Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

「死神の精度」再演、萩原聖人「濃密な“和田ワールド”は変わってない」

ナタリー

18/8/30(木) 20:05

左から萩原聖人演じる死神(千葉)、植田圭輔演じる阿久津。

石井光三オフィスプロデュース「死神の精度~7Days Judgement」が、本日8月30日に東京・あうるすぽっとで開幕。これに先駆けて、同日、公開ゲネプロと囲み取材が行われた。

本作は伊坂幸太郎の小説「死神の精度」を原作として、2009年に石井光三オフィスプロデュースにより舞台化された作品。9年ぶりの上演となる今回は、新キャストの萩原聖人、植田圭輔、細見大輔、そして初演にも参加したラサール石井の4人が出演する。脚本・演出は、初演に続き和田憲明が担当。

主人公の死神(萩原)は、“死”が実行される対象となったヤクザの藤田(ラサール)を7日間調査するため、彼に近づくことになる。死神の仕事は、死の実行が“可”か“見送り”かを判断し、1週間後にその顛末を見届けることだったが、死が見送られるケースは稀だった。毎回姿形を変えてターゲットの前に現れる死神。今回の指令では、四十代の中年男・千葉の姿となって人間界に降り立つ。藤田は自身の兄貴分を敵対する栗木に殺され、その敵を取ろうと舎弟の阿久津(植田)に居場所を探らせていた。死神は彼らに接触し、その生活を観察し始め……。

萩原は藤田の人となりに興味を持ち始める死神役を硬派に演じ、死神の、音楽が流れると見境なくノリノリになってしまう“ミュージック好き”の一面をコミカルに表現。そしてラサールは昔気質な任侠の男・藤田役を哀愁たっぷりに、植田はそんな藤田を慕う若いヤクザ・阿久津役を共演者に食らい付いて熱演した。また細見も主人公の死神を見守る同僚の死神役を好演。主人公の死神が人間界に赴くと必ず雨が降っているという設定通り、舞台奥には本水を使った雨が降りしきり、死神とヤクザたちの奇妙な共同生活を彩った。

ゲネプロ後の囲み取材には萩原、植田、細見、ラサールが登壇。開幕を前に萩原は「カッコいいものになっているんじゃないかなと思います」と自信をのぞかせる。ラサールは9年ぶりの再演に「僕だけ初演に出ていましたが、また1からと作ったという感じ。(ゲネプロは)失敗せずにやれたかな(笑)」と笑顔を見せた。

植田は「お客さんがどんな感想を抱いてくれるのかなというワクワクもあり、あらためて気合いが入っています」期待を募らせ、細見は「初日が永遠にこないんじゃないかっていうぐらい緻密な稽古の期間を経て、今この場に立てています。あとは和田さんの演出を信じ、本番に向かうだけです」と穏やかな口調で述べた。

二十代のころに和田の演出を受けていたと明かした萩原は「ハタチそこそこで、何もわかっていなかった」と当時を回想しつつ、「20年経っても濃密な“和田ワールド”は変わってなかったです」と感慨深げ。本作で和田の演出を初めて受けた植田は「座組みの中でも圧倒的に年下で、大先輩とご一緒させていただいて、どれだけ食らいつけるか、一生懸命になれるかだけだったので、余計なことは考えずに素直にやろうと思って今日まできました。和田さんの演出が染みることもあれば、『何クソ!』と思うこともありますが、一緒に作ってきた感覚が強く、今振り返ると楽しい稽古だったなと思います」と胸中を語った。

萩原は本作について「どの年齢層の方が観ても、すごく楽しめる作品です。男ばかりで暑苦しいですが、舞台上には雨が降っていて涼しいので、是非足をお運びいただけるとうれしいです」と観客に呼びかける。植田は「観終わったあとに雨や晴れた空が好きになれるような作品を目指したいと思います」と目標を掲げた。

ここで細見が「僕の中では植田くんがヒロインだと思ってます(笑)」と発言すると、ラサールから「なんでやねん!」とツッコミが飛ぶ。対する細見は「もちろん年齢が高い3人もがんばってます!」と茶目っ気たっぷりに返した。最後にラサールは「老ヤクザの役で、普段のイメージとは随分違うんですが、初演のとき、私としては珍しく『カッコいい!』という感想をいただいた役です。伊坂幸太郎ファン、演劇ファン、エンタメ系が好きな方も楽しめると思います。是非ご覧いただきたいです」と締めくくった。

上演時間は途中休憩なしの約2時間。東京公演は9月9日まで行われ、その後、岡山、愛知、兵庫、山形、宮城、岩手を巡演する。

石井光三オフィスプロデュース「死神の精度~7Days Judgement」

2018年8月30日(木)~9月9日(日)
東京都 あうるすぽっと

2018年9月11日(火)
岡山県 倉敷市芸文館

2018年9月13日(木)
愛知県 青年文化センター アートピアホール

2018年9月19日(水)
兵庫県 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール

2018年9月23日(日・祝)
山形県 シベールアリーナ

2018年9月28日(金)
宮城県 電力ホール

2018年9月30日(日)
岩手県 盛岡劇場 メインホール

原作:伊坂幸太郎「死神の精度」(文春文庫)
脚本・演出:和田憲明
出演:萩原聖人、植田圭輔、細見大輔、ラサール石井

新着エッセイ

新着クリエイター人生

水先案内

アプリで読む