制ゴールを陥れた橋本拳人が「みんなで入りを大事にしよう、絶対負けられないと話していたので、ゴールを入れられて良かった。代表でプレーする以上は毎試合ラストチャンスだと思っている。ライバル意識というよりは自分の良さを出そうとプレーした」と安堵した表情を見せれば、橋本とも中盤の底でコンビを組んだ守田英正も「A代表としてはリスクがすごく付いてくる相手だったが、そういう気持ちとうまく戦いながら、A代表の良さと意地は全面的に出せた」とキッパリ。

GK権田修一、CB昌子源、中谷進之介、右SB山根視来、左SB佐々木翔、MF川辺駿、古橋亨梧と国内組7人をスタメンに並べた6月7日・タジキスタン戦は相手の堅守速攻にてこずったものの4-1で勝利。先制点をマークした古橋が「前回の試合でいいプレーができなかったので、今日は“やってやるぞ”という思いだった。チームのために運動量を増やして攻守で働きたい。数字も追い求めてゴール・アシストを残していきたい」と言えば、とどめの4点目を決めた川辺も「同じポジションの選手を見ても毎試合結果を残さないと呼ばれることはないと思うので数字は必要。結果が出たので少し安心したが、残り2試合でも結果を残さないと自分の居場所はないと思うので、アピールしていきたい」と今後の活躍を誓った。

森保監督もチームの底上げと結果を両立した選手たちを「『W杯』へ続く道で高い目標の中、より多くの選手に経験してもらいながら目標に向かっていくことを、今日の試合でも共有しながらやってくれた。これは非常にポジティブなこと」と評価した。

6月11日、戦線離脱した大迫に代わって1トップに古橋、CBには谷口彰悟&植田直通が入り、ドラガン・ストイコビッチ監督率いるセルビア代表に対峙した。ボールを握った日本はサイドから攻撃の活路を見出そうとするもなかなかフィニッシュに至らず、一方若手中心のセルビアは強固な守備ブロックを敷きつつカウンターやセットプレーでフィジカルの強さからチャンスを窺うも単発に終わる。試合は後半早々に動いた。48分、右CKから鎌田大地がニアへボールを放ると谷口がヘッドでつなぎ、ファーへ走り込んだ伊東純也が右足を合わせてゴール。64分にはその伊東がカウンターから抜け出し、ラストパスを追加招集された途中出場のオナイウ阿道が押し込むもオフサイド判定に。その後も重い展開ながら、日本はきっちり1-0で勝利を飾った。

試合後、トップ下の鎌田は「いいチームだが、世界のトップと比べるともっと普通にできないとだめ。勇敢にボールをつけたり運んだりしないといけない。ボールを取った瞬間もっと早くファーストボールを前につけないと。もっと早くつければビッグチャンスになる。DFを背負っていたとしても対応できるのでボールをつけてほしい」とチームメイトへの要求を口にした。この選手による問題提起を森保監督は「もともとロシア『W杯』のメンバーは意見をぶつけ合い、チームとして一番いい戦い方を選択していくことをしていた。最近メンバーが代わっていく中で意見をぶつけ合うということを少なかったかもしれないが、ここ最近になって話す量、コミュニケーションの量は間違いなく増えてきた。意見をぶつけ合うのは非常にいいこと。我々は勝つためにプレーしている。何となくうやむやにするよりも、意見をぶつけ合いながらチームの最善の戦い方を見つけていくのはいいこと」と歓迎した。

『W杯』予選7試合連続ゴール中の南野拓実が所属クラブの事情でチームを離れた6月15日・キルギス戦では1トップにオナイウ、2列目に浅野拓磨、原口元気、坂元達裕を並べた布陣で臨んだ。A代表初スタメンのオナイウが前半27分から6分間でハットトリックを達成、5-1で見事に2次予選を締め括った。結果を残したオナイウだが「結果は出せないより出せた方がいいが、相手のレベルが上がったら通用しないと思うので、ほかの部分でもっと攻撃の起点になる回数を増やしたり、技術や判断、プレースピードをもっと上げなければいけない」と勝って兜の緒を締めた。

冒頭のようにチームの手応えを口にした森保監督だが、選手を引き締めることも忘れてはいなかった。最終予選に向けて「これまでとは別次元の厳しい戦いになると覚悟して臨まないといけないし、結果が出たと満足し最終予選にふわっと入ってしまうと痛い目に遭う。ここまでは結果が付いてきたし、選手のがんばりを評価したいが、これが次の勝利を約束してくれるものではない。絶対に最終予選を突破するという強い気持ちを持ってやっていきたい」とコメントした。

ベテラン勢も危機感を口にしていた。ミャンマー戦前日の取材対応で長友は自信が感じる世界との差を明かした。

「(『W杯』ラウンド16の)ベルギー戦も日本代表が善戦したと言われているが、正直全然善戦していない、苦しかった。まだまだ遠いなと感じた。何が足りなかったのかずっと考え、ボールが目的地になる日本人と1・2秒未来を見てつながっているトップ選手の違いに気付いた。日本人は現在のボールに意識がいくが、トップ選手は1・2秒先、もっと言えば5・10秒先とつながっているのを見るとこの差は非常に大きいと感じている」

同じ日、吉田はアジア予選のレギュレーションについて言及した。

「この予選のやり方が正しいのかわからないが、僕らができることは試合に勝つこと。たくさんの得点をとってこの予選がアジアの上のチーム、そしてアジアの下のチーム両方にとってプラスになるのかどうかという問題提起をAFCに投げかけていくことが大事になる。下のチームの底上げは大事だし、東南アジアのチームの力も上がっている。アジア全体のレベルアップは大事だが、アジアの国が世界大会で結果を残すために何をしないといけないのかも大事」

ふたりの危機感や危惧も理解できる。日本代表は『W杯2018』でベスト16に終わったが、次回大会ではその先をターゲットにしている。世界の強豪国が『UEFA ユーロ』や『CONMEBOL コパ・アメリカ』でしのぎを削っている中、日本は勝って当たり前の2次予選を強いられているにもかかわらず。先を走るライバルたちは過酷な競争に身を置きさらに力を蓄えている。それでも日本代表の面々は格下相手に腐らず、日々自らの成長と向き合っているのだ。

『W杯2022』アジア最終予選は6月24日(木)に組み合わせ抽選を実施、9月2日(木)から来年3月29日(火)にかけて開催。

取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)

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