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ぴあ

いま、最高の一本に出会える

夭折の天才アーティストの魅力に迫る 『バスキア展 メイド・イン・ジャパン』特集

【INTERVIEW】私とバスキア② 片桐仁

全5回

第3回

19/9/20(金)

芸人・俳優として、テレビや舞台、ラジオなどで活躍する片桐仁。多摩美術大学版画科の出身で、粘土や彫刻などの作品を制作するアーティストとしても活動している。そんな片桐がバスキアに興味を抱いたきっかけは映画から。バスキアが有名になっていく過程や、刺激的なニューヨークのアートシーン、刹那的な生き様そのものに惹かれたという彼に、バスキアの魅力について語ってもらった。

時代と場所が生み出した
バスキアという価値

バスキアは、作品自体はもちろんですが、映画を通して知った彼の人生にすごく興味がありました。ストリート出身のバスキアが時代の寵児になるというサクセスストーリーや、アンディ・ウォーホルら有名アーティストとの関係性、27歳で夭逝してしまうというロックな生き様……すべてがかっこいいと思いましたね。

バスキアの映画は何作か作られていますけど、『バスキア、10代最後のとき』(2018年公開)が特に面白かったです。バスキアと交流のあった人たちのインタビューや、生前のバスキアの映像などから、当時のバスキアを取り巻くリアルな雰囲気が伝わってきてものすごく惹かれました。

映画『バスキア、10代最後のとき』 (C)2017 Hells Kitten Productions, LLC. All rights reserved. LICENSED by The Match Factory 2018 ALL RIGHTS RESERVED Licensed to TAMT Co., Ltd. for Japan

70年代後半のニューヨークは治安も悪くて、地下鉄から街からグラフィティだらけ。その一方で、非常に洗練されたコミュニティがあるんですよね。当時10代のバスキアが、アーティストやミュージシャンはもちろん、詩人や作家、生物学者や大学教授たちとも交流しているんです。バックボーンにかかわらず、お互いに刺激を受け取りあって新しい何かを生み出そうというエネルギーがある。

また、バスキア本人がとにかくむちゃくちゃ可愛いんですよ。すごくキュート。そうした本人のパーソナリティ的な魅力と、彼が生み出す作品の力と、そして70年代後半のニューヨークという時代と場所と、全てが奇跡的に合致して、「バスキアという価値」が生まれたのではないかと思うんです。もちろん、作品の力や運というのもあるでしょうけど、やっぱりタイミングだったんじゃないかな。

僕が20歳代だった90年代は、映画や音楽やお笑いといったサブカルが盛り上がっていた時代。大衆の好みが細分化されて、油絵や版画といったアートで時代を築くのが難しくなっていたんだと思うんですよね。美大で教わることにも疑問を抱いていましたし、エンタテインメントの方が面白くて、僕らはお笑いに行ったところもありました。

そんな時代に、僕たちのお笑いのセンス的なものがたまたまうまくハマったんじゃないかと。その当時は分からなかったんですけど、後から思えばそうだったのかなって。おそらくバスキアも、そんな風に絶妙にタイミングが合ったんだと思うんですよね。

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