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三枝成彰 知って聴くのと知らないで聴くのとでは、大違い!

映画に使われる音楽には、隠された意味が?(その2)

毎月連載

第3回

18/9/8(土)

Everett Historical/Shutterstock.com

 前回“欧米の映画に音楽が使われるときには必ず意味がある”というお話をしましたが、まだまだ実例がありますので、ご紹介しましょう。
 1955年のアメリカ映画『七年目の浮気』。『アパートの鍵貸します』や『お熱いのがお好き』で知られる、コメディーの巨匠・ビリー・ワイルダー監督の作品です。舞台は現代、夏のニューヨーク。主人公リチャードは平凡なサラリーマン。奥さんと子供はバカンスに出かけ、一人アパートで過ごすことになるのですが、あるとき上の階にブロンドの髪をもつ若く美しい女性が住んでいることを知ります。彼女を魅力的に演じるのはマリリン・モンローです。リチャードは、家族のいぬ間に何とか彼女を家に招くことはできないかと思案します。そして雰囲気づくりのためにと思いついたのが、ラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」のレコードを聴かせることでした。
 彼の妄想のなかで、彼女はこの曲を聴いたとたんに情熱的になり、彼の腕のなかへ……となるのですが、現実は正反対。「クラシックはよくわからないの」といって、子供用のピアノ連弾曲を弾き始めたり、ポテトチップスをシャンパンに浸して食べたりと自由きままで、ぜんぜん思いどおりにならないというオチでした。彼女と『アマゾンの半魚人』の映画を観に行った帰り、地下鉄の通風口から出る風に吹かれ、彼女のスカートがまくれ上がるシーンが有名です。

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