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川本三郎の『映画のメリーゴーラウンド』

ジョン・フォードの『怒りの葡萄』から……シアーシャ・ローナンの水着につながりました。

隔週連載

第2回

18/7/10(火)

 ピーター・ボグダノヴィチ監督の『ペーパー・ムーン』(1973年)は、ジョン・フォードの影響を強く受けている。とくに、フォードの1940年の作品、スタインベック原作の『怒りの葡萄』(原作は39年に出版)。
 大恐慌下、オクラホマ州の貧しい農民一家が、農地を追われ、新天地カリフォルニアへと旅する。小さな車に何人もの家族が乗り、家具を積み込み、国道六十六号線(ルート66)を走る。当時、こうした農民が多くいた。
 『ペーパー・ムーン』は『怒りの葡萄』と同時代の物語。だから、ライアン・オニールとテイタム・オニールの乗った車は、途中で、彼らカリフォルニアに向かう農民たちの車とすれ違う。ボグダノヴィチは明らかにジョン・フォードの『怒りの葡萄』を意識している。

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