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0.1gの誤算がZepp DiverCityで繰り広げた、圧巻のパフォーマンス 緑川裕宇バースデーライブレポ

リアルサウンド

19/9/10(火) 18:00

 2016年の始動以降、凄まじい勢いで注目を集めている0.1gの誤算(通称:誤算)。近隣県から来場したオーディエンスにキャッシュバックをする『【Zepp DC】47都道府県民割引ツアー【攻略祈願】』や、大規模なサーキットイベントが開催されている近隣のライブハウスで1日4回の無料公演を実施するなど、様々な趣向を凝らしたライブコンセプトや、今年に入ってからは『月曜から夜ふかし』(日本テレビ系)『有吉ジャポン』(TBS系)といったバラエティ番組に立て続けに登場したほかNHKドラマ10『これは経費で落ちません!』に出演するなど、さまざまな形で話題を振りまき続けている。

 そんな0.1gの誤算が、8月22日、Zepp DiverCityにて『-改・鬼畜企画- Tour Final 「俺達の前に道はない、俺達の後ろに道はできる」 〜緑川裕宇Birthday〜』を開催した。彼らが同会場でワンマンライブを行なうのは、これで3度目。この日はボーカルである緑川裕宇の誕生日ということもあり、(自分が)「やりたいことをやりたい放題やる日」と本人がMCで話していたが、その宣言通り、演奏時間が3時間を超える(!)、圧巻のライブを繰り広げた。

 1曲目の「男闘魂戦争卍燃えよ誤算光殺砲卍」から気合い全開で駆け出していく5人。そこからなだれ込んだ「誤算節」では、「俺達は対バンでのし上がってここまで来た! まずはあの熱いぶつかり合いで攻めていいですか!」と叫ぶ緑川。すると、ステージ中央からせり出した花道を走り、“緑川ステージ”と名付けられたサブステージへ。しかし、それだけでは飽き足らず、そのままフロアに降りてオーディエンス達と暴れ回る。アイドルや歌い手など、異ジャンルの演者が出演するイベントに参加したり、ショッピングモールで無料ライブを行なったりと、様々な現場に立っているだけあって、誤算のフロアは、年齢、性別、趣味嗜好が異なる観客が集まっている。「暴れなきゃいけないゾーン」「暴れないゾーン」「フリースタイルゾーン」「マイペースゾーン」「ちびっこゾーン」と、来場者のニーズに合うスペースが用意されているのも、彼らのライブの特徴だ。それぞれが自分の好きなように楽しみつつも、ステージとフロア全体のコミュニケーションは途切れることなく続き、瞬く間に熱狂を巻き起こしていく。そして、「21gの感傷」で早くも場内の熱気がピークに達しそうな中、いきなり「ラストいけるか!」と緑川が叫び、「【S】0723【終焉】」に突入。ベースの眞崎大輔を皮切りに、ギターの河村友雪、水田魔梨、そしてドラムの神崎流空と、各メンバーのソロ回しも交えつつ、曲を終えると早くも5人はステージを降りて、場内が暗転。後のMCで緑川が話していたが、この日は「ひねくれたセットリストを組もうと思っていた」ということもあり、本編で披露されたのは、なんとたったの4曲。ここから本編以上に長いアンコールがスタートした。

 アンコールは、9月10日にリリースされる新曲「絶望メンブレガール」からスタート。この曲は、彼らの代表曲である「有害メンヘラドール」「溺愛ヤンデレボーイ」に続くシリーズ第3弾で、キラキラとしていて可愛らしいアイドルポップス然としたオープニングから、突如ダークで凶暴なバンドサウンドを轟かせつつ、そこからもめまぐるしい展開を繰り広げていくアップチューンだ。彼らがシングルとして打ち出す曲は、とにかくハードで高速、かつ情報量が多いこともあり、“ボーカロイド以降の流れを汲んだラウドロック”として位置付けられるもの。それらを矢継ぎ早に繰り出していき、凄まじい興奮を生み出していく。

 また、前述の「やりたいことをやりたい放題やる」についてだが、それは「本編4曲」といった構成だけでなく、演奏面でも用意されていた。哀愁漂う「196番地の女」ではキーボードを、眞崎の躍動的なスラップベースが耳を引く「VITAL」ではギターを弾いていた緑川だが、インスト曲「希少種達の運命」を披露する直前、ステージにドラムセットが運び込まれる。そして「音楽をやるために生まれてきた男、緑川裕宇の力をとことん見せつけてやろうと思います!」と、神崎とツインドラムを披露。そのまま2人でドラムバトルに突入したのだが、これが一夜漬けレベルではない見事な腕前! バンドのフロントマンであり、メインコンポーザーでもある彼だが、そのマルチプレーヤーぶりでもオーディエンスを大いに沸かせていた。

 他にも、「絶対プリティ生命体ー緑川のテーマー」ではダンサーを引き連れて披露したり、「必殺!からくり七変化!」では、緑川が「これはライブじゃねえ、体育の時間だ!」とオーディエンスに様々な指示を出したり、「2008年高田馬場AREA」「フルニトラゼパム」「混沌的極悪暴曲-ヴィジュアロックパロディウス-」と、彼らの中でもとりわけハードな楽曲を3連発で叩きつけたりと、書き出せばきりがないほど、あの手この手でフロアを煽り続けていた5人。それが彼らの魅力でもあるし、そこが一番印象に残るのだが、瑞々しいバンドサウンドを走らせた「君色トワイライト」や、美しいアンサンブルを繰り広げた「この声が届くまで…」、そして「俺らはみんなの背中を押すためにバンドやってるから、背中押されに来いよ!」と、胸に秘めた思いを一音一音に込めた「アストライアの転生」など、ただ盛り上げるだけでなく、曲に込めたメッセージや流麗なメロディを、オーディエンスにしっかりと届けていたことも記しておきたい。なかでも、“53番目の新曲”として披露された「ライラックアイロニー」は、“53=誤算”というバンド名と語呂が同じなこともあり、かなり試行錯誤しながら制作したそうで、感傷が迸るバンドサウンドに乗せられた、彼ららしい耳馴染みがいいメロディを存分に堪能できる佳曲。趣向を凝らした企画やライブの爆発力だけでなく、楽曲の力でも聴き手に訴えかけられるところは、ここから彼らが飛躍していく上でも重要なものになっていくだろう。

 本編4曲、アンコール11曲、ダブルアンコール10曲という特殊な形のライブを終えた彼らは、この日、来年の4周年記念ライブへ向けた今後の活動を一挙にアナウンスした。まずは10月から全国無料ワンマンツアー『【有害集団】無料・いちご増殖化計画【豊洲PiTヲ襲撃】』を、12月には全国5カ所を廻る『クリスマスワンマンツアー【プレゼント】ゴサンタ、現る【争奪戦】』を開催し、年が明けた2020年1月から『【豊洲PiT】『七天を巡る王』【攻略祈願】』を行なうことを発表。そして、2020年3月28日、『4th Anniversary ONEMAN「挑戦は終わらない、俺達が俺達であるために」』を、豊洲PITにて開催する。“日本で一番デカいライブハウス”に挑むために、「まだまだ休むことなく日本全国廻って、いい曲をたくさん出していく」と話していた緑川。彼らがここからさらに多くの人を巻き込んでいくであろうことを感じた一夜だった。

■山口哲生
ライター/編集。音楽雑誌編集を経てフリーランスに。邦楽をメインに、雑誌・WEB・ファンクラブ会報などで幅広く執筆中。1981年生まれ。愛知県出身。新日本プロレスのオカダ・カズチカ選手と地元が一緒。嬉しい。

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