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勃たない老人が“眠れる美女”に最後の恋、川端康成に着想得た「桃源郷的娘」公開

ナタリー

「桃源郷的娘」ポスタービジュアル

川端康成の小説「眠れる美女」に着想を得た「桃源郷的娘」が、2022年1月21日より東京・アップリンク吉祥寺ほか全国で順次公開される。

本作は、すでに男性機能を失っている男の悲哀と爆発する妄想力を描いた艶笑コメディ。主人公は公園のベンチで居眠りする娘に恋をした老浮浪者だ。老人は人生最後の恋を成就させるため、ある突拍子もないアイデアを思い付く。そして眠っているだけで裕福になると教えられた娘を待ち受ける、摩訶不思議な運命がつづられる。

監督を務めたのは日活の社員として働きながら、2015年に長編デビュー作「狂える世界のためのレクイエム」を発表した太田慶。鈴木清順や神代辰巳にオマージュを捧げた「桃源郷的娘」では、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2019の北海道知事賞を獲得している。主演はコント赤信号のメンバーの1人で、「星屑の町」への出演でも知られる小宮孝泰。ストリップ劇場の踊り子も務めるセクシー女優の川越ゆいがヒロインを演じた。

ある映画館の番組編成から「独立系映画を選ぶ際の基準はエロと暴力です」と聞き、「今度はエロをやろう」と決意したという太田。川端の小説を読んだときのことを「『この“眠れる美女”はどんな人なんだろう?』と思ったことがあり、そこから妄想が膨らみました」と振り返り、「1時間にも満たない軽いタッチのコメディですが、そこはかとなく流れる『哀愁』を感じ取ってもらえたら嬉しく思います」と述べた。小宮によるコメントは下記に掲載した。

小宮孝泰 コメント

前作が観念的だったので、分かり易いエロとコメディの映画にしようよと私が提案したら、監督も同じ考えだったんだよね。

役柄的には年齢も偏屈な性格も自分に近いのでやり易かった。かなり無理なセリフがある場面は、監督からの俺に対する挑戦状なのだと思って、アドリブも含めて頑張った。

ゲリラ撮影ゆえに、ロケ地の公園から追い出されたり、素っ裸の川越ゆいちゃんを背負って誰もいない夜明け前の海岸を走ったり、時には気合の入ったカメラマンや照明さん達と言い争いになったりもしたけど、それこそが作品を良くしようという生きた現場なんだという実感があったのは確かだ。

何より、こんなくだらなくて駄目エッチな作品が、ゆうばり映画祭で北海道知事賞をもらえたことに脱帽、まさにギャグみたいだね。

太田慶 コメント

「独立系映画を選ぶ際の基準はエロと暴力です」。某映画館の番組編成担当から聞いたこの言葉で「今度はエロをやろう」と決意しました。前作が「コメディなんだかシリアスなんだかよく分からない」と言われ、劇場公開に漕ぎつけるまで苦労したこともあって、今回は「売り」が分かりやすい作品を目指した訳です。川端康成の『眠れる美女』を読んだ時に「この“眠れる美女”はどんな人なんだろう?」と思ったことがあり、そこから妄想が膨らみました。

小宮さんなら「暴走老人」を面白く膨らませてくれるのでは? 川越さんなら“天然”な「眠れる美女」を可愛く演じてくれるのでは?と思い、二人をキャスティングしました。川越さんは「寝てもペチャンコにならない胸」も決め手になりました。

「ゆうばりファンタ」での受賞は全く予想していませんでしたが、夕張のお年寄りの方々から「面白かったよ」と声を掛けられ、「暴走老人映画」が“届いた”ことを実感しました。

1時間にも満たない軽いタッチのコメディですが、そこはかとなく流れる「哀愁」を感じ取ってもらえたら嬉しく思います。

(c)太田慶

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