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sumika、幸せ噛み締めた横アリ公演 “一人一人に歌を届ける”揺らぐことないバンドのスタンス

リアルサウンド

19/7/1(月) 15:00

 sumikaが、6月9日に『sumika『Chime』 Release Tour』の横浜アリーナ公演を開催した。

 先日の大阪城ホール公演をもって、バンド史上最大規模の全国ツアーを完遂させたsumika。日本武道館を皮切りに北海道から鹿児島まで様々な場所をまわったが、神奈川県出身の彼らにとって初の横アリ公演はひときわ感慨深く、特別なライブになったはず。きっとメンバーもファンも、これから先何度もこの日の景色を思い出すことになるだろう。sumikaがまた一つ残した大きな軌跡を、しっかりレポートにして残しておきたい。

 同ツアーは2ndアルバム『Chime』を携えて行なわれたものだが、タイトルには「あなたの家のチャイムを鳴らしに行く」という思いが込められている。これに合わせ、今回のステージセットはsumikaのトレードマークでもある大きな「家」。そこにメンバーが登場すると、1曲目「10時の方角」でライブの幕が開けた。大きい会場とだけあって、手拍子は割れんばかりの音で鳴り響き、大勢の手が一斉に挙がる瞬間はまさに絶景。sumikaはいよいよここまで来た、そんな感動や喜びがふつふつと湧き上がってくる。小川貴之(Key/Cho)が「ここに集まったみんなで大きな音を聴かせてくれますか?」と客席を煽り、「1.2.3..4.5.6」「グライダースライダー」「ふっかつのじゅもん」とアップテンポなナンバーを畳み掛けると、客席のボルテージはますます急上昇。盛り上がりはすでに最高潮に達してしまいそうな勢いだ。

 「凄いぞ今日は! しょっぱなから!」「今日はね、ツアーファイナルくらいの気持ちで臨もうかな」ライブ序盤にして、片岡健太(Vo/Gt)のMCにも熱が入る。その後に披露された「Monday」ではハンドマイクに切り替え、ステージを歩き回りながら歌い上げた。片岡が客席ギリギリまで近づくと、満面の笑顔でライブを楽しんでいるファンたちの姿が大きくモニターに映し出される。こんなにも愛に溢れた幸せな空間なのに、ふと泣きそうになってしまう瞬間があるのは、それほどsumikaの音楽が一人一人に密接に寄り添ってくれるものだから。対大勢ではなく「あなた」へ届ける、どんなに会場の規模が大きくなってもこのスタンスは絶対に揺らぐことがない。

 楽器パートごとにテクニカルなソロ回しがさく裂した「Strawberry Fields」を経てMCへ。この曲のソロは全てアドリブだそうで、片岡は「改めてカッコいいなって。メンバーとバンドやれて幸せです‼」と感情を露わにし、メンバーたちは照れながらも思わず大爆笑。そして、サポートベースを務める井嶋啓介が「いじー」と愛称で呼ばれることに嫉妬している片岡のために、みんなで「あだ名」を考えることに。結果、ライブでのあだ名が「健ちゃん」に決まり、素直に喜ぶ片岡の姿に客席はほっこりムード。演奏中の力強さと、MCの緩いアットホーム感というギャップもまた、sumikaのライブの大きな魅力だ。

 その後は一度観客を座らせ、「リグレット」「ゴーストライター」などじっくり聴かせるナンバーを続けた。アコースティックギターやピアノの優しい音色に乗せて、歌に込められたメッセージが真っ直ぐ胸に届く。曲が終わるとまさに滝のような大きな拍手が会場を包んだ。

 ライブもいよいよ終盤。ドアが閉まる音が響くと、ステージセットが「家の外観」から「部屋の中」に変わる。ライブでもひときわ盛り上がるナンバー「Lovers」「Flower」を畳み掛け、「伝言歌」では客席から大きなシンガロングが沸き起こった。最後は、sumikaの音楽を心から信じているファミリアたちを繋ぐ大切なナンバー「Familia」でライブ本編がフィニッシュ。「出会ったらおしまいだからな! 離さないからな!」そんな片岡の熱い呼びかけに、望むところだと言わんばかりの大歓声と愛が込められた拍手が送られ、メンバーはステージから降りて行った。

 会場が暗転すると、観客が手に持つスマホのライトが光り、まるで星空の中にいるようなロマンティックな景色が広がった。その中でアンコールを求める手拍子が鳴り、これに応えてメンバーがステージに再登場。アンコールは6月にシングルリリースされたばかりの新曲「イコール」に始まり、ラストはsumikaとして初めて作った楽曲「雨天決行」が披露された。この演奏の前に片岡は「次に歌う曲が出来た時、『まだバンド続けんのか』って笑う人がたくさんいました。だけど、この曲があったから絶対に折れないって、絶対に折れてたまるかって、心の中でお守りみたいにしてずっと大事に歌ってきた」と、曲に込めた思いを語っていた。sumikaの歩んできた道は決して、最初から順風満帆だったわけではない。ポップな曲調のイメージも強いが、本質は泥くさいところがある骨太なロックバンドである。アンコールで一番新しい曲と古い曲が披露されたことで、彼らの原点を再認識できた。

 最後はメンバーで手を繋ぎ「ワッショイジャンプ」で会場中に挨拶をして、横アリ公演は終幕。ステージを降りるまで、片岡は客席を見渡しながら「幸せだよ」と何度も何度も噛みしめるように呟いていた。

(写真=後藤壮太郎)

■渡邉満理奈
1991年生まれ。rockin’on.com、Real SoundなどのWEB媒体を中心にコラム/レビュー/ライブレポートを執筆。趣味は読書でビートたけし好き。

sumika 公式サイト

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