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桑原裕子が豊橋市民と「甘い丘」上演、“人生の居場所を探す誰か”に力を

ナタリー

20/12/14(月) 13:28

市民と創造する演劇「甘い丘」のワークショップより。(c)伊藤華織

市民と創造する演劇「甘い丘」が、3月6・7日に愛知・穂の国とよはし芸術劇場PLAT アートスペースで上演される。

市民と創造する演劇は、穂の国とよはし芸術劇場PLATが2014年度に始動した市民参加型企画。今回上演される「甘い丘」は、穂の国とよはし芸術劇場PLATの芸術文化アドバイザー・桑原裕子が、自身の劇団KAKUTAで2007年、2009年に上演し、第52回岸田戯曲賞の最終候補作に選出された作品だ。劇中では丘の上に建つサンダル工場で働く女性工員たちの渇望と再生の物語が描かれる。出演者には、オーディションで選ばれた14名の豊橋市民と、KAKUTAの置田浩紳と酒井晴江、織詠が名を連ねた。

桑原は本作について「『甘い丘』は、人生の居場所を探す誰かにとって、エンパワーメントな作品だと思います。ですが同時に、どこにも行きたくない人には、それでもいいと伝えたい。いかなくていい。あなたがそこに、いるだけで」とコメントしている。チケットの販売は1月23日にスタート。なお、3月6日18:00開演回には、アフタートークが行われる。

桑原裕子コメント

もう青春は卒業しよう。そう決意して30歳になる年に書いたのがこの作品です。等身大の青春群像劇がメインだった劇団で、初めて大人の女を描いてみたいと思ったのです。ですが冒頭20分を描いた時点で、早くも心が折れかけました。「この女たち、みんな大嫌い」と、パソコンの前で泣いたことを今でも思い出します。ここに出てくるのは、若さというキラキラを手放した、あけすけでむきだしの女たちばかりだからです。

しかし描き終わった時には、登場人物1人ひとりと離れがたく、今までにない寂しさを憶えました。彼女たちがいつのまにか私の中に肉感を持って存在していたことに、自分でも驚きました。描くことで出会った、みじめで、哀れで、しぶとく、滑稽な、かわいい女たち。そして彼女たちの周りを漂う、ばかで、乱暴で、愛しい男たち。長い時を経て、またあのサンダル工場の人びとに逢えるのがとても嬉しいです。ですが、私が大人だと思って描いた人たちより、既に私は年上。だからすこし怖いです。あのむき出しの熱量に向き合うのだと思うと。

「甘い丘」は、人生の居場所を探す誰かにとって、エンパワーメントな作品だと思います。ですが同時に、どこにも行きたくない人には、それでもいいと伝えたい。いかなくていい。あなたがそこに、いるだけで。

市民と創造する演劇「甘い丘」

2021年3月6日(土)・7日(日)
愛知県 穂の国とよはし芸術劇場PLAT アートスペース

作・演出:桑原裕子
出演:井川いずみ、板坂重信、伊藤早紀、江上定子、金本京子、蒲野紳之助、佐藤伸夫、眞田信三、白井小百合、鈴木要介、鈴木麗華、間瀬英正、森川理文、堀部幸隆 / 置田浩紳、織詠、酒井晴江

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