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「週末映画館でこれ観よう!」今週の編集部オススメ映画は『キングスマン:ゴールデン・サークル』『愛の病』

リアルサウンド

18/1/5(金) 18:00

 リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、編集スタッフ2人がそれぞれのイチオシ作品をプッシュします。

参考:「ハリー抜きの『キングスマン』は考えられなかった」 マシュー・ヴォーン監督インタビュー

■『キングスマン:ゴールデン・サークル』

 見た目はヒッピー、だけど中身は英国紳士。リアルサウンド映画部のロン毛担当・宮川がオススメするのは、『キングスマン:ゴールデン・サークル』。

 2015年に公開された『キングスマン』の続編となる本作。前作のメガホンを取ったマシュー・ヴォーン監督をはじめ、一気にスターダムに駆け上がったエグジー役のタロン・エガートン、死んだと思われたハリー役のコリン・ファース、新規ファンをも獲得したマーリン役のマーク・ストロングなど、前作のスタッフ・キャストが再集結。さらに、ジュリアン・ムーア、チャニング・テイタム、ハル・ベリー、ジェフ・ブリッジズら主役級のキャストが新たに参加しているという前作以上の豪華さ。なかでも注目は本人役で登場するエルトン・ジョン。カメオ出演には止まらない意外な大活躍を見せるので、往年のファンはもちろん、若い世代からの支持による新たなブレイクにつながるかもしれない。

 ところで今回の続編は、映画の公式サイトで「世界的麻薬組織、ゴールデン・サークルの攻撃により壊滅したキングスマン。残された2人、エグジーとメカ担当のマーリンは……」という一文からあらすじが紹介されている。通常大いなるネタバレになりそうな内容だが、それが物語の導入になっており、その後には前作以上のサプライズが待ち受けているのだ。

 それこそまさにネタバレになってしまうので詳細は記さないが、前作を越えるため用意されたサプライズには賛否両論が渦巻くであろう。ただ、荒唐無稽すぎるにもほどがある前作のラストシーンでドン引きしてしまった筆者には、その“何でもあり感”への耐性がついていたこともあり、大いに楽しむことができた。前作を彷彿とさせるワンカット風のアクションシーンやより洗練されたギャグ描写、新たな登場人物も含めた独創的なキャラクターたちによるアンサンブルなど、見どころは満載。ストーリーは御都合主義なところがあるけれど、それも“何でもあり”だから許せるのだ。

 マシュー・ヴォーン監督もインタビューで語っているように、「とにかくいろいろな要素を全部入れたかった」ということがひしひしと伝わってくる内容に仕上がっている。そして、すでに3作目の構想とプロットも用意されているという『キングスマン』シリーズ。そこまで活躍しなかった“あのキャラクター”が3作目でどんな活躍を見せるのか。今から楽しみで仕方がない。

■『愛の病』

 好きな女性のタイプはすれっからしのドS女王様。でも、自分のプレイスタイルは守りたい…そんなリアルサウンド映画部のエゴマゾ担当、すかんぴん松田のオススメは『愛の病』。女優・瀬戸さおりさんの映画初主演作にして、オールヌードの体当たり演技に挑んだ衝撃作です。

 『愛の病』は、2002年に実際に起こった「和歌山出会い系サイト強盗殺傷事件」を下敷きにした実録モノの官能サスペンスで、瀬戸さんは、出会い系サイトで知り合った男をだまして大金を貢がせ、男たちに強盗殺人をするように仕向ける悪女・エミコ役を演じています。

 まず、衝撃を受けるのはエミコの立ち振る舞い。瀬戸さんは153cmの小柄な女性で、普段はとても可愛らしい方なのですが、本作での彼女は髪を赤く染め、ヤンキーファッションに身を包み、粗野な言葉を吐き散らしては気だるそうに歩きます。全身から非行の匂いを漂わせる気合いが入った演技に、筆者は情けなくもビビりあがってしまうとともに、つい心の中で「女王様!」とお呼びしてしまいました。

 そんな気持ちを抱いてしまったのは、どうやら筆者だけではないようです。岡山天音さん演じる工員の真之助は、まぁ良いように騙されるのですが、どんなに非道い目に合わされてもエミコへの忠誠心を忘れません。喫茶店内で犬になりきり、キャンキャン啼きながらエミコの足を舐める姿は、まさに“マゾの鑑”と呼ぶに相応しい立派なものでした。もしかしたら、大の大人が人前で犬になりきるのはとても恥ずかしいことで、場合によっては笑い者になってもおかしくないのかもしれません。でも、筆者は少しも笑えませんでした。なぜなら、彼の真剣さが痛いほどに伝わってきたから。彼女の足を舐めるということが、彼にとってどれだけ崇高な行為なのかがよく理解できたから。

 『愛の病』という映画の面白さは、おそらくここにあるのではないでしょうか。主要な登場人物はいわゆるまともな大人ではなく、みんな屈折した何かを抱えていて、その行動だけを見ると狂気じみているのですが、役者陣の説得力のある演技によってちゃんと彼らの心情に寄り添うことができます。そのため、陰惨な事件を対岸の火事ではなく、誰もがふと迷い込む可能性のある人生の行き詰まりとして捉えることができるのです。

 瀬戸さんはインタビューで、エミコという人物に対して、「ひとりの女性として彼女の気持ちは理解できますし、もし彼女と同じような境遇に陥ったとしたら、私もまた過ちを犯してしまうのかもしれない」と仰っていました。瀬戸さんの刺激的なラブシーンが話題の作品ではありますが、性別に関係なく、誰もが愛について考えさせられる作品だと思いますので、ぜひ劇場でご覧になってみてください。(リアルサウンド編集部)

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